1998年11月15日発売
横浜本牧埠頭の倉庫街で、警官が射殺された。女性初の経営弁護士を目指しロー・ファームに勤務する弁護士・水島由里子。彼女は、貿易会社の法的危機管理を担当するうち、巨大な陰謀に気づく。「依頼人」は、古ぼけた倉庫に何を保管していたのか!?乱歩賞作家の現役弁護士が描く、傑作リーガル・サスペンス。
パックスとローザー人種も育ちも容貌も、すべてが対照的な二人の女性裁判長の友情と野望、そして恋の葛藤。パックスが審理する養育権訴訟は、同性愛・エイズ問題もからんで全米を揺るがす事件へと発展する。息づまる展開の法廷ドラマと心を濡らすロマンス。女たちは苦悩を越えて、どう決断を下すのか。
リベンジー復讐。人生の師と仰いだ人物を殺した氷室竜介。それをつけ狙う盛岡。十二年間、追いつづけ、ついにつきとめた。雪が舞った。今夜は雪嵐だ。もっと降れ。今夜は俺とおまえの地獄の夜だ。盛岡はそう思い、「死ね。この雪をおまえの血で染めてやる」と長いどすを閃めかせた。それをかわして氷室のナイフが宙を舞う。生粋の不良たちを描きつくす究極のハードボイルドの力作。
男たちは、それぞれの思いで“その日”を待った!ある者は最後まで義士としての誇りを望み、ある者は志半ばにして運命に翻弄され、またある者は図らずも世の中の敵役となってしまうことにー。元禄の世を熱狂させた「忠臣蔵」の人間ドラマを、山手樹一郎、山田風太郎、中山義秀、海音寺潮五郎、邦枝完二、神坂次郎、赤坂好美、柴田錬三郎、隆慶一郎が活写。時代小説の名手の傑作を一挙に収録。
千葉家四天王の一人と謳われた北辰一刀流の手練、森要蔵は飯野藩剣術師範として保科正益に仕えた。慶応三年、将軍徳川慶喜は大政を奉還、朝廷は諸侯に上京を命ずる。一方、慶喜から江戸退去を命じられた会津藩主・松平容保は全藩士を従え帰国、新政府との対決は必至であった。正益の腹違いの姉、照姫の身を案じた森は、朝命に応じ上洛した主君の立場を慮り、脱藩して会津へ向う…直木賞作家による時代小説集。
警視庁の敏腕刑事・徳田左近は定年間際に警察庁に引き抜かれ、都道府県警すべてに亘る未解決事件の再捜査を担当している。彼の身近で不気味な動物虐待事件が続いた。庭で餌づけしていた鳩が両足を切断された数日後、榧ノ木山への登山道で、木の幹に鎖で繋がれ放置されたアイリッシュ・セッターの餓死死体を発見した。異常者の愉快犯…血統書を手掛かりに徳田は執拗に犯人に迫る(表題作)。ハードロマン集。
完全寄宿制の名門カトリック校・修英館学院で高校生活を送る高倉湊は、気難しい性格で問題児の悪名高い。ある日、学院に湊の異母兄・高倉響が転入生として現れた。響は再会を喜ぶが、湊は戸惑いを隠しきれない。実は湊は共に暮らすうちに芽生えた響への思いに気づき、それを断ち切るために家を出てきていた。明るい性格で学院の人気者となった響に果敢にアタックするクリスの出現に、湊は響への思いを募らせていく…。