1999年7月23日発売
わがままゆえに病気になった男の子。息子の死後、その墓を訪れた母親が行った仕打ちとはー。完成から百年以上の時を経ても、今なお多くの人に読まれているグリム童話。そこには「エゴ」「欲望」「悪」「死」といった人間にとってもっとも根源的な問いかけに対する答えが、散りばめられている。グリム兄弟が各地を廻って収集した民話・昔話を幾度にもわたって改訂し、完成させた完全版の初完訳、第二弾。
ロンドンで書店づとめをしながら、一人暮らしをしていたレベッカに、病篤い母は、今まで話すことのなかった自分の家族のことを、初めて聞かせる。母が静かに息を引きとった後、レベッカは、コーンウォールのまだ見ぬ祖父の許へと旅立った。祖父は、高名な画家だったが、絵筆を捨てて久しかった。同じ屋敷に住むハンサムで魅力的ないとこ。そして驚いたことに、ロンドンのアンティーク・ショップで会ったことのある、少し強引で個性的な家具職人の青年も、ここコーンウォールで祖父の家に出入りしていた。伯父の妻、その親戚の娘、祖父の海軍時代の部下、屋敷での複雑な人間関係のなかでレベッカは、急速にいとこのエリオットに惹かれていくが、閉ざされた祖父のアトリエで、彼女は思いがけない家族の秘密を発見する。そして彼女が貰うはずだった母のかたみの書き物机が消え…。激しい嵐のコーンウォールでレベッカの人生は謎めいた運命の嵐に翻弄される。
奇術師フーディーニは、ある貴族の屋敷を訪れた。知友のコナン・ドイル卿も招かれ、降霊会が催されるからだ。実は敵から身を隠すためでもある。護衛はピンカートン社の探偵だ。と、たちまち幽霊騒ぎが、謎の狙撃が、ついには密室での怪死が…相次ぐ事件にロンドンより敏腕警部が到着。これで役者はそろった。真真相を巡り、推理合戦の火蓋が切って落とされる。だが、フーディーニを狙う人物はすぐそこに。かくも愉しき『探偵小説』。