2000年12月発売
グレイシラは、かつての執事ミレットを頼って、男爵邸を訪れた。継母の強要する結婚を承諾したあと婚約者が、彼女の愛人だと知ったからだ。父親には告白できない理由の家出ゆえ隠れがには用心しなければならない。ミレットは、十二年ぶりに帰国した今の主人ダミアン卿と顔を合わせない約束でグレイシラをかくまう。彼は昔、年上のリンマス公爵夫人と駆け落ちした悪名高い人物だった。しかし、グレイシラが偶然出会ったダミアン卿は、詩人のような紳士である。二人は人目を忍び、森の中で奇妙な逢瀬を続けてゆくが…。
僕の恋人は、5つ年上のいとこ・かれん。星野りつ子に僕らの関係を告げたときから、何かが動きはじめたー。父の帰京と再婚、そして妹の誕生…。僕、かれん、その弟・丈、三人だけの満ち足りた生活に、少しずつ変化が訪れようとしている。その変化が何をもたらすのか、僕はまだ、気づいていなかったー。丈の恋の行方を描いた番外編も同時収録、村山由佳の人気シリーズ第5弾。
学校なんてただの灰色の入れ物かも知れない。そんな思いで学園生活を送る生徒たちの前に突然現れたピンク色をした異様な生き物。それは気味の悪い鋭利な舌でやにわに襲いかかってきた。級長の如月そよぎは、椅子でなんとかしとめたが、それが大災難の始まりだった。次々と襲いかかる異界の生物・ネイバー。クラスの誰にも逃げる道はない。ひたすら闘うのみ…。あの『まずは一報ポプラパレスより』の河出智紀がPNをかえてお贈りする快心の学園パニック・ノベル登場。
40代を迎えたわたしは、世界の果てにどれだけ近づいているのか?気が滅入りがちなわたしを動揺させる新たな出来事が、降ってわいた。同世代の友人で新聞記者のマリ・ライアスンが、テレビ・リポーターに転身したのだ。記者として長年闘ってきたマリも、金の力に屈してしまうのか?マリの転身を祝うためパーティに出席した帰り、わたしは道に倒れていた女性を危うく轢きそうになった。その女性は重傷を負って倒れており、まもなく病院で死亡した。やがてその女性がニコラという脱獄囚だと判明するが、その直後、解剖する予定だったニコラの遺体が、何者かに持ち去られるという事件が起きた。わたしはニコラがメイドをしていた大手警備会社社長の家を訪ね、彼女が罠にはめられた疑いを抱く。なおもニコラが投獄された真相を探るうち、様々な妨害の手が延び、ついにわたしは誘拐容疑の濡れ衣を着せられ、刑務所へと!シカゴの女性探偵V・I・ウォーショースキー、6年ぶりに登場。生涯でもっとも苛酷な日々のなか、プロの探偵としての誇りを賭けたV・Iがすべてを投げうって真実を追う。
依藤警部補は十一年前の死体なき殺人事件を追っていた。埼玉県大宮市郊外の五階建てのマンションで起こった事件である。五〇三号室の住人は当時二十三歳になる女性で大手モデル事務所に所属していた。毛足の長いベージュ色の絨毯が、おびただしい量の血で赤黒く染まっていたのだ。残された血液から被害者を断定したが、死体がないのである。その容疑者と目された男が台湾から戻って来たが…。生まれ変わりの謎に挑む超伝承ミステリー第二弾。
綿密な取材、緻密な構成、ユニークな人間観察、スリリングなストーリー展開、犯人を追いつめるプロファイリング…。警察小説の新たな地平を切り拓く問題作。ミステリー界に新風を吹き込む驚異の大型新人登場。