2000年2月1日発売
「僕たちは探険隊みたいだね。離婚ていう、日本ではまだ未知の領域を探険するために、それぞれの役をしているの」-離婚を契機に新しい家族像を模索し始めた夫、妻、小学生の2人の息子たち。そのさまを優しく、切なく綴った物語。他3篇を収録。
先が思いやられるような人間になれー。これが父の教育方針だった。悪ガキとして名を馳せた中学時代を経て、青成瓢吉は早稲田大学に進学、学園紛争の口火を切る。やがてお袖との同棲生活にはまり大学を中退するが、彼の脳裏には芸妓になった幼なじみのおりんの姿が…。大志ある親友たち、味のある教師、任侠道を貫く渡世人など、脇役陣も多士済済。今、不朽の人生ドラマが幕を開ける。
西田枝美子は「北陽放送」の看板アナウンサー。「ミス北陽」と謳われた美人である。その枝美子も、今年で三十四歳。冷たく澱んだ北陸の冬は、身辺にも迫ってきた。ラジオへの転属をほのめかされ、孤独を味わう日々。が、そこへ一人の男が現れた。六歳年下のプロ野球選手の志村は、若く荒々しく甘美な情熱で枝美子を虜にする。その冬の終わり、男は枝美子の希望そのものであった。
31歳の相馬克己は、交通事故で一度は脳死判定をされかかりながら命をとりとめ、他の入院患者から「奇跡の人」と呼ばれている。しかし彼は事故以前の記憶を全く失っていた。8年間のリハビリ生活を終えて退院し、亡き母の残した家にひとり帰った克己は、消えた過去を探す旅へと出る。そこで待ち受けていたのは残酷な事実だったのだが…。静かな感動を生む「自分探し」ミステリー。
未曾有のハリケーンが接近するなかスコットエア社の727は離陸した。だが、誤って積みこまれたパレットには、ある原子物理学者の怨念がこめられていた。熱核爆弾の爆発とともに強大な電磁パルスが発生し、合衆国のあらゆる電子回路を破壊するメデューサ兵器ー残された時間は三時間半弱。運命を背負った五名の絶望的な飛行が幕を開けた。『着陸拒否』を凌ぐ迫真の航空パニック巨編
爆発の刻限まで一時間半を切った。国家と国民の運命を憂慮する大統領を尻目に、FBIはヴィヴィアンの拘束に血道を上げ、ペンタゴンと軍部は研究を目的としてメデューサ兵器回収の道を探る。地上の思惑が入り乱れるなか、機上の五名は離れ業にも近い解決策に思いいたった。時間の制約と想像を絶するハリケーンの猛威。苛酷な条件の下で、運命に翻弄された727は最後の賭けに出る。
親友ジャスティンの右腕となってモデル・エージェンシーを切りまわすフランキーは、GN社の春物コレクションに抜擢された新人モデル3人の付添役として、パリに同行することになった。不安と期待を胸に訪れた、最先端のモードと恋の街。色とりどりの新作コレクションさながら、彼女たちはそれぞれの夢と恋とを手に入れる。おかしくて、セクシーで、心が温かくなる、極上の恋物語。