2000年3月1日発売
前漢の武帝の時代。侵略をくりえかす匈奴を討つために北辺の地へ向かった李陵であったが、やむなく捕虜となってしまう。そしてその李陵を弁護した歴史家・司馬遷は、宮刑に処されー。時代の波に翻弄される男たちの姿を描き、“人間の真の美しさ”を問う「李陵」、己の自尊心のために虎の姿になってしまった詩人・李徴の苦悩を綴った「山月記」など、漢籍に材を採った作品全七篇を収録。
不幸に襲われたとき、心のよりどころになるものは何か。老いて死を間近に感じたとき、不安から救ってくれるものは何か。生涯をかけて厳しく宗教を追求してきた著者は、実人生の中で、傍らにいる妻の苦悩と哀しみを受け入れるために、信仰とは相反する行動に出た…。生身の人間だけが持ちうる愛と赦しの感情を描いた表題作ほか、心の光と闇の間で逡巡する人間の姿を描いた短編集。
「なぜなんだ、アーセナル!」と頭を抱えて四半世紀。熱病にとりつかれたサポーターの人生はかくも辛い。すべてのスケジュールは試合日程次第。頭のなかでは自分とチームとがこんがらがっている。人生設計なんて立てられたもんじゃない。そんなひどい生活だったけど、ぼくには見えてきたことがあったー。英国で百万部を突破し、WHスポーツ・ブック賞を獲得した鮮烈なデビュー作。アーセナルにとりつかれてミリオンセラー作家となった男の魂の記録。
ロシア・マフィアの超大物“クルパティン”がヒューストンにやってくるー。FBI特別捜査官のケイトはおとり捜査を命じられた。色仕掛けでクルパティンに近づき情報を入手しろというのだ。極めて危険な任務であるにもかかわらず、ケイトは同僚でもあった夫の死を乗り越えるために、任務を引き受けることを決意する。そして、彼女の腕には最新鋭の極小盗聴器が埋め込まれた…。情事のベッドは血塗られた。美貌のロシア女性は淡々と男たちを闇に葬っていく。
クルパティンのかわりにヒューストンにやってきた女性の美しさに一同は息を呑んだ。イリーナというこの美女はクルパティンの愛人だった。ケイトはイリーナへの接近を試みる。しかし彼女はただの愛人ではなかった。ケイトはイリーナの信用を得る一方で、彼女の殺し屋としての才能を目の当たりにし戦慄を覚える。が、次第に彼女を愛するようになる。イリーナの決死の計画を知らずに…。完全無欠の暗殺者にFBI女性捜査官が仕掛けた罠…女と女、命懸けの心理戦。
戦国以来の武勇の名門里見家改易の真相とは…滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』によって有名となった里見家改易事件の真相を地元在住の筆者が綿密な史料調査と現地踏査によって描く渾身の歴史長篇力作。
里見家改易!遺臣百八十名館山城に籠城、幕府軍を迎え討った…慶長十九年、江戸城に出仕した里見忠義を待ちうけていたのは、里見家改易、伯耆国倉吉への配流であった。改易の裏に何が隠されていたのか…。鬼才が放つ歴史長篇。