2001年12月21日発売
金融不祥事の危機を辛くも乗り切ったものの、依然火種を抱える大手都銀の協立銀行。不良債権の回収と処理に奔走する営業本部プロジェクト推進部副部長の竹中治夫は、銀行の責任を追及する住宅金融債権管理機構との対応を命じられる。住管機構との対決、上層部の対立、検察による元MOF担の取り調べと、再び銀行は揺れ始め、竹中自身も、大物フィクサーへの新たな不整融資に心ならずもかかわることになる。さらに竹中を襲う家庭崩壊の危機。社外からの攻撃と銀行の論理の狭間で再生に向けて苦闘するミドルの姿を描き、多くの共感を呼んだ問題作。
大阪梅田駅前支店長に転出した竹中治夫は、「貸し剥がし」とさえいわれる過酷な資金回収の現実に直面した。優良取引先からも強引に資金を引き上げる銀行の論理の前に、個人の無力を痛感する。やがて広報部長として本社に復帰した竹中を待っていたのは、激化する上層部の抗争だった。現実に危機感を覚え改革を目指す頭取側と、傍若無人に振る舞う旧勢力の前会長側の対立に、分裂の危機に陥った協立銀行。危機的状況を前に竹中たちミドルが立ち上がる!果たして銀行は再生できるのか?金融界の現実を圧倒的な迫力で描いた衝撃の力作長編。
小説家志望のフリーター・菊川真、大学院で地球物理学を専攻する茂木太郎、卜占術師・赤道目子、女子中学生・立花やよい、そして高校三年でスポーツ青年の山野透。何の共通点もない彼らは、ある日突然、Jと名乗る見えない存在の意思によって集められた。Jは言う。「あなたの助けが必要です」。Jとは何者なのか?何もわからぬまま行動を開始した五人組だが、Jとの対話を続けながら意外な真実に近づいていく。Jが握っている未来、それはー。長編ファンタジック・ミステリー。
庶民文学ばかりが強調されてきた江戸文学。その背骨には和歌や漢詩など伝統的文学があり、江戸文化全体に大きな影響を及ぼしていた。江戸文化の爛熟期、化政期に日本初のジャーナリズム批評のメディア『五山堂詩話』が発刊。身分の上下なく漢詩の一大ブームが始まり、やがて江戸文芸壇を巻きこむ大騒動が生じる…。芥川賞・直木賞を設け、作家の育成や文芸の普及などに貢献したジャーナリストで作家であった菊池寛の先祖・菊池五山が著した、この詩話を通して江戸後期の文化の実相を生き生きと描き出した異色作。