2002年10月25日発売
秀一は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹の三人暮らし。その平和な生活を乱す闖入者がいた。警察も法律も及ばず話し合いも成立しない相手を秀一は自ら殺害することを決意する。
戦国の世、衰微著しい京都朝廷で後奈良天皇が崩御し、後事を託された時の関白・近衛前嗣は朝権回復のために奔走を始める。室町幕府再建が不可欠と、将軍・足利義輝と連携する前嗣の前に、松永久秀が立ちふさがる。
将軍・足利義輝の挙兵は、三好長慶との和議という妥協に終わり、永禄元年(一五五八)、義輝は帰洛を果たした。なおも長慶を除こうとする関白・近衛前嗣は、正親町天皇即位の礼を機に、勅命をもって諸大名に上洛を促すという奇策に出、若き織田信長を知る。前嗣の計画に、再び反撃に出た松永久秀を操るものの正体は何か?そして太古より神々に仕え、天に対して礼を尽くしてきた朝家が犯した、恐るべき秘密とは?「黄泉の国なくば、朝家の神聖も保たれぬと知れ」-死霊の恫喝に即位の礼の行方は?“戦国三部作”始動。
女のために盗賊から足を洗おうと、心に誓う男。男が愛したのは、何一つ真実を知らない女。やがてそれが劫火となり、すべてを焼き尽くす運命になるとは知らずに-。最後の稼ぎに、江戸屈指の大店へ襲いかかる男、そして賊ども!その先に待つのは、やはり破滅なのか…。鬼才・富樫倫太郎が放つ大江戸暗黒時代小説。
「ねえ、知ってる?瞳子が死んだんだって」瞳子は孤高の存在で、ガラス細工の天使のようだった。繊細で儚げで、他人を魅了する少女に見えた。彼女のことが、可愛らしくて、愛おしくて、腹立たしくて、憎らしくてたまらなかった。死後に届いたハガキには「私のことを殺さないで」とあった-。彼女の不在と、ぼくたちの季節の終焉。ほろ苦い青春ミステリー。
安定と平和を維持していた明の第十代の世、北京の城壁の外にかつて黒竜が主となっていたという伝説の泉があった。その畔で、金も仕事もなく世の中への不満を口にしていた無頼の若者。不意に現れた謎の黒衣の老人が、将来の富貴をかなえてくれると約束した。老人の教唆によって宦官となった若者は栄華をきわめるため皇太子につかえるようになったが-。表題作ほか、夢幻と怪異の世界を描く中国歴史奇譚集。
高校受験生の彬は、困っているところを助けられて以来、恒太のことを好きになってしまった。だが、親友だと言ってはばからない恒太に、彬は告白もできない。そんなとき、恒太の従兄弟で医大生の迅抄が彬の前に現れた。恒太への想いが苦しい彬は、思い切って迅抄に相談するが、迅抄からとんでもない賭を持ち出されてしまった。恒太に振られたら迅抄とSEXしろというのだ。告白するつもりのない彬は、愚痴を聞いてもらう交換条件としてその賭にのるのだが…。