2002年11月発売
知られたくない秘密が、誰にだってある…。吸血鬼であることを隠し、都会で生きている巴堯弘はある晩、街でからまれていた男、山神太地を助ける。純粋なのに野性的な太地に惹かれた堯弘は、一夜限りのつもりで身体を重ねたが、もっとそばにいて欲しくなる。しかし普段は温和な太地は夜空に月が輝いた途端、性格が豹変して…。百年の孤独を癒すラブストーリー。
畑山恵利・31歳。小学校の女教師であり、エンジニアの妻、そして3歳の珠子のママー。しかし彼女の幸せな人生は、学芸会の日、ひょんなことから犯罪組織の大ボスの命を救ってしまった瞬間、大きく狂い始める。殺し屋につけ狙われ、警察にも指名手配されて逃亡生活を余儀なくされる恵利。なんで私ばかりがこんな目に!?裏切られ、傷つきながらも自分を失わず、逞しく七変化していく一人の女性を追った、息もつかせぬハイパー・サスペンス。
あんちゃんが倒れた。どうやら本屋の経営で並々ならぬストレスを抱えていたらしい。代わって倫太郎たちが学校廻りの営業を引き受ける次第に…。度重なる少年たちの暴力沙汰に具体的な対応を出せないでいる中学校に対し親、生徒たちの不満は高まっていく。倫太郎、青ポン、ミツル、タケやんにルイが加わり、自分たちに何ができるかを模索し始める。中学校の現場を鋭く問う、感動のライフワーク・シリーズ第六弾。
秋の夜、下町の庭園での虫聞きの会で殺人事件が。殺されたのは僕の同級生のクドウさんの従妹だった。被害者への無責任な噂もあとをたたず、クドウさんも沈みがち。僕は親友の島崎と真相究明に乗り出した。
ある日、目細の安吉一家に客分として現れた、時代がかった老侠客。その名も山本政五郎ーすなわち幕末から生き延びた、清水の次郎長の子分・小政だというのだが…。表題作「残侠」など、天下の夜盗「天切り松」が六尺四方にしか聞こえぬ闇がたりの声音で物語る、義賊一家の縦横無尽の大活躍八編。粋でいなせな怪盗たちが大正モダンの大東京を駆け抜ける、感動の傑作シリーズ第二弾。
勝利と年上のいとこ、かれんの恋は順調。でも秘密の恋ゆえに色々と気になる事が…。かれんに思いを寄せる同僚の存在、勝利にも迫ってくる下級生がいる。微妙な四角関係にゆらぐ恋の行方は!?
無人の浜で、沖を行く船に手旗信号を送り続ける義足の少女。自らの棺にするために難破船を修理する瀕死の男ー。自殺願望を抱く青年が、偶然たどりついた海辺で見た、生と死の風景。映画『千年旅人』の世界を描いた「砂を走る船」ほか、全三篇を収録。個人の生死を超越して流れる、時という大河。その河の「彼岸」に渡らず、悠々と流れを下る“千年旅人”たちがいる…。著者の死生観を示す傑作短篇集。
雪深い東北の山奥で、主婦が野犬とおぼしき野獣に喰い殺されるという凄惨な事件が起きた。現場付近では、絶滅したはずのオオカミを目撃したという噂が流れる。果たして「犯人」は生きのびたニホンオオカミなのか?やがて、次次と血に飢えた謎の獣による犠牲者が…。愛妻を殺された動物学者・城島の必死の追跡が始まる。獣と人間の壮絶な闘いを描き、第19回新田次郎文学賞を受賞した傑作冒険小説。
会社生活と文学を両立させてきて四十年。定年を控えた修吾が仄かに惹かれる同世代の従妹は、娘を乳癌で失う苦境に陥っている。その彼の前に現れたのは、夭折した先輩作家の初恋の女性だった…。ドイツ中都市と日本の美しい四季を背景に、自立をめざした二人の女性に導かれるように、主人公は、過去の部屋に入る。一枚のタペストリイのように繊細で甘美な感情を織りなす長篇小説。
「四人の騎士」を探して旅に出た武蔵たちが出会った、異国人の少女・ルチア。一方、太閤秀吉暗殺を狙って、大坂城に忍び込んだ石川五右衛門を驚愕させた、少年忍者・児雷也。奇縁に導かれ、一行は西へ向かう!秀吉のキリスト教弾圧政策が苛烈さを増すなか、武蔵は四人の騎士の手がかりを得ることができるのか!?壮大なる伝奇巨編、衝撃の第二弾。
インドシナ海上での日仏海軍による合同演習が決まり、アジアの情勢は日増しに緊張が高まっていた。ドイツの傀儡である、フランス・ヴィシー政府と日本の接近は、英国にとっては二正面作戦という悪夢になりかねないのだ。そこで、イギリス海軍は日仏に対抗すべく、最新鋭戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋艦レパルスをシンガポールに回航させるという強硬策に出た。そうしたなかで合同演習を敢行すれば、演習が武力衝突になりかねない。苦慮した大本営は、秘密兵器によるプリンス・オブ・ウェールズ撃沈を狙った極秘作戦を発令する。