2003年3月31日発売
小説家と女性ファッション誌編集者が京都のラヴホテルで過ごす一夜を描き、現代の性という主題に対峙する「高瀬川」。物心つく前に亡くした実母の面影を恋う少年と、不如意な暮らしの中で不倫を続ける30代女性の物語が、上段と下段で並列的に進行し、やがて一つに交差・交錯する「氷塊」。短篇意欲作「清水」、「追憶」を併せ、多様にして実験的手法で文学の豊饒な可能性を開示する、気鋭作家の新たな冒険。
第二次大戦末期、多数のドイツ避難民を乗せた客船がソ連の潜水艦に撃沈された。死者の数はタイタニックの6倍にも達した史上最悪の惨事となりながら、この悲劇は人々の記憶から抹殺されて、半世紀以上語られることがなかった。グラスだからこそあえてタブーに挑んで歴史に対峙した。
突然、邸内は真っ暗になった。南米のある小国の副大統領官邸がテロリストに占拠された。折りしも、工場誘致のために日本の大手企業社長の誕生パーティが開かれており、出席者は人質となった。オペラ好きな主賓のために招ばれた世界的歌手のロクサーヌ・コスも、各国の要人たちも。幽閉生活が続くうち、人々は奇妙な安らぎを覚えていく。金と名誉を求めるばかりが人生ではないと気づいたのだ。テロリストたちも、実際は貧しい家の子どもだった。知的な大人たちと接して初めて、この世には美しい世界があることを知っていく。やがて、ロクサーヌの歌をきっかけに、人質とテロリストは心を通わせていく。首謀者までが人質に心を開き、官邸には牧歌的な時間が流れるようになる。だが、この平穏な日々が永遠に続くはずはなかった…。人間の根源的な愛とは何かを問いかけるオレンジ小説賞、PEN/フォークナー賞受賞作。
19歳の姫子が恋した美しい青年・翼。翼を追うアーバン・リサーチの探偵・佐竹。翼の痕跡に、連続猟奇殺人事件が絡む。耳が削がれた死体は、何を語るのか?姫子を守ろうとするアーバン・リサーチの面々。翼の心の闇に踏み込む姫子…。
「いいぜ…。もっと壊したくなる…」入学初日、奏は不良の嘉納サンに攫われて×××!?俺のオンナになれって一体どーいうこと!?普通の生活を送りたいのに皆には腫れ物扱いで踏んだり蹴ったりだわ、生徒会長の高尾サンまで現れて僕を恋人に!?さらに嘉納サンにはいきなりキスされて…!!従兄弟のにーちゃんに会うために入った学園での日々に戸惑いいっぱい、誘惑、脅迫、愛いっぱい!そんな奏の心を射止めるのは果たしてどっちなのか!?3人+αの恋の駆け引き。