2003年7月15日発売
四年前の夏、遙子は夫の裏切りを知った。遙子より五歳年下の女性を愛しているというのだった。問いつめても跪いても夫の心は戻らない。五十歳を過ぎて、夫を失う痛みには耐えられそうもなかった。高校に通う一人息子は口数を減らして遙子を拒み、八十歳を超えた母に心配をかけるわけにもいかない。行き場のない遙子の心は徐々に無力になっていく。文の京文芸賞最優秀賞受賞作。
俺は神崎達也。職業、刑事。美人のフィアンセを残して無念にも射殺された…はずが幽霊に!?しかも犯人の上司が密室状況で何者かに殺されて…。いったい真犯人は誰なんだ!そして俺はどうなってしまうんだ!ミステリーとラブストーリーが融合、二〇〇一年度本格ミステリー・ベスト10入りの傑作。
その大陸では微妙な力関係で五つの国の均衡が保たれている。楽天は一番の小国である。ある日、大国・奉金より盟約を結びたいと申し入れがあった。条件は人質の交換。軍師の父親が奉金に差し出されてから、その息子・趙浚の波瀾の人生が幕を開けた。困難に立ち向かいながらも真摯に生きる若者を描く感動巨編。
いわれなき罪を着せられ、流罪となった趙浚だが、師・春申のおかげで赦免される時がやってきた。しかしそれも特命を無事果たしてのちのことだ。ふたたび国のために命を賭することを誓う趙浚だが、生きるよすがは友情か、愛か、それとも…?迫力ある筆致で人間の本性を抉る一大エンターテインメント。
母を殺した犯人たちを見つけてもらいたいの-迷宮入りになった28年前の銀行強盗事件で犯行グループに射殺された被害者の娘が、真剣な面持ちでスペンサーに訴えかけた。警察の捜査報告書によれば反体制の革命グループが犯行声明を出していたが、その正体は不明のままだった。やがて政府の秘密機関員だと名乗る男が、スペンサーのもとに忠告に現われた。事件の調査から手を退いたほうが身のためだというのだ。それは、彼がさらなる情報を求めてFBIの支局を訪れた直後のことだった。その後、ガンマンが銃をちらつかせながら、事件に関わらないようにとスペンサーに脅しをかけてくる。28年前の強盗事件の裏に、どんな秘密が隠されているというのか?関係者の多くが口を閉ざすなか、スペンサーが突き止めた苦い真相とは…。パラダイスの警察署長ジェッシイ・ストーンの協力を得たスペンサーが、28年の時を越えて事件の真相に迫る。シリーズ第30作と、パーカーの作家デビュー30周年を記念して、巻末に作家、評論家など著名人による特別アンケートを収録。