2003年9月2日発売
あの銀行を撃ち落とせ!謎の老投資家が選んだ復讐のパートナーはフリーターの“おれ”だった。マーケットのAtoZを叩きこまれた青年と老人のコンビが挑むのは、預金量第三位の大都市銀行。知力の限りを尽くした「秋のディール」のゆくえは…。新時代の経済クライムサスペンスにして、連続ドラマ化話題作。
「人生意気に感じるのもよいが、ほどほどにしておけ」-義侠心にあつく悪には情容赦ない岡っ引の衣笠卯之助。柔術は渋川流、剣術は直心影流の達人だが、女には滅法弱い。そんな卯之助が、維新前夜、開港まもない横浜を舞台に、与力の塩田正五郎と力を合わせて、難事件をつぎつぎに解決してゆく痛快熱血事件帖。
ダムの底から発見されたカメラマンとミス・郡上八幡の死体。男性の衣服からは覚醒剤が見つかり、しかも彼は現・警視総監の息子だった。十津川警部の必死の捜査により、事件は4年前の血塗られた連続女性殺人事件へと繋がってゆく。真相究明を目指す十津川と、スキャンダルを恐れる警視庁上層部の確執を描くサスペンス長篇。
おすずという許嫁がありながら、子持ちの後家と深みにはまり、呉服太物店を勘当された総領息子の信太郎。その後おすずは賊に辱められ、自害して果てた。「一度だけ」とおすずが身を預けてきたあのとき、願いをきいてあげていたら…後悔の念を抱きながら、信太郎は賊を追うー。平成14年度中山義秀文学賞受賞作。
男髷を結い、女剣士として身を立てることを夢見る知佐。行く末を心配した両親が強引に子持ちの町方役人と祝言を挙げさせようとするがー。幼子とのぎこちない交流を通じ次第に大人の女へと成長する主人公を描いた表題作他、市井の人びとの姿を細やかに写し取る六篇。中山義秀文学賞受賞の傑作時代小説集。
飼い猫が死んでしまったOL、経営に行き詰まり、死に場所を探す社長、三十年前に別れた恋人への絶ち難い思いを心に秘めた男、妻に先立たれ、思い出の競馬場に通う大学助教授…。凍てついた心を抱えながら日々を暮す人々に、冬の日溜りにも似た微かなぬくもりが、舞い降りる。魂を揺さぶる全八篇の短篇集。