2004年10月発売
情熱など失ったはずだった。あの日、恋人を亡くした海岸通りで。長い夜に身を浸した。澄んだ心を持ったかほると出会い、私は生を取り戻した。平凡な暮らしとは、なんと素晴らしいものなのか!闇から解き放たれる日を心待ちにしていたある日、またしても事件は起きてしまった。
37歳女性、入社15年目、独身バツなし。ついでに恋人・人望ともにナシ…。ですが、それが何か?働く女の本音と弱音をリアルに描いた、本格「負け犬」小説、誕生。
3年間を捧げた同僚に振られて、29歳の私は会社を辞めた。彼は同じ会社の別の女と結婚したのだ。しかも彼女は妊娠していた。あの時から、私は、普通の恋愛というものから、なるべく遠ざかるように生きている…。勃たないウリセンボーイに募る想い、哀しいため息、膨らむレディースローン。最後に二人を結ぶのはお金?それとも愛?このまま、私はどこに行ってしまうんだろう…。
電車内で暴れる酔っ払いから若い女性を救った、ヲタク青年。女性に縁がない彼は、彼女をデートに誘うべく、モテない男たちが集うインターネットサイトに助けを求める。いつしか「電車男」と呼ばれるようになった彼に、出来る限りのアドヴァイスを与え、時に叱りながらも温かく見守る仲間たち。熱い励ましは「電車男」に勇気を与え、彼女との距離を一歩一歩縮めていく。「電車男」は果たして意中の彼女に告白できるのか?読む人全てを熱い共感の渦に巻き込む、リアル・ラブ・ストーリー。
主人公サラ・スュルタナの年齢は三十歳、東京でフランス語を教えている。物語は父が死に、サラがパリに帰るところから始まる。東京に戻った彼女は、父の死が引き金になって過食症に陥る。無気力、虚脱感、孤独感、不安、自己嫌悪、これらからの逃避、それが彼女にとっては食べることだ。…そしてサラは精神分析医の治療を受ける。そんなある日、彼女は東京日仏学院でリュカ・アルシンスキーと出逢う。
暴力団の一族と検察官の一家の葛藤と対決、それぞれの家に生まれ、運命に翻弄される二人の愛の行方…日本中を涙させ、一大ブームを巻き起こした『冬のソナタ』のペ・ヨンジュンが、数奇な運命に立ち向かう孤独な青年を熱演!『二重スパイ』のコ・ソヨンと織りなす、現代版「ロミオとジュリエット」と称される韓国ドラマの名作。究極のラブ・ストーリーがここにある。
物語の舞台は1960年代後半の香港。ひとりの男が、2046年を舞台にした近未来小説を書いている。タイトルは、「2046」。小説の中の登場人物達は、「2046」という謎の場所を目指し、ミステリー・トレインに乗り込む。そこに行けば、“失われた愛”を見つけることができると信じていたからだ。だが、それが真実かどうか、誰も知らない。なぜなら、「2046」から帰ってきた者はいないから…ただひとりの男を除いては。
役所勤めの浅井が、妻の死を知ったのは、出張先の宴会の席であった。外出中、心臓麻痺を起こし急死だったという。発作は、どこでどう起きたのか。義妹によって知らされた死に場所は、妻から一度も聞いたことがなかった地名であったー。死の真相を探るうちに、思わぬ運命に巻き込まれていった男の悲劇を描く復讐サスペンス。
二十年ぶりに再会した泰子に溺れていく私は、同時に彼女の幼い息子の不信な目に怯えていたー「潜在光景」。借金苦で自殺した社長はなぜ八十通もの遺書を残していたのかー「八十通の遺書」。わが子をさりげなく殺そうとする父親。が、息子はそれを察知していたー「鬼畜」。日常のちょっとした躓きがその後の運命を大きく変えた世にも怖ろしい六つの結末。
邪馬台国の研究に生涯を費やした孤高の考古学者・小池拓郎が殺された。その直後、彼の発掘していた古墳から邪馬台国の手がかりと思われる銅鏡が発見され、考古学界は騒然となる。浅見光彦は、小池が寄宿していた当麻寺の住職から事件解決を依頼され、早春の大和路へ向かった。老考古学者が遺した一通の古い手紙と色褪せた写真ー住職の娘・有里とともに事件を追う浅見は、いつしか時を超えた女達の妄執に搦め捕られてゆく。古代史のロマンを背景に展開する格調高い文芸ミステリー。
妊娠22週目の胎児の卵巣に存在する700万個の卵子。この生物学上の事実が、巨額の金をもたらすプロジェクトを生んだ! その神を冒涜する所業に一人の男が立ち向かうが……。
あなたのキャリアや資産の命運はーすべて“会計”が握っている!キュートな女子大生会計士・藤原萌実と入所一年目の新米会計士補・柿本一麻が監査の先々で出くわす奇妙な事件。粉飾会計、会社乗っ取り、クーポン詐欺などバラエティ豊かな謎を解くうち、会計の仕組み、会社の仕組み、そして経済の仕組みがみるみる分かる!単行本未収録の短編二本を追加収録したデラックス版として、かつてない超実用的ビジネス・ミステリ待望の文庫化第一弾!さらにとにかく便利な「やさしい会計用語集」付き。
一九九七年、カナダ西海岸・ヴァンクーヴァー。中国への返還目前の香港から押し寄せる移民たち。そして黒社会。おりしも頻発するヘロイン強奪事件に華人マフィア同士の緊張が高まり、街には不穏な空気が流れていた。そのさなか香港黒社会の大ボスの愛娘・李少芳が行方をくらませた。探索を命じられた男・富永脩は一人、ヴァンクーヴァーに降り立つ。欲望と憎しみの悲劇の幕は上がったー。
地に堕ちた男たちの血まみれの相克。 名うての悪徳刑事、野心派の警官、元デカのチンピラ…。心に闇を抱き、暴力で結ばれる3人の男が、運命に嘲笑されるかのように絡み、喰らい合い、崖っぷちへと追い込まれていく…。(解説・東野圭吾)
「スティールドラム(パン)が好きな男性募集」NYの新聞にそんな恋人募集の個人広告が載る。広告を出したのは作詞家マヤ。電話をかけたのは地下鉄車掌グレゴリー。埋めがたい心の穴を抱える二人は、電話だけの付き合いを続けるうちに心を許し合っていく。やがてパンの故郷トリニダッド・トバゴで会う約束を交すがー。傷を抱えた男女の切なく激しい恋の行方は?第11回小説すばる新人賞受賞作。
不朽の名著「エセー」の著者モンテーニュはどのようにして自らの精神を確立していったのか。彼が生きた16世紀は後にルネサンスと呼ばれたが、この時代はまた、イデオロギー抗争が渦を巻き、暴動、虐殺、陰謀がうごめく時代でもあった。モンテーニュは、樅の巨木の生い繁る城館で、自らの思想を深めていった。長編“モンテーニュ三部作”第一部。
奈緒美は十歳年上の町田雄一と結婚した。自分は初婚だが、彼は四年前に離婚歴がある。その理由はきかなかったが、夫は優しく、新婚生活は幸せだった。が、あるとき雄一の手帳に「セカンド・ワイフ」という謎めいた言葉が書いてあるのを発見。それは奈緒美のことか、別の女の意味か?急に夫の過去に不安を抱いた奈緒美は、彼の前妻に会おうとする。衝撃的な事実に直面するとも知らないで…。
君を想えば、別れすら愛しくなる。痛みと哀しみが去りゆくとき、永遠に消せないぬくもりが胸に灯る。『パイロットフィッシュ』『孤独か、それに等しいもの』の作者が贈る、“別れとはじまり”を描いた待望の恋愛小説集。
舞踏会の日に渡された、亡き母の首飾り。その青い宝石は少女を女王の後継争いのまっただ中へと放り込む。自分の出生の謎に戸惑いながら父の待つ荒野の天文台に戻った彼女を、さらなる衝撃が襲う。-突然の変転にもくじけず自分の力で未来を切りひらく少女フィリエルの冒険がはじまった。胸躍る長篇ファンタジー、堂々開幕。