2004年12月25日発売
鎌倉幕府の実態は腐り果てていた。執権は遊びほうけ、内管領が政治を思いのままにしていた。幕府討幕の志が捨て去れぬ後醍醐天皇は、近しい者と密議を繰り返していた。そして、夢のお告げに現われた天皇親政の先駆けとなる武士・楠木正成に使いを送るが、幕府側に動きを察知されてー。戦乱の世を激しく生きた英雄たちを、情熱的な筆致で描いた著者渾身の歴史大河小説。
後醍醐天皇と楠木正成は互いに、乱れた政治を行う鎌倉幕府討幕の思いを強くしていた。しかし後醍醐天皇は幕府に囚われ、隠岐島へと配流されてしまった。独り残された正成は、それでも敢然と挙兵する。たった一千の手勢の楠木軍は、数万の幕府の大軍と対峙するが…。楠木軍の勇猛な戦いが発端となり、時代は混沌の渦へー。不屈の人間群像を、雄大な構想で描いた歴史大河小説。
活動停止処分が解けた野球部で、部活が開始された。先輩も後輩もない、実力で自分の野球を認めさせてやる! しかし、キャッチャーとしての才能に悩む豪と、巧との間に亀裂が入って…!?大人気シリーズ待望の続編!
なにゆえかくも話が通じないのであろうか。丁重な文面であるのにもかかわらず、その文面のなかにときおり顔をのぞかせる強い調子、攻撃的な排他性のごときを改めて強く感じ、その根拠として彼らが標榜しているボランティアという概念について、普段そんなことについてまるで考えたことのなかった私が、この困惑を契機に深く考えるようになってしまったというのは、いったいいかなる因果・因縁であろうか(「地獄のボランティア」より)。芥川賞受賞第一作となった傑作小説集。
宇佐子は小学校5年生。転校生のちょっと変わった女の子ミキちゃんを仲間はずれにするクラスの空気に傷ついて、夏休みを前に学校にいけなくなった。そんな中、ミキちゃんに誘われ、町のウィンド・オーケストラでトランペットを習うようになった宇佐子は、ブラスの楽しさ、演奏の喜びにふれて、次第に生き生きした心を取り戻していく。きらめく音があふれる、感動の長編小説。