2005年7月23日発売
横浜医科大学の保存室から一体の屍体が消えた。捜索を依頼された神奈川県警捜査一課の二村永爾は、生前の友人関係を調べ始めるが、その数日後、屍体は保存室に戻っていたーー長編ハードボイルド。
アニミズム的な妖精譚の「ちんちん小袴」、永遠の愛を語る「帰ってきた死者」、オノマトペを凝らした「幽霊滝の伝説」、ハーンの心理的外傷の表象ともいえる「むじな」……。ユーモラスで哀切に満ちた小話から恐ろしい怪談まで、傑作42編を叙情あふれる新訳で紹介。江戸時代の狂歌をハーンが解説した貴重なエッセイ「妖怪のうた」も直筆の挿絵とともに収載する。朗読や読み聞かせにも最適、ハーンの再話文学世界を味わう決定版。 第一章 「怪談」への旅 小豆磨ぎ橋 水飴を買う女 子捨ての話 鳥取の布団の話 帰ってきた死者 幽霊滝の伝説 菊花の契り 第二章 おとぎ国の妖精 若がえりの泉 ちんちん小袴 団子をなくしたおばあさん 猫を描いた少年 化け蜘蛛 第三章 転生譚 お貞の話 十六桜 乳母桜 蠅の話 雉子の話 お亀の話 力ばか 梅津忠兵衛の話 勝五郎の転生記 鏡と鐘 僧興義の話 安芸之介の夢 第四章 妖怪と悪霊のたくらみ むじな 茶わんの中 常識 生霊 死霊 ろくろ首 果心居士の話 耳無し芳一 第五章 女と男の恐い話 おしどり 雪女 青柳ものがたり 和解 因果話 破られた約束 振り袖伝説 衝立ての娘 鏡の乙女 忠五郎の話 第六章 妖怪のうた 一 狐火 二 離魂病 三 大蝦蟇 四 蜃気楼 五 ろくろ首 六 雪女 七 船幽霊 八 平家蟹 九 家鳴り 十 逆さ柱 十一 化け地蔵 十二 海坊主 十三 札へがし 十四 古椿 資料 ラフカディオ・ハーン略年譜 あとがき──ハーンの怪談ハンティングの旅
福井県西端の新興港湾都市・海市。大陸の動乱を逃れて大量の難民が押し寄せ、海市は中・韓・露のマフィアが覇を競う無法地帯と化した。相次ぐ現場警官の殉職に業を煮やした市警の一部が地下組織を作り、警官殺しに報復するテロ組織が誕生した。警官の警官による警官のための自警団。彼らは「P」と呼ばれたー。第5回大薮春彦賞を受賞した、著者渾身の最高傑作。
日系自動車メーカーのイラン工場建設のため、一億五千万ドルの巨大融資案件がもちあがった。大手邦銀ロンドン支店次長・今西は、国際協調融資の主幹事(トップ・レフト)を獲得すべく交渉を開始するが、かつての同僚で日本を捨て、米系投資銀行に身を投じた龍花が立ちはだかる。そこに突如、世界を揺るがす敵対的買収が…。弱肉強食の国際金融の現場を余すところなく描いた衝撃のデビュー作。
韓国を代表する詩人、アン・ドヒョン 日常のなにげない風景から、人と世界をみつめたエッセー集 「文を読んで書くこと、それはこの世と恋愛することではないか」とアン・ドヒョンさんはいう。しかも「心だけでの恋愛、手先だけでの恋愛を私は警戒する」と。 詩人の目で捉えた世界が、日常が、ゆったりと静かな風景の中を過ぎる。「尹東柱と福岡」「淋しがろう」「冬の希望」「私と靴の関係」「悲しい詩」など、詩人のやさしさが読む人の心を温かく包む。 詩人の心が大切にされ、多くの読者を確保し続けている韓国の文学的風土の豊かさが伝わり、透明でさわやかな風が吹き過ぎていく。これを読んだ人はきっと韓国に行ってみたくなり、詩人と同じ情景に浸ってみたいと思うに違いない。 氷蝉 尹東柱と福岡 日本を見る目 人が人に出会う夢 母親と妻の違い 淋しがろう 暖かいバス 不便な関係 ラーメン礼讃 凧のように 金剛山の旅 美食家の理由 寸志と寸書 新春文芸 文芸創作学科 冬の希望 人生とはなにか 朝顔の会 海を前にして 報春花 詩の国 私と靴の関係 詩集も商品だ 詩人と酒 民衆版画家 お金と詩人 虎が再び… 大人のための童話 赤いTシャツ 神の息子、将軍の息子 小犬の糞 悲しい詩 幼い息子に 本家の奥座敷 民衆と人民 インターネット時代 飴売り 詩集「農舞」 ある小説家 私の作業室 淡水魚を飼う 反米感情 地域感情 俳句と時調 夕べの祈り 詩人の白石 ある農民の頑固さ 詩人と戦士 無題 良いものは近くに 共に生きる あとがき 時代と向き合う酔いどれ詩人