2005年8月31日発売
平成元年東京。編集者の萩原祐介はビルの屋上から投身、しばらく空中を浮遊してから墜落死した。昭和13年満州。建国神廟の奉納オペラ『魔笛』を撮影すべく「宿命城」へ向かう善知鳥良一らの一団は、行く先々で“探偵小説”もどきの奇怪な殺人事件に遭遇する。そして祐介の妻・桐子は亡き夫を求めて、50年の歳月を隔てた時空を行き来することに…“検閲図書館”黙忌一郎が快刀乱麻を断つ第55回日本推理作家協会賞受賞作。第2回本格ミステリ大賞受賞。
探偵小説『宿命城殺人事件』の列帖装本と、善知鳥良一の手記とおぼしき折本には、50年の時空を隔てた世界をつなぐ昭和13年の不可解な出来事が綴られていた…。“この世には探偵小説でしか語れない真実というものがあるのも、また真実であるんだぜ”-人間消失、列車消失、三重密室、ダイイング・メッセージ、暗号、見立て殺人、仮面の男…本格探偵小説のあらゆるガジェットを投入した第2回本格ミステリ大賞受賞作。第55回日本推理作家協会賞受賞。
ヴィクトリアズ・シークレットのキャンペーン・モデルに抜擢された美女ジェイニー・ウィルコックス。彼女の望みは、NYのセレブ界で名声を勝ち取ること。社交界の華ミミ・キルロイからパーティの招待状を受け取った彼女は、とうとう成功の階段を上りはじめた。ミミの夫で大金持ちのジョージ、ジェイニーにぞっこんの映画会社社長セルデン、卑劣な映画プロデューサーのカムストック、そして若く美しいポロ選手ジジ…男たちを、手玉にとろうとするジェイニーの思惑はどう動くのか?!ドラマ『SEX AND THE CITY』の原作者キャンディス・ブシュネルによる待望の長篇ロマンス小説。
恋心を抱いていたジジと親友ミミが男女の関係になっていることを知り、衝撃を受けるジェイニー。それでもジジがいつか見せた笑顔の意味を信じるが…。また、ジェイニーは美貌だけがもてはやされることにうんざりし、映画プロデュースの仕事をしたいと思いはじめていた。そんなジェイニーの野望にあきれる夫セルデン。ふたりの関係は次第に険悪になっていく。そんな折、ミミとジェイニーはパリ旅行にいくことになった。パリはジェイニーにとって、モデルを始めた出発点。だが、そこでの思い出は決していいものばかりではなかった。雨の降るヴァンドーム広場で、ジェイニーは「あのとき」のことを思い出す…。
悪名高いカムストックとの過去の関係と脚本執筆料をめぐる金銭スキャンダルをマスコミに暴かれたジェイニー。セレブ界からはじきだされ、周囲の冷たい反応に苦しめられる。そんな妻を前に、セルデンは大企業のCEOとして、妻を取るか仕事を取るかという究極の選択を強いられる。売春婦というレッテルを貼られたジェイニーに絶望しながらも、まだ彼女を愛している彼が取った行動とは?そして過去と決別し、前に進む決意に満ちたジェイニーに力を与えたのは、やはりそのたぐいまれなる美貌だった!まやかしのようなNYセレブ界を描きながらも、現代女性の本音を大胆に追求したC・ブシュネル長篇小説、いよいよ完結。
昔々のこと。世界が古くなったので、えらい人たちは獏を創って、新しい世界を夢見てもらうことにしました。みんなは安心して獏のなかで眠りにつきました。でも、やがて獏は不安に囚われてしまったのです。自分のなかの人たちは実は死んでいるのではないか、と…まあ、そんなこんなで私は、戦いつづけているわけだ。商店街で敵を待ち伏せしたり、ヒト型戦闘機械に乗り込んだり、西瓜太郎の指揮で悪の王国に奇襲をかけたり。でも肝心の私とは誰か、まったく思い出せないのだけれどね、あの夕陽のきれいな街の風景以外はー9つの短篇と10の掌篇が織りなす、不条理で情けなく、けれどヒトに優しい戦争の話。
待望の第5部への序章!そしてついに、エイラは愛する人の故郷へ!傷ついた者を助け、最後の難関である酷寒の氷河を越えたとき、エイラは自分の体の変調に気づく。今から3万5000年前、最終氷期の終わり、大地震で孤児となったクロマニオン人の五歳の少女、エイラは、ケーブ・ベア(洞穴熊)を守護霊とするネアンデルタール人の一族に拾われる。種の違いから姿かたちも、ふるまいも、異形としか映らないエイラは数々の苦難にみまわれながらも、逞しく生きぬいてゆく。世界3,500万人に読みつがれている、最古のヒロイン、エイラの愛と冒険の物語。
浅緋は窃盗一家・ミヤタ家の末っ子、18歳。ところがある日、目を開けると、神々しいほどの美貌をもつアレム国王子、リゼスの腕の中に…。どうやら彼は足を滑らせた王子を庇って崖から一緒に落下、その衝撃で記憶喪失状態に陥ってしまったらしい。記憶が戻るまで宮殿に暮らすことになった浅緋…その心細げな様子が愛しくて、つい強引に身体を繋げてしまった王子だが…。書き下ろしロイヤル・スリリングラブ。
優秀だが極度の人間嫌い。無愛想な監察医の香坂は、事件を通して知り合った若手刑事、葛城から思いもよらぬ積極的なアプローチを受ける。警察官の父を殉職で亡くしながらも同じ道を選んだという葛城の、何事にも怯まぬ強い瞳を前にして、少しずつ解けていく香坂の強張った心…だが、かつて法医学教室にいた頃の屈辱に満ちた過去が、熱くなろうとする想いにブレーキをかけ…。書き下ろしクライム・パッション。