2006年12月20日発売
楊志は盗賊に襲われた村に遭遇する。人々は惨殺され金品は奪い尽くされていた。何も手を打とうとしない政府に衝撃を受けた楊志は、魯智深と共に盗賊の根城・二竜山に乗り込む。そして初めて吹毛剣を抜く。一方、国を裏から動かす影の組織・青蓮寺は、梁山泊の財源である「塩の道」を断とうと画策する。それに対抗するため、公孫勝率いる闇の部隊・致死軍が動き出す。荒ぶる北方水滸、灼熱の三巻。
江戸時代の広告代理店、広目屋「藤由」の香冶完四郎がおなじみ仮名垣魯文とともに、攘夷の暗雲垂れ篭める横浜へ。万国の人間が集う開港まもないこの地で起こる、不可思議な幽霊騒動や殺人事件。日本を食い物にしたいいじんの仕業か、それとも攘夷派の企みか。それぞれの文化がぎこちなく交じり合い、思惑がからみ合って起こる難事件のトリックを、見事な推理と剣さばきで、完四郎が解き明かす。
関ヶ原の敗将で、大名に復帰した例は宗茂以外にはない。大友宗麟の二人の忠臣を実父、義父とし、幼少時より合戦の心構えを厳しく教え込まれた宗茂は、その人柄を見込まれて立花道雪の養子となる。豊臣家への恩義を忘れず、関ヶ原の合戦では石田三成に味方して敗れるが、その後徳川秀忠に重用され、柳河藩の藩主に返り咲く。人間として筋を通した武将の、感動の生涯。
1934年、ドイツ。ナチスのエリート養成機関「ナポラ」に入学をはたした13歳のカールは、厳しい規律と訓練の続く寄宿生活の中で、エルヴィンというかけがえのない親友を得る。そしてエルヴィンのいとこである親衛隊所属のヘルマンへの憧れ。選ばれし少年たちの輝かしい日々の先には、希望と夢があるはずだった。
1942年、フランス。親衛隊所属となり過酷な戦いを強いられてきたカールは、束の間の休息を得ていた。一方、ヘルマンはソ連軍に捕らえられ捕虜として屈辱の毎日を送っていた。それでも「戦争」は続く。「ヒトラー・ユーゲント」の時代を生きた男たちの、心の軌跡をたどり、運命に翻弄されゆく姿を描く長編ここに完結。
あれほど憧れ続けた兄貴の背中を追いかけて、18歳の夏休み、僕は何もかも放りだして街を出た。兄貴の残した年代物のキャデラックに免許証。抜けるような夏空。ミニスカートにタンクトップの謎の美女・杏子ちゃんが、旅の相棒。個性あふれるヒッチハイカーたちと一瞬の出会いを繰り返しながら、僕は、ひたすら走り続ける!バカだからこそ、突き進める。真面目だからこそ、迷わない。-究極の青春小説。
ナチスに蹂躙されたポーランドを離れ、ニューヨークでひっそりと暮らすレオは80歳。だが、彼が60年前に書いた小説も人知れず海を渡って生き延び、幾多の人生を塗り替えていた。その小説の登場人物に因んで名づけられたアルマは14歳。夢見がちな彼女は、母に宛てられた手紙を覗き、小説に登場するアルマはいまなお存在すると信じ込む。自分の名の由来を突き止め、母や弟を救うための冒険は、彼女をどこに導くのかー。
蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人へと受け継がれる運命にあった底なしの孤独は、絶望と野望、苦悶と悦楽、現実と幻想、死と生、すなわち人間であることの葛藤をことごとく呑み尽しながら…。20世紀が生んだ、物語の豊潤な奇蹟。
アリゾナ砂漠の“アイスクリームショップ”には、誰も知らない秘密があった。幾千の星とサボテンの庭に囲まれたトレーラーハウスに暮らす孤独な男・シオと少女・ジョゼフィン。生と死と永遠と、この宇宙自体の秘密を語る、たった一度きりのお話。イギリスで激賞された瑞々しい感性、話題のデビュー作。
末期ガンを患う西洋画の大家・篠崎源一郎が、入院先の病院から失踪した。三陸鉄道北リアス線のレトロ列車に乗って、久慈から、宮古へ。看護婦の田代由美子の献身的な協力を得て、生涯最後の大作を描くために、三陸海岸の名勝・浄土ヶ浜に向かったのだ。精力的な創作活動をつづける篠崎の前に現れた私立探偵が、東京で殺され、事件の真相を追って、十津川警部が、三陸へ飛んだ!篠崎の妻・昌子、モデルとなった美少女・亜里砂、そして、画商・花井久美ー。篠崎をめぐる女たちの怪しい行動は、なぜなのか?ロマンあふれる筆致で、人生の愛と裏切りを描く、巨匠の渾身力作。
「あの二人は、本当の夫婦ではありませんね…」ベテラン警部・藤之木秀夫の言葉に新米刑事の三尋由香里は驚いた。猪苗代湖畔で発生した心中事件の再捜査の過程で「AIZUマウントエクスプレス」に乗り換えた二人。退官間際の藤之木がその車中で偶然接触した老夫婦に対して感じた些細な違和感が、やがて猪苗代湖夫婦心中、北千住夫婦焼死事件と結びついていく。