2006年4月30日発売
なんにもない田舎で暮らす小学生センリ。でも気になることは山ほどある。クラスメイトとの微妙な距離感、となり町での発見、垣間みるオトナの事情…。“明るい子ども”でいるため、言葉にできなかった7つの思い。人生で一番長い6年。小学生センリが初めて知る、不安、痛み、憧れ、恋。『檸檬のころ』で注目を集めた24歳の新鋭が、新しい発見に満ちた日々とほろ苦い成長の過程を、細やかに掬い上げる。
アンティーク店フラココ屋の二階で居候暮らしをはじめた「僕」。どうにも捉えどころのない彼と、のんきでしたたかな店長、大家の八木さん、その二人の孫娘、朝子ちゃんと夕子ちゃん、初代居候の瑞枝さん、相撲好きのフランソワーズら、フラココ屋周辺の面々。その繋がりは、淡彩をかさねるようにして、しだいに深まってゆく。だがやがて、めいめいがめいめい勝手に旅立つときがやってきてー。誰もが必要とする人生の一休みの時間。7つの連作短篇。
70年代半ばの就職氷河期に中堅商社に入った「僕」の社内抗争、リストラ、独立、合併と続く社会人としての転変と、一人娘の不登校、不良化を防ごうとする父親、家庭人としての奮闘をユーモアのある読みやすい文章で描く、切実な現代の物語。30年前に死んだ大好きだった叔父さんに語りかける、暖かくて新鮮な大人の小説。
14世紀後半の英国。宗教改革の先駆者ウィクリフの手で初めて庶民の言葉、英語に翻訳された聖書。迫害を耐え忍びつつ新しい聖書に美しい挿絵を描く流浪の絵師フィンは、美貌の女領主キャスリンの元に身を寄せ、彼女と恋に落ちたがゆえに、神父殺害の嫌疑をかけられる。英国小説伝統の語りの面白さをゆたかに継承し、スリリングな場面の連続で、読み出したらやめられない歴史ロマン。
ダーティペア・イン・ソード・アンド・ソーサリー!?バーバリアン・エイジは、超人気テーマパーク。最新テクノロジーで、大陸まるごとひとつをヒロイックファンタジーの世界に仕立てあげてしまっているのだ。ところがここに犯罪組織が介入しているとの情報があり、WWWAのトラコン、ユリとケイが潜入捜査に乗り出したのだが…道は険しかった。ロバート・E・ハワードに捧げる、シリーズ初のヒロイックファンタジー。
「もう少し頭取を続けるからな」。金融界のカリスマと呼ばれる六十七歳の、この言葉が引き金だったろうか。メガバンクトップの座禅譲を願い、彼に仕えぬいてきた秘書室長に悪心が兆したのは。折しも、経営悪化行を吸収せんとライバル行との抗争が勃発。世界一銀行への野望をいまだ膨らませる老頭取の、こここそが戦死の舞台にふさわしい。一大再編劇の裏側で、室長の暗闘が始まった…。苛烈!経済サスペンス。