2006年5月30日発売
日暮れの両国広小路。商家の裏手口から男が現れる。深編み笠に、着物の上には黒い被布。置き行灯をのせた机と腰掛け二つ。一つは男が使い、一つは客のためのもの。男は黙って話を聞く。ただ聞くだけだ。が…。おもわず語ってしまう胸のうち。誰かに聞いて欲しかったこの話。江戸・両国。人の心の機微を描く連作時代小説。
苛烈な第一次世界大戦。イタリア軍に身を投じたアメリカ人青年フレドリックは、砲撃で重傷を負う。病院で彼と再会したのは、婚約者を失ったイギリス人看護師キャサリン。芽生えた恋は急速に熱を帯びる。だが、戦況は悪化の一途を辿り、フレドリックは脱走。ミラノで首尾よくキャサリンを見つけ出し、新天地スイスで幸福を掴もうとするが…。現実に翻弄される男女の運命を描く名編。
イタリア系移民の父が興した造園業を息子にゆずり、軽飛行機三昧の日々を送る主人公。幼い二人の子を遺し、韓国系の妻が自殺めいた死に方をしてから四半世紀。地上半マイルから見下ろすと、すべての憂さが消えてしまうようだ。-だが、母を喪った子どもたちを育ててくれた長年の恋人は去り、老いて施設に暮らす父はいよいよ衰え、結婚を控えた娘は、重い病に襲われる。愛する者を半ば遠ざけるようにして生きてきた男に、決断のときが迫ってくる。全米期待のコリアン・アメリカン作家による、三代に亘るカンバセイション・ピース。
大学の非常勤講師をしながら夜はバーのマスター、さらに私生活ではその店のオーナーである色男極道、横溝の愛人=ペットーそんな三重生活を送る怜だが…、横溝が身内のゴタゴタで忙しくしている隙に北京大学からやってきた新任教授、尹先生がなぜか急接近。一見紳士な尹教授のとんでもないセクハラ攻撃に晒される事態に…。独占欲全開。意地悪&絶倫“ご主人様”シリーズ、エロフル書き下ろし第2弾。
東洋の血を引く青年、仁は英国侯爵エドモントン卿の次男。狩猟犬サルーキのトップブリーダーである父の命を受け、砂漠の遊牧民ベドウィンのキャンプを単身目指した仁だったが、苛酷な地で迷子になり…漆黒の髪と力強い眼をもつ黒衣の美丈夫に助けられる。彼こそが優秀なサルーキの飼い主で、若き族長のサルウィンだった…。砂の大地に咲いた愛は束の間のもの…?灼けつくスリリング・ロマンス書き下ろし。