2006年6月1日発売
痴情小説痴情小説
岡山で生れた女には、東京も、韓国も、ベトナムも、みな異国だった。そんな異国の男との情事のさなか、快感に震える女の肌の裏側で、岡山の地霊は冥く疼きはじめる。官能が高まるほどに、死の匂いを纏わりつかせた、懐かしくも恐ろしい土俗の記憶が溢れてくるのは、なぜー。自ら惜しみなくエロスを生きる著者だけが探り当てたエロスの最奥。痺れる甘さと蕩ける毒に満たち13篇。
銃銃
昨日、私は拳銃を拾った。これ程美しいものを、他に知らないー。ある夜、死体の傍らに落ちていた拳銃。それを偶然手にした私は、次第にその“死と直結した機械”に魅せられていく。救いのない孤独と緊張。膨らみを続ける残酷な妄想。そしてその先には、驚愕の結末が待っていた…。非日常の闇へと嵌まり込んだ青年の心の軌跡を、確かな筆力で描く。若き芥川賞作家、堂々のデビュー作。
イノセントイノセント
あなたと私、二人きりですべてをわかちあった秘密の時間ー。数奇な生い立ちをもつ渚と玲奈。幼くして知り、別離を経てめぐり合い、もう離れられないと悟った二人は、手を取り合って許されざる官能に身を投げ出す。無垢すぎる魂が引き寄せる悲劇。狂おしくも甘やかな死の予感言葉と写真の奇跡的な融合が小説を超える世界を生み出す。一篇の映画にも似たコラボレーション・ブック。
人斬り般若人斬り般若
自らの出生の秘密に苦悶する元亀岡藩士、如月夢之介が忽然と姿を消して、早一年。渡世人、霧立の甚五郎は、おかま侍こと堀内新之丞の助言によって、ようやく夢之介との再会を果たす。しかし、夢之介は新たな秘剣を体得し、腕はさらに凄みを増していたものの、心は死人同然だった…。満開の桜に浮かれる大江戸では、般若の面をつけた謎の刺客が次々と亀岡藩士を殺めていた。その狙いは?夢之介は陰謀に揺れる亀岡藩を救うことができるのか?好評シリーズ第2弾。
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