2007年11月発売
山田悠介初の短編集が待望の文庫化!遊園地へ遊びにきたカップルが巻き込まれる、生き残りデスゲーム…(「ジェットコースター」)、動物や昆虫の死体を撮るのを生き甲斐としている男が、偶然人間の死体を見つけたことから始まる狂気の世界とは!?(「写真メール」)、他にここでしか読めない書下ろし短編「人間狩り」の三本を収録。
きみも緑色の猿を見たのかい?嵯峨敏也と名乗る男にそう聞かれた瞬間から、女子高生の知美の存在は周囲から認識されず、母親からも拒絶されてしまう。彼は敵か味方か?折しも国内では岬美由紀のある行動が原因で中国との全面戦争突入のタイムリミットが迫っていた。公安に追われながらメフィスト・コンサルティングに立ち向かう美由紀の活躍が、改稿の域を超えほぼ新作となり生まれ変わったクラシックシリーズ第2弾。
ほおら、みいつけたー。きしんだ声に引かれていくと、死にかけたペットの山の中、わたくしは少女と出会いました。その娘はきれいだったので、もっともっと美しくするために、わたくしは血と粘液にまみれながらノコギリをふるいました…。優しくて残酷な少女たちが織りなす背徳と悦楽、加虐と被虐の物語。日本推理作家協会賞短編部門候補の表題作をはじめ五編を収録、禁忌を踏み越え日常を浸食する恐怖の作品集。
人間たちは、テングとブタに二分されている。鼻を持つテングはブタに迫害され、殺され続けている。外科医の「私」は、テングたちを救うべく、違法とされるブタへの転換手術を決意する。一方、自己臭症に悩む刑事の「俺」は、二人の少女の行方不明事件を捜査している。そのさなか、因縁の男と再会することになるが…。日本ホラー小説大賞短編賞受賞作「鼻」他二編を収録。大型新人の才気が迸る傑作短編集。
カタコーム戦役で皆を叱咤した城外の民の指導者、ジンバックが死んだ。弔いに訪れたベル一行は、城外の友人たちと再会し、酒と剣と恋に夜は更けてゆく。一方、飢餓同盟に身を投じたアドニスは、究極の治療薬にして猛毒「試者の灰」を手に城を襲い、王に挑みかかった。今度は敵としてベルの前に立ったアドニスは笑いながら問いかける。「俺を、斬れるか?」-冲方丁がおくる魂のファンタジー、狂騒の第3巻。
このごろ都にはやるもの、恋文、凡ちゃん、二人静。四神見える学舎の、威信を賭けます若人ら、負けて雄叫びなるものかと、今日も京にて狂になり、励むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。このごろ都にはやるもの。元カレ、合コン、古長持。祗園祭の宵山に、浴衣で駆けます若人ら、オニと戯れ空騒ぎ、友と戯れ阿呆踊り。四神見える王城の地に、今宵も干戈の響きあり。挑むは御存知、是れ「ホルモー」。負けたら御存知、其れ「ホルモー」。古今東西入り乱れ、神出鬼没の法螺試合、若者たちは恋謳い、魑魅魍魎は天翔る。京都の街に咲き誇る、百花繚乱恋模様。都大路に鳴り渡る、伝説復古の大号令。変幻自在の第二幕、その名も堂々「ホルモー六景」、ここに推参。
お客さまが持ち込む謎と、その解決。それが当店の裏メニューです。マスターの工藤が作るちょっとした料理と、アルコール度数の異なる4種のビールが自慢のビア・バー香菜里屋が消えた…。人気「香菜里屋」シリーズ完結編。
名前も知らないままあなたを好きになった。名前も知らなかったあなたが運命を変えた。ケータイ小説の女王、「新しい愛の形」を描き切る。運命好きの運命好きによる運命好きのためのLOVEストーリー。
20万の兵、梁山泊軍を襲う 官軍は、禁軍、地方軍、水軍あわせて20万の軍兵を投入してくる。空前の規模の攻撃を、梁山泊軍が迎えうつ。一方、石梯山では魯達らが、傭兵である張清の軍と対峙していたーー。(解説/細谷正充)
児童福祉施設の保育士だった美佐江が、自宅アパートで25歳年下の夫と焼死した。その背景に、女の姿が浮かび上がる。盗み、殺し、火をつける「アイ子」。彼女の目的は何なのか。繰り返される悪行の数々。次第に明らかにされる過去。救いようのない怒りと憎しみとにあふれた女は、どこからやって来たのか。邪悪で残酷な女の生を、痛快なまでに描き切った問題作。
「なかなかキュートな足跡なのよ」。恋人が教えてくれた、妖精の足跡の捕まえかた。ぼくが試してみると、本当に歩いた跡が残っていた。そこで、妖精の映像を撮影しようとするが…(「ラブ1からラブ3」)。水没したお台場にできた新国家、廃墟で死を待つ少女、校舎の屋上にある秘密の楽園ー。日常の隣りにある小さな奇蹟を、鮮烈に描いた掌編集。単行本未収録の作品を加えて待望の文庫化。
松の廊下の刃傷で内匠頭は切腹、浅野家はお取り潰し。後室瑶泉院は、夫の墓参に泉岳寺を訪れる。そこに、なぜか吉良上野介の妻・富子の姿が。吉良への憎悪をたぎらせる瑶泉院と、静かな晩年を過ごす富子に降ってわいた夫の危機…。妻心を切なく描く表題作他、小伝馬町牢屋敷を預かる囚獄の家に生まれた青年が出逢った女との「悲恋」など全4篇を収録。実在の人物をテーマにした傑作時代小説集。
会話が通じない。ひょっとしたらおかしいのは自分?「コミュニケーション・ブレイクダウン」「陽気な僕ら浮気なあんたら。ハッピーなデイズ」「反省の色って何色ですか?」ほか、日常で噛みしめる人生の味は、苦虫の味。文筆の荒法師、町田康の叫びを聞け。
動物生態学者・朝倉は、ハヤブサ科の鳥、チョウゲンボウの群れの渡りを追跡している際に、通常ありえない高度を飛翔ルートに取る異常行動を観測した。朝倉は、このことからある仮説を導きだし、その仮説を裏づけるような異変が報告されはじめる。それは単なる動物の異常行動ではなく、地球の命運を左右する凶変の始まりにすぎなかった。人類の生存を賭けた熾烈な戦いを描いて、人間存在の根源に迫る、究極のハードSF。
心の中からイメージが呼びかける。何かが彼の脳を刺激する。衝き動かされるように、描き続ける。一枚の絵が仕上がった。もう一枚、そしてもう一枚…。二つの殺人事件は、一見何のつながりもなさそうだった。だが、そんなことはあり得ない。いずれの死体にも、ピンでスケッチ画がとめられていたのだ。被害者の死体を克明に描き写した不気味な絵が。事件を担当するニューヨーク市警のテリ・ルッソ刑事は困惑していた。絵は事件の前に描かれている。犯人はあらかじめ絵を描いて、その通りに殺人を犯すというのか?一計を案じた彼女は、以前に依頼したことのある似顔絵アーティストのネイト・ロドリゲスを呼び寄せる。画家の目で見れば、新たな発見があるかもしれない。依頼に応じたネイトはたちどころに犯人の特徴に気づき、その心理を看破する。だがそれは、恐るべき迷宮の入り口に過ぎなかった…。画家でもある著者が、多数の自作スケッチを駆使して展開する、ヴィジュアル・サスペンスの極致。
長年勤めていた銀行を上司との軋轢から辞めた池澤。退職後は経験を生かしてコンサルティングや雑文を書いたりしてやっと食べているような生活ぶりだ。そんなときかつて後輩だったという女性から一通のメールが舞い込んだ-。