2007年3月発売
はるか未来の地球で、数千年にわたり、仕事も学問もせず、衣食住のあらゆることを自動機械の下僕たちに任せ、パーティーに明け暮れていた人類の生き方は、ある日、突然襲ってきた大流星雨とともに、大きく変わった。世界の謎を探るべく旅に出たハーマンとディーマンの冒険で、地球をめぐっていた小惑星が落ち、世界中の送電が停止され、自動機械の下僕は動かなくなり、これまで忠実な召使いとして働いていたヴォイニックスたちが人間を殺しはじめたのである。女主人アーダの住むアーディス・ホールに集う人々は、そこに滞在していたオデュッセウスの指導のもと、大きく変貌した世界の状況に対処すべく、独自の活動をはじめていた。だが、そこにも恐るべき敵が近づいてきつつあった…“ハイペリオン”シリーズで人気のシモンズが、ギリシア神話をめぐる物語をはじめ、シェイクスピア、シェリー、ブレイク、ブラウニングなどの戯曲や詩を織りこみつつ描く、トロイア戦争をめぐる壮大なSF巨篇。
イスラエルの都市テルアビブに瀟洒な家をかまえるアラブ系の医師アーミンは、最愛の妻シヘムとともに幸福な生活をおくっていた。だが、あの自爆テロがすべてを変えた。19名の犠牲者。その中にシヘムがいたのだ。呆然とするアーミンに刑事は衝撃的な言葉を吐く。「テロの首謀者はあなたの妻だ」妻は妊婦をよそおって爆弾を腹に抱え、自爆したという。なぜ彼女がそんなことを…。アーミンは真相を探るため、妻のルーツを探り、やがて想像を絶する真実に辿りつく。イスラムの夫婦の見えざる亀裂を描き出す、哀しみに満ちた愛の世界。テロが横行する極限下、イスラム社会の至高の愛と究極の絶望を描いた傑作。
拓己と省吾の“有機融合”によって誕生するスーパーヒーロー・イズミは、行方不明の少女・響子を捜し求め、西へ向かう。“ジュリア”の創造した合成人間カスミの攻撃をかわしつつ、ついに“京都”へと入る。西の組織・白十字を率いる“千里眼の岐世子”とは、果たして何物なのか?そしてイズミの前に立ちはだかるは、最強の合成人間アスカ。その勝負や、如何に!?巻末に、著者・若木未生氏と、イラストレーター・岡崎武士氏の特別対談を収録。今だから言える(?)裏話が満載。ファン必携の書。
新署長赴任の朝、署の正面玄関前で衝撃的事件が起きた。刑事と、連行中の容疑者が雑居ビルから狙撃されたのだ。目の前で事件に遭遇したK・S・Pの沖幹次郎刑事は射殺犯を追う。銃撃戦の末、狙撃犯のひとりを仕留めるが、残るひとりは逃亡した。だが、それは新宿に血腥い嵐が吹き荒れる序章にすぎなかった…新宿を血で染めるチャイニーズマフィアと暴力団の抗争。野性刑事・沖幹次郎が真相を求めて疾駆する!長篇ハードアクション。
『こゝろ』は漱石作品の中でも最も研究され、語られつづけている。それはつまり、『こゝろ』論が近代文学研究の縮図であり、代表であるとも言えるだろう。その数多くの言説の中から、すぐれた論の最もすぐれたところ、問題となる箇所を引用し、主題・構造・語り・視点・人物像などの核心を浮き上がらせる。『こゝろ』像の変遷がわかる、『こゝろ』を研究しようとする人の必携の書。『こゝろ』文献目録を付す。
アメリカで家族とともに暮らしていたサッカー好きの青年サンティアゴは、ある日、スカウトに才能を見出され、イングランドの名門ニューカッスル・ユナイテッドの練習生となる。数々の試練を乗り越えながらも確実にゴールを決め、チームに勝利をもたらすサンティアゴ。やがてチームになくてはならないスター選手となった彼は、婚約者ロズとともに充実した日々を送っていた。そこへ突然、世界最強チームと名高いスペインのレアル・マドリードから移籍話が舞い込んだ!舞台を、イングランド・プレミアリーグから、ヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグへと移し、サンティアゴの新たな挑戦が今始まる。