2007年8月25日発売
囲碁の口論から父を惨殺した笠原孫七郎を追って三十年。信州松本藩の夏目半介は仇討ち費用を人に貸して生計を立てる江戸暮らし。ふとなじんだ娼家のお君の、熟れた体に激しく溺れた。そのお君が悪事を犯しただんなと江戸を出奔、半介は後を追うが、その男こそ…。「うんぷてんぷ」以下、江戸時代の仇討ちをテーマとする八編を収録。仇討ち制度の非人間性と、それに翻弄される人間たちの運命を鮮やかに描く珠玉作品集。
今日、パパが死んだ。昨日かもしれないけど、私には分らない。そんなこと、どっちでもいい。何しろ私のパパは、仕事、仕事で、1年のうち半分は外国を飛び回っている。そんなパパをいわば子供らしく愛せと言われたって無理な話だ。でも私は知っている。本当は、ママがパパを殺したんだっていうことを…。父の死。莫大な遺産をめぐる争い。母の若き婚約者の出現。やがて、13歳の少女、有紀子に残酷な殺意の影がー。
一度しかない16歳の夏、私とママは再び海辺の別荘にやってきた。3年前にあの「事件」が起こった場所だ。ママも私も事件のことは口に出さず、毎日が穏やかに過ぎてゆく。ところが1週間後、私とそっくりの服を着た少女が目の前で殺された。そして次々と届けられる奇怪なメッセージ。誰かが私の命を狙っている…?『殺人よ、こんにちは』から3年、過去の秘密を胸に抱き、ユキがあの海辺に帰ってきた。
晁蓋、暗殺の危機 廬俊義が塩の道を再開しようとしていた。青蓮寺の探索を攪乱するため、晁蓋自らが指揮を執り、史進、朱仝らとともに出陣する。しかし晁蓋に暗殺者・史文恭の魔手が迫るーー。(解説/岡崎由美)
28歳の若き研究者、瀬戸口の計算式は、マグニチュード8規模の直下型大地震が東京に迫っていることをしめしていた。十年前の神戸での震災、あのとき自分は何もできなかった。同じ過ちを繰り返したくはない。今、行動を起こさなければ…。東京に巨大地震が起こったら、高速道路は、地下鉄は、都心のビル街は、いったいどうなるのか。最新研究に基づいてシミュレーションした衝撃の作品。
「水パイプの中の恋と冒険の物語」「優美な宮殿の美しい二姉妹の物語」「坊さんも気絶するナス料理の物語」「ミナレットが空を飛び魔神を滅ぼす物語」…。タイトルだけでも心が躍る、楽しく夢あふれるファンタジー22話。イスラム諸国を幅広く訪ね、その歴史と文化を肌で体験した著者が、愛と薀蓄をこめて贈る、清水義範流・傑作千夜一夜物語。物語に酔いながら、イスラム世界を旅する心地ー魅惑的な作品集。
モダニズム小説の傑作 現在と過去を自在に行き来し、青春時代を回想する「意識の流れ」の文体で、クラリッサ・ダロウェイの1923年6月、第一次大戦の傷跡残るロンドンのある一日を描く。モダニズムの代表作。
軍靴の音が忍び寄る昭和9年。かすかな地響きをあげ、数多の自転車が中山道を疾走する。国策に反して高い賞金の懸けられた本州横断大日本サイクルレースには、企業チームやドイツからの海外チーム、個人参加の選手たちがひしめいていた。ある決意を胸に秘める響木健吾は、有望な個人選手を集めて即席チームを組む。素姓も目的も不明な彼らが力を合わせたとき予想外の事態が!すべての走る男たちに捧げる自転車冒険小説。
わたしは21歳まで男性に触れられたことがなかった。処女だった。一生ずっと、喜びも痛みも経験できない気がしていた。身体が疼いていた。でも、わたしは醜い。わたしの醜さは、まさに悲劇だ。ある時、わたしはモデル募集の奇妙な新聞広告を見つけた。醜さは「特徴」なんだろうか?でも、もし採用されれば、生まれて初めてだれかの強い視線を浴びられる。心を決めて、わたしは受話器を手に取った。こうして、わたしは40歳前後のカメラマン、ジョアキム・ケレルマンと出会った。彼の背は低く、肌は疲れ、髪は薄くなり始めている。それでも、わたしは彼を愛するように…。
自称・Bワン探偵の私が事務所兼自宅マンションで目にしたのは、新宿のピンクサロンで知り合った加奈子の死体だった。頚から下の皮を剥かれた遺体を部屋へ運び込んだのは誰か?自称・Bワン探偵の直感は、私をマンションの管理人へと導く。だが、自称・Bワン探偵にとっても遺体の処理は問題だった。私は、物言わぬ彼女の熱い想いに応えてやることにした。剥きたての桃にまぶされる自称・Bワン探偵の精液。私は彼女をユニットバスで洗い清めてあげることにした。立ちこめる蒸気の中、茹だった彼女の肉。自称・Bワン探偵の私の手には、包丁の白銀の輝き。それは地獄の始まり。
ベストセラー『クロスロード』『クロスオーバー』の最強コンビが贈る心の奥に潜む小さな闇を照らし出す心理ミステリー。他人のココロがよく見える、コミュニケーションがうまくなる、初めての推理小説。
性への好奇心から、年上の女性に手ほどきを受けた一矢だったが、それを母の彩花に知られてしまった。当然非難されると思いきや、母は一矢の指を自らの体に導いて…。それを機に、母を女として意識し始める一矢。母の寝室に忍び込んだ彼を待っていた意外な光景、そして母の思わぬ告白。ついに彼は一線を越えた…。禁断ノベルの名作がここに甦る。