2008年10月発売
鏡の向こうに足を踏み入れた途端、チェス盤のような空間に入り込むー『鏡の国のアリス』の世界を思わせる「アリス・ミラー城」。ここに集まった探偵たちが、チェスの駒のように次々と殺されていく。誰が、なぜ、どうやって?全てが信じられなくなる恐怖を超えられるのは…。古典名作に挑むミステリ。
夏の館と冬の館に強制的に集められた男女に「主催者」は命じる。「今から起きる殺人事件の犯人を当てよ」。被害者は彼らの中から選ばれていき、しかも、もう一つの館より早く犯人を当てなければならない。不正解の代償は館に残る全員の「死」-。矢野龍王、待望の文庫初登場!第三十回メフィスト賞受賞作品。
幻の名作「あわせ鏡に飛び込んで」をはじめ、瞬間接着剤で男をつなぎとめようとする女が出てくる「あなたをはなさない」、全篇、悩み相談の手紙だけで構成されたクライムミステリー「書かれなかった手紙」など、選りすぐりの10篇を収録。精緻に仕掛けられた“おとしあな”の恐怖と快感。
本所入江町の柿長屋に住み込んだ若い浪人孫谷兵六。夜襲をかけられ、町人ばかりの長屋は大騒ぎとなる。兵六には藩の剣術試合で勝った古井虎之助に逆恨みされ、一家を惨殺された過去があった。長屋の住人たちに癒される兵六に、腕を見込んだ岡っ引の岩吉が近づく。人情が沁みる新シリーズ開幕。
人には言えないある理由から、故郷・熊野を捨てた26歳の薬剤師・神山禮子。何かに衝き動かされるように参加した熊野旅行で、彼女は…。後鳥羽上皇たちは、なぜ苦行の熊野詣でを繰り返したのか?牛王宝印にかけられた呪と、八咫烏の正体とは?崇が神話の本質を暴くとき、禮子の真実が溶け出していく。
立て篭もり無理心中、女性警察官殺し、中学生乱射事件。いずれも凶器となったのは、同じ型のマグナム銃だった。愛崎署で銃器薬物対策係に所属する佐倉は、潜入捜査官となって銃の密売経路を追う。頼れるのは、うだつのあがらない極道、跡見ただ一人ー。不器用に信条を貫く男の姿を描いた警察小説の感動作。
「人を殺して来たの」と、美樹の部屋に訪ねてきた同級生雪乃は妊娠していることを理由に、ずるずる居続ける。殺人者を匿まっている秘密を、美樹は別れたばかりの不倫相手の妻暁子に知られてしまう。身体も環境も大きく変わるアラウンド・フォーティーの女性たち。その心理が思わぬ事態を引き起こす傑作サスペンス。
冥界への入り口に咲くというあやめの名を持つスナックで同級生との再会を待ち望む男。酒宴のために仕入れた鰈を詰めたアイスボックスを抱えたまま地下鉄から降りることのできない男。横たわる妹のひかがみに触れた手が噛み千切られる妄念に陶然となる男。妖しく絡み合う三つの物語。木山捷平文学賞受賞作。
「週に三度、他の男とセックスすることを習慣にして」いる主婦・麻美。彼女の不倫相手が、次々と身体全体に瘤のようなものを作って原因不明の死を遂げる。彼女自身の肉体にも異変が起こる。女同士の憎悪や嫉妬、母娘で繰り返される愛憎劇。一見幸せな主婦の誰にも言えない秘密とは…。
二世紀末、中国後漢末期、政治は腐敗し、黄巾賊が各地にはびこって、民衆は苦しんでいた。青年劉備は、同志関羽、張飛と桃園で義盟を結び、世を救うことを誓う。ここに百年に亘る治乱興亡の壮大なドラマの幕が開く。吉川英治の名著『三国志』本編のみをまとめた新装版。「桃園の巻」「群星の巻」収録。
黄巾の乱から十年、天下の形勢は大きく変わり、曹操が抜きんでた存在となっていた。劉備は関羽、張飛を擁するものの今は小沛の城を守るのみ。しかし、諸侯の間に日増しに高まる打倒曹操の声に、劉備も謀議の仲間に加わる。吉川英治の名著『三国志』本編のみをまとめた新装版。「草莽の巻」「臣道の巻」収録。
劉備は三顧の礼をもって孔明を迎え入れ、天下人として開眼するが、曹操の追撃の手は一向に緩まない。国力を拡充させていた呉の孫権に、檄を飛ばす曹操。孫権を説き伏せる孔明。かくて、赤壁での会戦へと時は流れていく。吉川英治の名著『三国志』本編のみをまとめた新装版。「孔明の巻」「赤壁の巻」収録。
赤壁の戦いで、曹操は大敗。劉備は蜀を得て、魏・呉・蜀三国の争いは、ますます激しくなり、呉の周瑜、蜀の孔明、両知将の謀略の戦いが演じられる。一方、頭角を現し始める司馬仲達の進言で、曹操も失地回復を窮う。吉川英治の名著『三国志』本編のみをまとめた新装版。「望蜀の巻」「図南の巻」収録。
関羽、孤立無援の中で鬼籍に。続いて曹操、劉備も命運尽きる。三国の均衡は破れ、蜀の興廃は、ただ孔明の双肩にかかっていた。孔明、仲達、連戦七年、ついに孔明も五丈原で星となる。吉川英治の名著『三国志』本編のみをまとめた新装版。「出師の巻」「五丈原の巻」収録。
死線の蒼(デッドブルー)×堕落三昧(マッドデモン)×害悪細菌(グリーングリーングリーン)。戯言遣い絶体絶命。戯言シリーズ第四弾。
ハゾスは、シルヴィアが生んだ赤子を殺すことができずロベルトに託し、公けには、王女は想像妊娠であったとして、赤子の存在を隠蔽した。そして、彼女の不祥事に関与した者たちを訊問し、事実関係を詳らかにしてゆく。苦悩するグインは、シルヴィアと話し合おうとするのだが、彼女からは憎しみに満ちた罵声を聞くばかりで、ついにグインは訣別の言葉を告げる。そして皇帝アキレウスも大きな決断を迫られようとしていた。
気まぐれに駅の四番線ホームに現われて易を立てる謎の老人、通称ヨンバンセン。よく当たるということからしだいに評判を呼ぶことになり、その正体に迫ろうとする者まで現われる!?東京の下町を舞台にした、異色の連作人情ミステリ第2弾。
新潟市内に三十数名の北朝鮮精鋭特殊部隊が潜入!拉致情報機関員の奪還を端緒として“戦争”が偶発したのだ。初めての実戦を経験する陸上自衛隊の激闘ー。防衛庁対遊撃検討専任班の桂川は対策に追われるが、彼の狙いは他にもあった。それは…。息をもつかせぬ急転また急転。そして、衝撃の結末!いま一番の注目株・黒崎視音の文庫最新作。
葬儀をだしていた男が殺された。死んだはずの商家の隠居は葬儀の最中に刺し殺され、本当にあの世に送られてしまったのだ。文之介と勇七が調べたところによると、いたずら好きの隠居は、自分の葬儀を眺めて、どんな人が来てくれるのか、確かめたかったのだという。さっそく、探索をはじめたふたりだが、今度は定町廻りの先輩同心が殺されて…。