2008年11月30日発売
今より少しだけ未来の202X年。小学生の間では、ウェラブルコンピューター「電脳メガネ」が大流行していた。この「メガネ」をかけると、必殺技を手に入れたり、電脳ペットを飼ったり、子どもたちだけのとびきり刺激的な秘密の遊びをすることができるのだ。ただし、「メガネ」を楽しめる時間には限りがあって…。ヤサコを目の敵にしてつけ狙う他校の「三人組」、イサコを危険視して遠ざけようとするおとなたち、それに反発してイサコに心酔する“信者”たち。ヤサコたちの周囲は、ますます不穏な空気に包まれる。そんな中、大黒市からイサコの姿が消える。イサコの行方を懸命に捜すヤサコたちの前に、二度目の赤い柱ー“合図”が立った…。
友だちのこと、家族のこと。抱えきれないほど悩みはあるけれど、ふつうの高校生活を送っていた水嶋ほのか。でも、芸能プロダクション・サザンクロスのオーディションを受けたときから、ほのかの人生は、大きく動き出した。一緒に地区予選突破を誓う、友だちのひかり。初めての恋に悩みつつ、ほのかを応援するミッチー。大切な友だちの想いを背負って、オーディションにのぞむほのかだが、その会場には学校中の憧れの人、サッカー部キャプテンの松山先輩もいて…16歳のひと夏の想いをすべてこめて、ほのかは今、これまでの人生では考えられなかった華やかなステージへの階段を上り始める…。ピュアで胸が熱くなる、青春小説。
群馬県の田舎町で起きた夫婦殺害事件。警察は被害者の幼馴染で建設現場労働者の大船貢を逮捕した。全くの濡れ衣であったが、逮捕・裁判の過程で、貧しいながらも幸せだった家庭は一挙に崩壊した。三女・典子は看護師として働いていた。ある日、元教師の老人が入院してきた。毎夜うわごとを繰り返す老人の言葉は、偶然、冤罪事件に関係したものだった。意外なところから、真相をつきとめる手がかりを得た典子は、冷たい復讐の心を宿しながら謎を追い始める。書下ろし長篇社会派ミステリー力作。
パリ十六区の高級住宅地に居を構える裕福な産婦人科医・パリ大学教授のジャン・シャボは、一見、家族や同僚、仕事や社会的身分に恵まれ、妻公認の愛人もいて、何不自由のない四十九歳の働き盛りと誰もが羨む男だ。しかし内実は三人の子供と妻には裏切られ、母には疎まれ、妻の実家からは屈辱的な干渉に逢い、医療過誤の恐怖に怯え、心身ともに深く傷ついた内面を密かに抱えている。唯一心を解放できたブロンドでバラ色の肌の少女〈熊のぬいぐるみ〉との密やかな交情も、秘書の手で奪われ、その後セーヌに身投げした少女に関係する匿名の男の脅迫に追いつめられていく。ある夜、死を覚悟したジャンは、拳銃をポケットにしのばせて、パリの街へ絶望の地獄巡りに出かける…。ジッド、モーリアック、アナイス・ニンが絶賛したシムノンの「本格小説」の絶品。
『カリブ諸島の手がかり』の名探偵ポジオリ教授が帰ってきた。姿なき脅迫者に怯える男に助けを求められたポジオリが超自然的な怪事件に遭遇する「つきまとう影」、失踪した女性が残した一枚の写真から意外な真相を解き明かす「尾行」など全九篇。長く雑誌に埋もれていた幻の第二シリーズを集成。