2008年8月23日発売
オホーツクのソ連領海を侵して蟹を捕り、缶詰に加工する蟹工船では、貧困層出身の人々が奴隷のような過酷な労働を強いられている。船には海軍の軍艦が寄り添い、この搾取が「国策」により行われていることを示していた…。「ワーキングプア」の文学として脚光を浴びる、日本プロレタリア文学の金字塔「蟹工船」。小林多喜二虐殺後、遺作として発表された「党生活者」。新たに雨宮処凛による解説も加えた、文字が読みやすい新装版。
江戸城の目安箱に入れられた一通の書面。それを読んだ将軍徳川吉宗は大岡越前守に探索を命じるが、その最中に芝の寺の尼僧が殺され、旗本大久保家の存在が浮上する。将軍家世嗣をめぐる思惑。本格歴史長編。
資産家の木部信夫が突然失踪、直後に彼が所有する6億円もの不動産が売買されたことが判明した。だが、契約には不審な点は見あたらない。木部はなぜ、姿を消したのか。真相を追う新宿署の牛尾は、無関係に思えたタクシー強盗殺人から、解決の糸口をつかむ。だがその後、関係者が次々と殺人や轢き逃げに巻き込まれ、事件は混迷を極めていく…。人生の路上で交錯する悲劇を描いたヒューマン・ミステリー。
虚と実、仮面と素顔とが人形芝居の舞台の内と外で演じられる、キャプテン・コックとムーシュの波乱に富んだ愛の物語『七つの人形の恋物語』。代表作『スノーグース』も収録、ギャリコファン必携の一冊。
あの夏、白い百日紅の記憶。死の使いは、静かに街を滅ぼした。旧家で起きた、大量毒殺事件。未解決となったあの事件、真相はいったいどこにあったのだろうか。数々の証言で浮かび上がる、犯人の像はーー。
29歳の目黒は夫婦仲もよいが、毎夜他の女性たちと「調教癖」にみちたセックスをしていた。そんな目黒が一見地味な繭子に出会い関係をもつが、やがて繭子は目黒の想像を超えていく……SM青春小説第3弾!
ちょっとしたきっかけで近づいたり、大嫌いになったり。友達、親友、ライバルーー。読者と選んだ好評アンソロジー。友情編には、坂木司、佐藤多佳子、重松清、朱川湊人、よしもとばななの傑作短編を収録。