2008年9月12日発売
カメラマンの矢島拓海のもとに届いた一葉の絵はがき。差出人は二年前に南極で死んだはずの兄だった。時を同じくして、拓海に越冬隊への密着撮影の仕事が舞い込んでくる。「死の真相を知りたければ南極に行くといい」。これは偶然なのか、それともあいつがー。冷たく広大な“密室”で、過去の事件が甦る。
星暦229年。宇宙の命運は星間都市連盟を破ったタイタニア一族の手に握られ繁栄を築く。しかし、446年に強大なタイタニア一族のアリアバート卿が、単なる一都市・エウリヤ市に敗れてしまった。時代が再び動き始めたのだ。宇宙の覇者となるのはいったい誰…!?スターファンタジーの傑作ついに文庫化。
父が戦死し、戦後満州から引き揚げてきたどん底の生活の中で母まで亡くした南部次郎は、わずかな葬式費用の形に幼い妹を連れ去ろうとする男を撲殺してしまう。きょうだいは離散し服役中も渦巻く憤怒を抑える術すら知らない次郎は備前焼と出会い、ひたすら土を練ることで、ようやく心が鎮まっていくー。
バンクーバー経由でニューヨークに向かったエドワードは、奇妙なアナウンスとともにカナダの見知らぬ街で足止めされる。繰り返し流れるテロの映像に芭蕉の句がオーバーラップして…。9・11を日本文学として初めて表現したと評価された大佛賞受賞作に、著者の原風景ともいうべき名作「国民のうた」を併録。
鳥に変身した男をめぐる惨劇を描いた文學界新人賞受賞作「いやしい鳥」、絶滅したはずの恐竜に母親を飲み込まれた女性の内面へ踏み込んだ「溶けない」、愛とヴァイオレンスが奇妙に同居する「胡蝶蘭」の三作を収録。
こかげはごく普通の社会人。一方、妹のひなたは異世界旅行を繰り返すおかしな性質を持っていた。異世界にはまるで縁がないと思っていたこかげだが、ある日、妹の危機に異世界の国ディーカルアへ飛び込むことになる。しかし、その先でこかげを待ち受けていたものは、妹ひなたに向けられるものとはまったく正反対のなぜか厳しい視線ばかり。こかげが邪険に扱われるのはなにか理由があるようで…。ランキングサイトで1位を独占し続けたオリジナル小説サイト「therehere」のあの大人気小説が待望の書籍化。巻末に番外編「彼女の護衛たち」を収録。
国王ザキや近衛隊隊長ルカナートたち王宮の面々と次第に打ち解けはじめたこかげは、王弟ディレイの母、ユーリアの下に軟禁された妹ひなたを迎えに行くべく計画を立てる。やがてそれは多くの人と国を巻き込む大イベントとなり…。ユーリアの目的はなにか?無事にひなたを取り戻せるのか?そしてこかげがディーカルアに来た意味とは。人を想う気持ちが巡る、大人の異世界ファンタジー、堂々完結。巻末に番外編「朝」を収録。