2008年発売
奇怪な儲け話をひっさげて、今日も僕を引きずり回すユークリッジ。ペキニーズを大量に集めて「犬学校」を開校し、無敵のボクサーのマネージャーに就任などなど、大儲け間違いなしだぞ友よ、我輩を信じたまえ!とぶちあげる計画は、毎回、華麗に破綻する。真っ黄色のコートに針金で修繕した眼鏡の怪人・ユークリッジの詐欺スレスレ(というか詐欺)の活躍。巨匠のプロットの冴えとコメディ・センスが全面展開するシリーズ、ここに堂々開幕。
19世紀前後に起こった産業革命以後、工業化により商品の大量供給が可能になったが、貧富の差はますます広がり、人々の生活は豊かになるどころか苦しくなるばかり。労働者を酷使する生産過程の中で新たな価値を生み出す「搾取」のシステムが明らかになる…。資本主義社会に生涯をかけて立ち向かった革命家・マルクスの代表作を漫画化。
自閉症が治療可能になった近未来。自閉症者最後の世代であるルウは、製薬会社の仕事とフェンシングの趣味をもち、困難はありつつも自分なりに充実した日々を送っていた…ある日上司から、新しい治療法の実験台になることを迫られるまでは。“光の前にはいつも闇がある。だから暗闇のほうが光よりも速く進むはず”そう問いかける自閉症者ルウのこまやかな感性で語られる、感動の“21世紀版『アルジャーノンに花束を』”。ネビュラ賞受賞作。
その依頼人の何かが、スペンサーのどこかに触れたのか。妻の不倫を疑い、素行調査を依頼してきた男に、かつてスーザンとの別れに苦悩した自らの日々を重ねたスペンサーは、日頃はさほど力を入れない浮気調査に力を注ぐ。ホークの手まで借りた調査の結果、大学教授をつとめる妻は、やはり同僚と浮気をしていたことが判明する。だが、動かぬ証拠をつかもうと盗聴器まで使ったスペンサーの調査は、意外な事実を掘り当ててしまった。浮気相手の教授に、ただならぬ背景があるようなのだ。そのことは伏せ、調査結果のみを夫に伝えはしたが…やがて、当の妻が射殺される事件が起き、夫も行方不明となってしまう。思わぬ展開に、警戒を強めるスペンサーは、助っ人のガンマンたちを呼び集める!過去の自分と向かい合うスペンサーの苦悩をも描いた、渾身の傑作。
高校卒業から10年。クラス会に集まった男女の話題は、女優になったクラスメートの「キョウコ」。彼女を次のクラス会へ呼び出そうともくろむが、「キョウコ」と向かい合うことで思い出される、高校時代の「幼く、罪深かった」出来事ー。よみがえる「教室の悪意」。28歳、大人になってしまった男女の想いを描き、深い共感を呼び起こす傑作ミステリー。辻村深月の新境地。
山奥にある連続女性殺人事件の死体遺棄現場へ赴いた森野夜。その場で出会い、記念撮影のシャッターを押してくれた男とは? GOTH新作100枚に加え、カメラマン新津保建秀が撮り下ろすファン必携書!
動物や死者の魂の声を聴き取ることのできる不思議な少女・パリ。飢餓に苦しむ北朝鮮を逃れて国境を越えたパリは、家族全員を失いたった一人で世界に投げ出される。行き着いたロンドンは、移民、難民が世界中から吹き寄せられる街。テロや暴力に苦しむ世界中の声が、パリの耳に響く。そこで出会ったのは、パキスタンから来た一人の男…。韓国随一の作家黄〓(せき)瑛は、89年、国禁を犯して北朝鮮に渡り、帰国後五年間、獄に投じられた。その後はパリ、ロンドンに居を移し、世界中を渡り歩いた。「パリデギ」はその経験を踏まえ、移民、難民の側から現代世界の苦しみ、哀しみを描いた小説である。
両親を亡くしたスーザンのそばには、いつも幼なじみのフィリップがいた。自然と惹かれあう二人。しかし、21歳のとき、二人は別々の道を選ぶことにした。心はつながっているのに、離れる二人。別れ際「この場所で、また会おう」と約束を交わすのだが…。世界中の読者をやさしく包み込んだフランス220万部突破のベストセラー恋愛小説。
ルキアが消えた…!異常事態を察した一護は、単身尸魂界に乗り込むが、なぜか死神たちが一護に刃を向けてくる。ルキアと一護の存在が、みんなの記憶から消されている!?護廷十三隊を敵に回し、ルキアを救うことができるのか?劇場版第3弾、入魂のノベライズ。
カタログ雑誌の編集長をしている椎名紗智に、京都の嵯峨水尾で開かれる「女流民俗学研究者の集い」への招待状が来た。ところが、現地へおもむくと会は中止になっており、会場には京都のバーのママ平瀬玻奈子と、人形作家瑠璃川凌の二人だけがいた。三人には、過去に巻き込まれた事件を宮之原警部に解決してもらっていた、という共通点があった。しかも、招待状の差出人は、手紙の発送される以前に殺されていたのだった…。
テメレアは、いまや美しき成竜となった。英国がナポレオンの猛攻に苦しむなか、中国がテメレアの返還を求めてくる。事態を収拾するには、彼の地へ行くしかないー。長き航海のあいだ、数々の困難に耐え、盟友ローレンスとの別離の恐怖に怯えながらも、テメレアは故郷を目指す。そこに待ち受けているものは。
翻訳家のなつめは、人妻・吹雪と激しい恋に落ちる。吹雪の家で逢瀬を重ね、子供の昼寝の間に快楽をむさぼる日々。女同士の恋、家庭を壊すつもりなどなかったのに、会えば会うほど溺れてゆき、愛するがゆえに傷つけあわずにはいられない。一方、吹雪の夫・マツキヨは、幼い息子を守るため、そんな妻を受け入れ家庭を再生しようとするがー。一途で、不器用で、あたたかい、愛と赦しの物語。
京都・宮津。建設会社社長中西は、“東京の病院で監禁されているので助けて欲しい”という手紙が結ばれた風船を発見。内容を信じた中西は、東京の探偵事務所に調査を依頼。都内病院を探るが進展のないまま、第二の風船が天橋立の展望台で拾われ…。やがて、疑わしい家が炎上、お抱え運転手が殺害される。この殺人と監禁の謎を解くため、十津川警部は、宮津へ。天橋立と東京を結ぶ驚愕の連続殺人に挑む。
日本変革の原動力となった魂の教育者の生涯 高杉晋作、山県有朋、伊藤博文…幕末、維新の英傑が巣立った松下村塾。吉田松陰は、学ぶことにおいては、師も弟子も対等な立場で、共に育つ、という思想を貫徹した。無垢な人間像を感動的に描く。
二つの隆起と三つの穴を持つ奇妙な出土物をめぐって議論を戦わせる学者たち。タイムマシンで連れてこられた古代人の意外な答えは…。著者のSF処女作であり、星新一に激賞された傑作「もの」をはじめ、「時間」を自由自在に操るタイムマシンの魅力にとりつかれた人々の悲喜劇を多彩な切り口で描いた短編とショートショート24編および付録を収め、シリーズ最終巻を飾る贅沢な作品集。
トトロみたいな野山じゃなく、こんな寂れていく都市の光景が、俺の美しい故郷だ。僕たちは、たぶん、この団地に囚われてしまったんだ。『東京バンドワゴン』シリーズの著者による、“消された記憶”のミステリー。