2009年2月13日発売
人生の半分が終わってしまった。それも、いいほうの半分が。会社を辞めて、投げやりにプロデュース業を始めた喜一・40歳の元を訪れる、四十代の依頼人たち。凋落したIT企業社長、やりての銀行マン、引きこもり…。生きることの困難とその先にある希望を見つめて、著者が初めて同世代を描いた感動長編。
行方不明になった女子高校生の捜索に加わった元保安官コークは、吹雪に行く手を阻まれるが、不思議な影に助けられる。その影こそが彼女の魂なのではないか?ミネソタの大自然と家族を愛する男は、広大な谷がのみ込んでいた真相に驚愕する。アンソニー賞最優秀長編賞を受賞した傑作ハードボイルド第4弾。
全ての終わりはーーまだ始まったばかりだ。 「戯言シリーズ」最終章! 始まりがあれば終わりがある、それは確かに真理ではあるのだろうが、しかしとは言え、終わりがあるから始まりもあったはずだなどと考えるのはあまりに短絡的だ。どころか事実はまるで逆で、大抵の事象は始まる前から既に終了し切っていて、開かれずともお開きだ。真理をあえて真理として語らず、事実をあえて事実として語らず、黙することの美徳を誰よりも心得ている誠実な正直者、つまりこのぼくは、9月、ある階段を昇ることになる。《十三階段》。それは奇野頼知(きのらいち)であり、またノイズであり、あるいは絵本園樹(えもとそのき)であり、そして澪標高海(みおつくしたかみ)と澪標深空(みおつくしみそら)だった。だが、その階段を昇った先でぼくを待ち構えている終わりの終わりは、あまりに荒唐無稽で、あまりに懐かしくーー戯言シリーズ第6弾 第一幕 休息の傷跡 第二幕 密談 第三幕 思い出の回復 第四幕 十三階段 第五幕 人肌のぬくもり 第六幕 検索と置換 第七幕 宣戦布告 第八幕 医者の憂鬱 第九幕 続かない終わり
フランスの田舎町を渡り歩きながら中世フレスコ画の修復に打ち込む、孤独で風変わりな日本人男性アベ。名も無き人々が胸に秘めた想いに接し、さながら神父のように彼らを受け止めるうちに、アベは町に溶け込んでいく。人生の哀歓と男の手仕事の魅力を絡めて描かれた、著者独自の世界が広がる五つの連作短編。
元女郎おひろから、東北訛りの侍の用心棒を頼まれた見届け人・秋月伊織は、他国に逃げる資金をはたいておひろを身請けした侍の背景に、ただならぬ事情を察する。藩主襲撃事件をきっかけに対立する陸奥広岡藩と盛山藩の遺恨が、江戸に舞台を移して燻っているのかー。文庫書下ろしシリーズ、待望の第4弾。