2010年10月発売
日本橋小網町の醤油酢問屋「広国屋」に風のように一人の男が現われた。“算盤侍”の唐木市兵衛である。使用人の不正を明らかにしてほしいということだったが、折しも広国屋で使う艀に直買い(密輸)の嫌疑がかかっていた。市兵衛は店を牛耳る番頭の背後にいる、古河藩の存在を知る。その側用人と番頭の企みとは?風の剣を揮う市兵衛の活躍やいかに。
“ソル”はケロスカーの計算者ドブラクの力を借りて、ふたたび地球を探す旅に出た。その途中で、未知の宇宙船の大編隊に包囲される。細長く優美な外観を持つ異船をあやつっていたのは、未知銀河の惑星クマントに住む種族、トバールグだった。かれらの意図もわからないまま、ローダンたちはクマントへの着陸を余儀なくされてしまう。タッチャー・ア・ハイヌはダライモク・ロルヴィクとともに、惑星の偵察に向かったが…。
ミシンと手芸の店を営むステラおばさんの裏稼業、それは女性を苦しめるクズ男に過激な天誅を下すこと!ある日、以前助けた若妻クリッシーが子供を別居中の夫にさらわれたと泣きついてきた。どうやら徹底的なお仕置きが必要ねーだが、その夫は怪しげな犯罪組織と関わっているようで…ヤバい奴らを向こうに回し、ステラとクリッシーの熱い戦いが始まった!!タフな毎日を生き抜く女性たちへ、主婦作家が贈る応援歌。
戦国擾乱の世。主君筋の御台、右京太夫に邪恋を抱いた梟雄・松永弾正は、幻術師・果心居士配下の根来鴉天狗に美女狩りを命じる。美女の愛液からなる強力な媚薬、“淫石”を作らせ、篭絡しようというのだ。その毒牙に掛かったのは、伊賀忍者・笛吹城太郎の妻、篝火。死してなお犯され、弾正の愛人と首をすげ替えられたと知った城太郎は復讐を誓い、一人苛烈な闘いを七鴉天狗に挑んでゆくが…。奇想極まる山風忍法帖の代表作。
精神科医の望月が勤務する病院に1人の女性患者が収容された。入水自殺を図り救助されたその女性は、記憶と言葉を失っていた。望月は素性を探るうち、彼女のもとを去った恋人の存在を知る。病院での彼女の不安定な行動は、恋人との過去に原因があるようだが…。偶発的に誕生した遺伝子により決定付けられた運命。それを知ってしまった人間の選択と希望とは?生きる事の真の意味と価値を問う感動のヒューマン・ミステリー。
亜紀子はある日、見知らぬ女性の訪問を受けた。最後の記憶は、訪問者を玄関に請じ入れたこと。だが、次に気付いたとき、亜紀子は血のついた野球のバットを握り、床に倒れた“自分自身”を見下ろしていた!加害者の姿になって行き場を失った亜紀子は、その女性の持ち物から調べた住所へ、やむなく足を運ぶ。なぜ“私”は彼女に殺されなくてはならなかったのか?対照的な2人の女性の人生が交錯する、サスペンスミステリ。
江戸郊外のとある廃屋に、いつのまにやら棲みついていた1匹の妖怪、豆腐小僧。豆腐を載せた盆を持ち、ただ立ちつくすだけの妖怪である自分は、豆腐を落としたとき、ただの小僧になるのか、はたまた消えてしまうのかー。思い悩んだ小僧は、自らの存在理由を求めて旅に出る!軽快な講談調で、小僧が出会う鳴屋や死に神、鬼火との会話の中から現れてくる妖怪論。妖怪とは、いったい何なのか?妖怪入門としても必読の痛快作。
大手芸能プロを追われた敏腕マネージャーの上杉貴裕。弱小事務所で再起をかけようとした矢先、上杉の前に一際オーラを放つ少女が現れた。佐倉千紗、16歳。童顔の中に黒豹のような眼光を放つ千紗に魅入られた上杉は、トップ女優にのしあげるため、強引なやり口で仕事を獲得していく。だが、彼の暗躍を、かつての上司で宿敵の高村が黙って見ているわけはなかった…。芸能界を舞台に繰り広げられる究極のパワーゲーム。
若き英主・中大兄皇子のもと、「大化改新」の改革を進める日本に急報がもたらされた。裏で唐が糸を引き、新羅に政変の兆しがあるという。三韓と同盟して唐に対抗しようという日本の外交政策は、新羅と唐の接近、高句麗・百済の新羅攻撃により転換を余儀なくされる。唐帝に日中親善と朝鮮半島の平和を訴えるべく、かつて留学生として唐建国にも立ち会った高向玄理が悲壮な決意で唐へ赴くが…。日中に永遠の友好は成るか。
赤ん坊のときに捨てられた美帆。だが、心優しい治子に育てられ、すくすくと成長した。そして今、16歳になった美帆は、天才バレリーナとして未来を嘱望され、ステージの上で鳴り止まない拍手を浴びている。この幸せをもたらしてくれたのは、毎年誕生日に花束を贈ってくれる「足ながおじさん」。その人こそ、本当のお父さんに違いない。まだ見ぬ父を探して、美帆の冒険の旅が始まったー。珠玉の青春ラブ・サスペンス。
猛署日が続く8月の夜、ボクたちは凶悪なヤクザ2人に監禁されている。友人の藤堂は、妻の美鈴とボクを人質にして金策に走った。2時間後のタイムリミットまでに藤堂は戻ってくるのか?ボクは愛する美鈴を守れるのか!?スリリングな展開、そして全読者の予想を覆す衝撃のラスト。新鋭の才気がほとばしる、ミステリとホラーが融合した奇跡の傑作。日本推理作家協会賞短編部門を受賞した表題作を含む3篇を収録。
画家を志す忍は、ある日スーパーで偽札の使用を疑われる。10分前に「自分」が同じ番号のお札を使い、買物をしたというのだ。混乱する忍は、現れた警察官・加納に連行されてしまう。だが、連れられた場所には「自分」と同じ容姿・同じ行動をとる奇怪な存在に苦悩する人々が集っていた。彼らはその存在を「バイロケーション」と呼んでいた…。ドッペルゲンガーとは異なる新たな二重存在を提示した、新感覚ホラーワールド。第17回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。
15歳の「私」の主人は、数百年に1度といわれる呪詛の才を持つ、驕慢な美少女。「お前が私の玩具になれ。死ぬまで私を楽しませろ」親殺しの噂もあるその少女は、彼のひとがたに釘を打ち、あらゆる呪詛を用いて、少年を玩具のように扱うが…!?死をこえてなお「私」を縛りつけるものとはー。哀切な痛みに満ちた、珠玉の2編を収録。瑞々しい感性がえがきだす、死と少女たちの物語。第17回日本ホラー小説大賞短編賞受賞。
なんの前触れもなく人間が消滅し、その痕跡も、周囲の人々の記憶からも消え去ってしまう現象が頻発している世界。そこでは、いつの間にかクラスメイトが減っていき、葬式や遺書は存在せず、ビートルズが二人しかいないのが当たり前だった。そんな世界でぼくは例外的に消えた人間の記憶を保持することができた。そしてぼくは気がつく。人が消えていくばかりの世界の中、いなかったはずの女の子がいつのまにかクラスの一員として溶け込んでいることにー。
女性社長の七海は、陶芸家を目指す韓国人の青年ジュノと運命的に出逢い、恋に落ちる。幸せな日々をスタートさせたふたりだが、ある事件に巻き込まれ、七海が命を落としてしまう…。天国へは行かず、ゴーストとなって最愛の彼のそばに留まる七海だが、彼の身にも危険が迫っていた!?松嶋菜々子&ソン・スンホンの出演映画を完全ノベライズ。せつなくて儚い、奇跡のラブストーリー。
「注文の多い料理店」や「風の又三郎」など、誰もが知っている名作童話から生まれる、誰も見たことのない新しい“ミヤザワケンジ”の文学。世界の終わりとはじまり、夢と現実、生と死。すべてが曖昧になった場所で織り成される24篇が、あなたの感性にかつてないほどの衝撃を与える。異能の作家・高橋源一郎の手によって開かれる、賢治にも描けなかった賢治ワールド。最強トリビュートの決定盤。第16回宮沢賢治賞受賞。
冷たい雨の降る一月のある午後、夫に死に別れたパルフリー夫人は、余生を過ごすため、クレアモントホテルに投宿した。そこにはすでに同様の長期滞在客がいた。すぐ物忘れする人、エキセントリックな人、ホテルの定食メニューに異常な関心を示す人たち。愛し、愛されることから遠くなり、退屈な日々を過ごしている。そんなある日、夫人は、若く貧しい、ハンサムな青年に出会い、恋をする。