2010年11月12日発売
文具メーカーに勤務する与野今日介。ごく普通のメタボ中年だった彼に今、思いがけない女運の風が吹いていた。同業各社が集まるイベント、隣のブースのコンパニオン・早瀬彩乃は長身、ロングヘアの23歳。彼女と格闘技の話で親しくなり、そして部屋まで行ってしまう…。官能の名匠が贈る傑作。週刊現代連載。
ラブホテルで見つかった女性の変死体。残された指紋の謎に、病床に伏せる天才検視官が挑む(横山秀夫「罪つくり」)。みにくく太ることを“救い”と呼ぶ少女のひそかな絶望とは(桜庭一樹「脂肪遊戯」)。ある老バーテンダーの切なく美しい幕引きの物語(北森鴻「ラストマティーニ」)。豪華短編集。
びっくりするほど綺麗なつばきが咲き、美しい泉が湧き出る「ぼくの小山」。ここは、コロボックルと呼ばれる小人の伝説がある山だった。ある日小川を流れる靴の中で、小指ほどしかない小さな人たちがぼくに向かって手を振った。うわあ、この山を守らなきゃ!日本初・本格的ファンタジーの傑作。
元関取が愛宕市内で突然暴れて多くの死傷者を出し、精神科の入院歴が問題にされた。他にも事件を起こした元患者たちが揃って直前に行方不明になっており、精神科医の鷲谷真梨子は患者の話から監禁に使われた小屋を探しあてた。が、事件の鍵を握る医療ブローカーと小屋を監視していた刑事二人が殺される。
連続爆破事件の共犯者という疑惑が残る鈴木一郎が連続殺人犯だというスクープが地元紙に載る。かつて精神鑑定を担当した真梨子に注目が集まる中、警察捜査の裏をかくように行動する鈴木一郎。残虐行為を繰り返す美貌の殺人者とは何者なのか?乱歩賞受賞作『脳男』から7年、更なる問題作が満を持して登場。
35歳の乃里子。剛との結婚解消とともに中谷財閥からも解放されて、仕事も昔の友情も取り戻した。一人暮らし以上の幸せって、ないんじゃない?しかし自分の将来の姿もなぞらえていた女友達に悲しい出来事が。そのとき手を差し伸べてくれたのは…。「誰か」がいるから、一人でも生きていける。
警視庁情報室。それは警視庁が秘密裏に組織した情報部門のプロ集団である。情報室へ舞い込んだ一通の怪文書。エース情報官・黒田は、抜群の情報収集力と分析力で、政・官・財界そして世界的な宗教団体までもが絡む一大犯罪の疑惑を嗅ぎつけるが…。公安出身の著者による迫真の「インテリジェンス」小説。
近頃江戸で頻発しているのが、火事だと騒ぎ、その隙に盗みを働く「空火事盗っ人」。捜査は難航、閑職の定中役龍之介と光太郎にも取り締まりの命が下る。偶然にも、盗みの被害に遭った難波屋の娘が、弱った亀を手に龍之介を訪れた。事件の裏にある悪辣な真相とは…大人気シリーズ第四作。
僕は作家だ。だが執筆中の小説はまったく進まない。たまには本当のことを書きたい。これはフィクションに疲れたマイナー作家の、ささやかな休暇としての日記だ。誰にも見せないのだから嘘は書かない。そういう意味で、僕はこの日記を真実真正日記と名づけよう。虚と実のあわいを絶妙に描き出す慟哭の記録。
遊女屋で幸せの意味を説く紅鶴か、手習い所を開き自立するお夏か。身の振り方も一緒になる女も定まらぬ兵六だが、両替屋の娘が若い奉公人と駆け落ちした始末を頼まれる。剣術だけではもはや生きていけぬ世に、武士の誇りは捨て去れるのか?どうする兵六。人情長屋シリーズ、大団円へ。