2010年12月21日発売
さる侯爵が、美しい養女ジュリーを、放蕩三昧の金持ちV***氏に輿入れさせようと企んだ。ところが、ジュリーには結婚を誓い合った若者がいる。彼女を我が子同然に可愛がり育ててきた侯爵夫人は、この縁談に胸を痛め、パリのみならずフランス全土で流行していた訴訟の手管を使う奸計を巡らせた。すなわち、誹謗文を流布させ、悪評を流して醜聞を炎上させるのだ。この醜聞の代筆屋として白羽の矢が立ったのは、腕は良いがうだつの上がらない弁護士、ルフォンだった。哀れルフォンの命運やいかにー。猛火に包まれたゴシップが、パリを駆けめぐる。『ミノタウロス』の著者が奏でる、エッジの効いた諷刺小説。
柴田勝家を滅ぼし、お市の方の三人娘、ちゃちゃ、お初、お江の身柄を預かった秀吉は、天下人への地歩を固める。やがてちゃちゃを自らの側室に、お江を政略結婚の道具にしながら、豊臣政権の永続に心を砕く。佗び茶の創始者である千利休は、職田信長に次いで秀吉の茶堂も務め、天下の大盛事・北野大茶会を仕切るなど、諸大名との間を取り持つ存在として政権に重きをなす。二人を軸に描く絢爛戦国物語。
伊賀には表と裏がある。八劔なる裏伊賀の忍者たちは、血を掛け合わせて人材を生み出す謎の集団。元和5年、八劔に美しく能力を備えた赤子・錏娥哢〓(あがるた)が誕生する。忍びの技を修練し、見目も麗しく成長。いくつかの旅で男たちと交わり、ますます妖しく輝きを放つ。寛永14年、錏娥哢〓(あがるた)は天草四郎時貞を追って島原に潜入する。島原の乱異聞ともいうべき、破天荒、前代未聞の忍者小説。
錏娥哢〓(あがるた)は常人離れした美貌と忍び技を兼ね備えた裏伊賀の女忍者。まさに島原の乱の渦中にあった。一揆を煽動する時貞。時に彼を手助けする錏娥哢〓(あがるた)。だが、強大な幕府軍の攻撃の前に、ついに一揆は潰えてしまう。裏伊賀と根本的に対立する存在である徳川家康の正体を知った彼女は、これを滅ぼすため、江戸へ。果たして難敵と勝負はいかに…。歴史小説の枠を超えた傑作エンタテインメント。
江近の戦国大名浅井家に美人姉妹と名高いお茶々、お初、お江が生まれた。姫達は、伯父信長に父を滅ぼされ、信長が討ち死にした後は、猿と蔑む秀吉の庇護を受ける。やがて、勝ち気な末娘お江が、水軍の将・佐治一成に嫁ぐ…。愛する男と無理矢理引き裂かれた姫は、運命に翻弄されながらも、水の如くしなやかに生き抜いていく。熱い想いを秘め徳川将軍家正室に上りつめた女の恋物語。書き下ろし歴史小説。
“生活安全特捜隊”-風俗から環境犯罪まで、あらゆる事案を追う警視庁生活安全部の特別捜査隊である。入庁以来、第一線の刑事への夢を抱き続けていた結城公一警部は、40歳を迎えた年にその“生特隊”の班長に任命される。捜査一課をはじめとする花形部署から軽んじられる生特隊だが、結城は個性豊かな部下たちにサポートされて果敢に難事件に挑んでいく。犯罪捜査を新たな視点で描く警察小説。
荒れ果てた小屋で見つかった若い女性の刺殺死体。レクシー・マディソンと名乗っていたその女性は、驚いたことにアイルランド警察の刑事、キャシーと瓜二つだった。犯人を探すため、レクシーになりすまして被害者が暮らしていた「ホワイトソーン館」へと潜入するキャシー。そこには四人の男女が現実離れした調和をもって共同生活を送っていた…。新人賞を総なめにした著者の待望の第二弾。2008年アマゾンUSエディターズ・チョイスミステリー部門第1位。
殺人事件の被害者が暮らしていた「ホワイトソーン館」に潜入した刑事キャシーは、ここに住む学生らとの共同生活に不思議なほど馴染む。しかし、屋敷が背負う暗い歴史、周囲の村の住人との摩擦…そこから浮上する数人の容疑者。やがて完璧な調和を保っていた共同生活のほころびが見えはじめ…。被害者が抱えていた暗い秘密とは?真犯人は?事件の真相が心を刺す、感動のミステリー。