2010年1月発売
派遣切りにあい職を求めて東京にきたが、現実は厳しく途方にくれる奈央。そんな時、高専時代の友人・山下と偶然再会。苦い思い出のある相手だが、しばらく世話になることに…。しかし、連れてこられたのは…公園。なんと山下はホームレスになっていた。「夢を忘れたのか」…テント生活に馴染んでいる山下に苛立ち、ついつい喧嘩ばかり。そうして奈央が頼ったのは…。家なき子たちのほろりんLOVE。
幻の父を捜すため、大西洋の島国アスレイノを訪れた翻訳家の翠。結ばれない相手とわかっていて父を愛し続けた母…手がかりは形見の金の指輪。母の旧友、ベールヴァルト侯爵の子息フェルナンが、そんな翠の世話役を買って出てくれた。運命的な出逢いを感じたと告げるフェルナンの誠実な瞳に、翠は抗いようもなく魅せられて…。だが、指輪の秘密に気づいた危険な男が翠に近づき…。甘く高貴な艶愛コンチェルト。
絵が好きな少女・さくらには、不思議な力があった。空想で描いたはずの場所や物が、そのまま実在しているのだ。ある日、描いたのは、月光に照らされ、夜の池に浮かぶ美しい女性の姿。手には花束を抱え、胸にはナイフが突き刺さっていた。不吉なことと、母に絵を描くことを禁じられ、大人になったさくらは、祖母から叔母の話を聞いて愕然とする。女優だった叔母・ゆう子は、20年前、京都の広沢の池で刺殺されたというのだ。その死の様子は自分が昔描いたあの絵とそっくりである。さくらは、ゆう子が当時下宿していたペンションを捜し出し、部屋を借りて叔母の死の謎を探ろうとする。次第に明かされるゆう子の凄絶な人生。そして驚くべき死の真相とは…。
舞い落ちる桜の花びらの下に、彼女が立っている。俺は夢中で、シャッターを切る。初めて出会ったにもかかわらず、俺の魂は彼女に引き寄せられた。そして彼女も…。だが、異国の地に生を受けた青年が、やがて故国に帰る時が来る。青年の故郷まで、彼女は追いかけた。ただ、もう一度だけ、会いたい。ようやく再会を果たし、結ばれる二人の背後で流れる、河村隆一のラブソング「抱きしめて」。でも、それはあまりにも切なく美しい詞と旋律。あたかも別れを予言するかのように…。そして、運命は再び二人を引き離した。互いに想いながらも、すれ違い、それでも想いを断ち切れず、遠い海の果てに想いを寄せる。二人の恋の行方は-。台湾人青年・コウと水沙の、切なくもひたむきな恋の物語。