2010年5月14日発売
底知れぬ悪の気配を漂わせる、両替商堺屋五右衛門。幕府の財政関係者など四人が無残に殺された事件の詮議中、一歩も引かない堺屋に、逸馬は背筋の凍る緊張感を抱いていた。だが、女公事師真琴は、堺屋が親を亡くした子を援助している善人だと譲らない。「悪人」の本質に迫るシリーズ新境地。
13歳の少女フェンベルク(通称フェン)は王女にして悪鬼達の師団をまとめあげる将軍。祖国・ストライフを敵国の侵略から守り、国民の幸せを願い、そして愛する兄を支えるため、彼女は自らを鼓舞するのであった。そんな折、運命を変える出来事が!?壮大なハイファンタジーのシリーズ第1巻、ついに旅立ち。
雪の桜田御門。彦根藩士だった兵六は、藩主井伊大老襲撃を目撃する。戻るべき藩はもはや遠く、兵六は遊女紅鶴に安らぎを求める。騒然とする世相にも、柿葺長屋では日々の営みと新たな恋がある。剣友一馬はお久と恋仲になり、士分を捨てる決意を固める。そこへ土佐から妹のお夏が訪ねてきた。
尾張が美濃に攻め寄せるという。軍勢が村へ入れば村人たちには生き死にの大問題だ。オトナ衆の次郎衛門は戦火から村を守るため、織田勢から自軍の乱妨と略奪を禁止する命令書をとりつけようとするが…。戦乱の中で奔走する村人たちの、たくましさとせつなさを描いた表題作を始め、全6本の粒ぞろい歴史短編集。
王女にして将軍だったフェン。しかし彼女の人生は大きく変わっていった。辿りついたのはソルド王国の荒くれ者が集う店。そこで出会った騎士団見習いの少年ロカとフェンは、ふとしたことで重大な計画を知ってしまう。命を狙われる二人は?そして王国にまつわる秘密とはいったい何!?大人気シリーズ第2巻。
祝言を間近にひかえながら暴漢に襲われ、命を絶った愛娘。「仏」の名を捨てて復讐に奔走する父として定町廻り同心・森口慶次郎が初登場する表題作や、妻に逃げられた男と子供を授からなかった女の交情を描いた「うさぎ」等、ままならぬ運命と向き合う江戸庶民の姿を鮮やかにすくいとった傑作短篇集。
帝政ロシア崩壊直後の、ウクライナ地方、ミハイロフカ。成り上がり地主の小倅、ヴァシリ・ペトローヴィチは、人を殺して故郷を蹴り出て、同じような流れ者たちと悪の限りを尽くしながら狂奔する。発表されるやいなや嵐のような賞賛を巻き起こしたピカレスクロマンの傑作。第29回吉川英治文学新人賞受賞。
知的で颯爽とした二十七歳の美人OL、松永夕香。「お願い、課長。お部屋まで…」酔った彼女をマンションまで送ったメタボ中年・与野今日介に衝撃の一夜が訪れようとしていた。だが、それは女房以外の女に触れたこともなかった彼に巡ってきた女運の序章に過ぎなかった。官能の名匠が贈る快作。
外科医が、愛するぬいぐるみたちと興じる、秘密の「ごっこ遊び」。怖ろしい罠が待ち受ける「ボード・ゲーム」。引き篭もりたちが、社会復帰のためにと熱中する「隠れ鬼」。自分の家族がそっくりそのまま登場する「RPGゲーム」。四つの奇妙な「遊び」をモチーフにした超絶技巧の、ミステリ・ホラー短編集。
閑職ゆえに厠同心とも呼ばれる定中役に籍を置くのは、よろず医者も兼ねる龍之介と新人の光太郎二人だけ。恐ろしい形相で不審死した京極屋主人の事件を探るものの、その真相は判然としない。さらに別の大店、満美屋にも惨劇が…。複雑に絡む謎を龍之介はどう絵解きするのか。シリーズ第二作。