2010年5月25日発売
参議院議員・太田垣に入閣のチャンスが巡ってきた。そのためには、5人の愛人と縁を切り、身辺をきれいにしておかなければならない。早速、太田垣の個人秘書・早川が愛人たちと交渉に入るが、5人とも身を引こうとしない。すると愛人の1人が謎の死を遂げ、さらに残りの女性たちも連鎖的に殺されていく。殺人の容疑者に仕立てられ、窮地に立たされた早川。事件の裏にはいったい何が!?十津川警部が連続殺人事件の謎に挑む。
文芸誌の新人賞を受賞した香山は舞い上がった。早速会社を辞め作家へと転身するが、第2作すら発表できず苦悩の日々を送っていた。ある日、路上で自作小説を売る男・青空から作品を買う。文芸誌に発表したその作品は圧倒的反響を呼び、一躍人気作家になった香山は青空の作品を買い占めた。事情を知った青空は徐々に要求を増してゆくが…。心の闇と不条理が生む7つの完全犯罪を警視庁捜査一課棟居刑事が解く、傑作短編集。
八丁堀沿いで、目付・柏崎仙右衛門の家臣が居合の手練の手にかかり殺された。下手人の始末を依頼された流想十郎は、幕閣の要職にある牧田勝秋の娘・愛姫の、大名家への輿入れを妨害する動きがあることを知る。姫の身に、危険が迫る!浮かび上がる陸奥の外様大名・黒川藩に蠢く内紛、増上寺改修普請をめぐる思惑。仲間の田崎十郎太らと共に、想十郎は居合集団・千島一党との闘いに挑む。人気シリーズ第5弾、書き下ろし。
島の豆腐屋で働く津奈美はシングルマザー。産婆のオバァのかけたまじないのせいで、息子の姿を他人に見えなくさせられてしまった。まじないを解くためには、息子にかけた七つの願いを他人から奪わなければならないと知り、津奈美は決死の覚悟で陰の世界に飛び込んでいく。願いを奪うとはどういうことなのか。息子にかけた最後の願いとは何か?石垣島の自然と島の伝承を舞台に、若き母親が孤軍奮闘する壮絶な愛の物語。
夏祭りの夜の出会いから別れまでの濃密な恋の顛末を描いた「鶴」、失恋したばかりの一夜の出来事「七夕」、離婚した夫が転がり込んできたことから始まる再生の物語「花伽藍」、恋人とともに飼い猫にまで去られてしまった「偽アマント」、未来への祈りを託した「燦雨」。結婚という制度から除外された恋愛の自由と歓び、それにともなう孤独を鮮烈に描いた、彩り豊かな短篇集。
「私にとってアンタの存在はいったいなんなの?」萌さん、それってどういう意味?藤原萌実ー現役女子大生にして、公認会計士。その傍若無人な性格にはいつも振り回されるものの、能力、知識、容姿と三拍子そろった優秀な会計士だ。これまで彼女が監査先で出会う奇妙な事件を、僕、柿本一麻も一緒に解決してきたのだが、今回はどうやらそうでもないらしい…超実用的ミステリ、いよいよ最終巻!柿本の恋の行方は。
ある地方の町外れに住む双子の兄弟、須川磨太吉と矢太吉。戦時下の不穏な空気が漂う中、二人は自力で生計を立てていた。二人には同じ好きな女がいた。駅前のカフェーで働くゆず子である。美人で愛嬌があり、言い寄る男も多かった。二人もふられ続けだったが、ある日、なぜかゆず子は食事を申し出てきた。二人は狂喜してそれを受け入れた。だが、この出来事は凄惨な運命の幕開けだった…。待望の「粘膜」シリーズ第3弾。
岬にたたずむ黒い塔で、幽霊のおじいちゃんと4度目の春を迎えた僕。高校に無事合格し、親友の信久とのんびり春休みを過ごそうとしていたところ、塔に予想もつかないはた迷惑なお客があらわれてー!?魔女に魔道士、仮面の旅人、そして幽霊と、千客万来の不思議な塔。そこではじまる、わくわくするような出会いを通して、僕は僕らしく生きていく!!「魔法の塔」シリーズ第2弾、高校生編スタート。
資源衛星“パラオ”。そこは反政府組織ネオ・ジオンの拠点であると同時に、宇宙移民政策の歪みが生み出した「虐げられた民」の生活の場でもあった。それまで敵としか捉えられなかった人々と心を通わせ、少しずつ現実を見る目を養ってゆくバナージ。だが『ラプラスの箱』の奪還を目論む連邦政府は、“パラオ”に無謀とも言える攻略戦を仕掛けつつありー。SF文学の新たな可能性、慟哭の第4弾。
季節は初夏。今日も図書館塔最上階、秘密の小部屋で読書にふけるヴィクトリカの頭上に、金色の書物が落ちてきた。そこには“未来の汝よ。我は愚者なり。そして汝、愚者の代弁者となりて、我が愚かなりし秘密を暴け!”とメッセージが。時を同じくして学園にやってきた謎の人物。そして、時計塔で起きた密室殺人…知恵の泉のもと、すべての謎がひとつになるとき、王国の禁忌が白日のもとに!?人気ミステリ、急展開の第4巻。
“伝説の男”は“硬派な男”-唯一無二のあたしの野獣ー対立チーム、『デビセブ』に『野獣』のメルセデスが襲撃されたーミカゲまでもが襲われて重体に陥り、事態は最悪な方向へ…。そしてまた、決着をつけるためリュウキも…大長編、ここに完結ー涙と感動のファイナル。
愛してほしかった…ずっと愛情に飢えてた…多額の借金、家族崩壊ー愛のない家庭に育ち、心に闇をかかえたあたしは、18歳で家を飛び出した。あてどなく街をさまようあたしに、声をかけてきた一人の男。「ナンバー1にならないか?」あなたと出会って、その一言で、あたしは「マリア」になったーiらんど大賞2009優秀賞。
俺、28歳。金もなけりゃ、女もいない。定職にも就いてない。同い年の喜彦とつるんでは行きつけのバーで酒を呑み、泥酔したサラリーマンから財布を奪ったりしてはソープランドへ直行する日々。輝いて見えるものなど何もなかった。人生はタクシーに乗っているようなもので、全然進まなくても金だけはかかってしまう。そんな俺たちに今日も金の臭いがするトラブルが転がり込む。第11回大藪春彦賞受賞作。
捨てたはずの故郷に戻り、父が大金を持っているとの噂に踊らされた男。呆けて我がまま放題の母と猫の世話に煮詰まっていく女。売りつけられたスクーターに乗り、愛犬と骨を掘り出してばらまく少年。好きな女の先輩を安物の車に乗せて旅立ったプー太郎。夫のDVに苦しめられ、死んだチワワの骨を抱え岬に立つ女。北海道の風土に閉ざされた人間の闇をえぐる全5話。新境地を拓いた傑作揃いの短編集。
ソクラテスとオリンピックの意外なつながりを描く(「戦場のソクラテス」)。22世紀から1世紀に「ジーザス」という男の伝記映画のロケ隊がやって来て…(「ガラリアのエキストラ」)。ダッチ・ロールなどオランダ起源の言葉の謎とは(「あきんどの国」)。アレクサンドロス大王は、図に乗った田舎者!?(「イスカンダルの伝説」)などなど。学校では教えてくれない清水版エンターテインメント新世界史19史伝。
わたしの名前はエヴァン・ディレイニー。職業はとりあえず作家。一応、弁護士資格あり。彼氏?ものすごくハンサム。その自慢の彼ジェシーと、彼の親友をひき逃げした男が3年ぶりに姿を現した。憎いそいつを警察に突き出そうとあちこち探っていくうちに、ほかにも人が殺されて、とんでもない企みが浮き彫りになり…。エドガー賞受賞も納得のサスペンス・シリーズ。
物語としての『三国志演義』は、いかに作られたのか。正史『三国志』に基づいた史実と、フィクションを交えた叙述のスタイルを分析する。さらに唐代以前から明清代にいたる『演義』の成立事情、謎につつまれた作者羅貫中の人物像、関羽・劉備・張飛ら登場人物のキャラクターの変遷など、奥深い作品世界を案内する。後半では、『演義』の研究にも大きな影響を与えた民間伝承『花関索伝』、明清代の書坊による出版戦争、『演義』に反映された正統論や五行思想など、物語の背後にある文化や世界観も描き出す。本「増補版」では、初版から十七年を経た研究の進展を随所に反映させるとともに、日本と韓国における『演義』受容の様相を第九章として新たに加えた。