2011年10月発売
昼間は風俗で働く専業主婦、衝動的に彼に暴力を振るってしまう会社員、不倫が夫にばれて歳下の男と逃避行する女…今にも壊れてしまいそうな日々の中で、悲しみを背負った孤独な女性たち。そして、彼女たちを支えようとする不器用な男たち。誰かとつながっていたい、愛されたい。そんな切ない思いを胸に、彼女たちは懸命に“いま”を生き抜いていく。『夜の果てまで』の著者が丹念に描く、ひかり射し込む7つの再生の物語。
友だちが、神隠しにあったー晴香のもとに、助けを求める電話をかけてきたのは、晴香が以前、教育実習の際に担当となったクラスの児童・大森真人だった。それを聞いた八雲は調査のため一路長野へ向かう。一方、石井のもとには、護送車が事故を起こしたとの緊急連絡が入った。その車は、あの七瀬美雪を乗せていたというが…!?2つの事件の舞台は、鬼が棲むという伝説が伝えられる信州鬼無里へ!新展開のシリーズ第7弾。
結婚に強い憧れを抱く女、朋美。結婚に理想を追求する男、貴人。結婚に縛られたくない女、紗雪。結婚という形を選んだ男、治樹。朋美は、親友の紗雪が幼なじみの治樹と突然結婚を決めたことにショックを受ける。心から祝えない朋美だったが、ふたりの結婚パーティーで出会った貴人に次第に魅かれていく。しかし、紗雪と治樹の結婚には隠された秘密があった…。アシンメトリー(非対称)なアラサー男女4人を巡る、切ない偏愛ラプソディ。
男は二度、女を撃った。女は一度、男の命を救い、一度、その命を奪おうとした。ふたりは同じ理想を追いながらも敵同士だったから…。悠久なる大河のほとり、野賊との内戦が続く国。理想に燃える若き軍人が伝説の野賊と出会った時、波乱に満ちた運命が幕を開ける。「平和をもたらす」。その正義を貫くためなら誓いを偽り、愛する人も傷つける男は、国を変えられるのか?日本が生んだ歴史大河ファンタジーの傑作。
夫を事故で亡くした私は、小学生の息子をひとりで育てながら、傷心の日々を送っていた。寂しく迎えたクリスマスイブの夜、解約せずにいた夫の携帯電話からメールが送られてきて…(「聖夜のメール」より)。不倫を疑う妻、若い部下の扱いに戸惑う中年部長、仕事に行き詰まったキャリアウーマン…どこにでもいる普通の人たちに起こった、8つの小さな奇跡。日常の些細な出来事を丁寧に掬い取った、心あたたまる家族小説集。
小学校の体育館裏で、きりこが見つけた黒猫ラムセス2世はとても賢くて、大きくなるにつれ人の言葉を覚えていった。両親の愛情を浴びて育ったきりこだったけれど、5年生の時、好きな男の子に「ぶす」と言われ、強いショックを受ける。悩んで引きこもる日々。やがて、きりこはラムセス2世に励まされ、外に出る決心をする。きりこが見つけた世の中でいちばん大切なこととは?読者からの熱烈な支持を受け、ついに文庫化。
紅秀麗は彩雲国きっての名門・紅家のお嬢様。ところが世渡り下手な父のせいで家計は常に火の車。おかげで深窓の姫君とは思えないほどのしっかり者に成長した秀麗のもとへ、ある日とんでもなく高額な賃仕事の話が舞い込んだ。提示された報酬に目がくらみ、一も二もなく飛びついた秀麗だったが、その仕事内容はといえば、即位間もない昏君・紫劉輝の教育係として、からっぽの後宮に貴妃の身分で入内しろというものだった…。
華吹璃子は恋愛偏差値ゼロ。仕事ばっかりの新人刑事。顔は最高、親は警視総監、頭脳明晰の幼なじみ・川杉隼人。顔はジャ○-ズ、超優しい先輩・三戸部さん。ヘビースモーカーのニヒルな上司・中野さん。イケメン刑事たちに囲まれて、毎日バラ色…なんてナイナイ。璃子をいたぶるのが大好き?な川杉にファーストキスは奪われるし(しかも張り込み中!)、三戸部さんとの恋は邪魔されるしでもうヘロヘロ…なのに、強盗殺人にレイプ事件…事件だらけで警察ワークは大忙し!そんな中、超大ピンチ事件が璃子を襲ってー!?幼なじみ刑事コンビが巻き起こす!超スキャンダルな痛快ラブコメ。
重い病を患う母のためにバイトに明け暮れる17歳の少女、葉月。彼女の部屋に偶然逃げ込んだのは、サスケと名乗る謎めいた男。闇の世界に生きるサスケは正体を知られた葉月の命を奪おうとするが、母の命が尽きるまでという条件のもと、葉月は延命を許される事になりー。
元経団連会長にして旧財閥系企業の名誉顧問である梶井は、80年代初め、NYで不遇をかこっていたころ、ジュリアード音楽院に通う日本人学生たちと知りあう。そして彼らが結成した弦楽四重奏団に「ブルー・フジ・クワルテット」と命名。やがて世界有数のカルテットに成長した四人のあいだにはさまざまなもめごとが起こりはじめるが、その俗な営み、人間の哀れさを糧にするかのように、奏でられる音楽はいよいよ美しく、いよいよ深みを増してゆくー。
『カルメン』で知られるP・メリメや『山猫』のG・T・ランペドゥーザ、A・フランスが織りなす、南欧を舞台にした選りすぐりの怪奇譚を軽妙な文体で訳出した一冊。日本の怪談では味わうことのできない異なる怖さと異様さが満喫できる。
蓮丈研究室に舞い込んできた手書きの古書「阿久仁村遺聞」。村の伝説や民話めいた挿話の数々は、鏡のモチーフに彩られつつ奇妙につながりを欠き真意も編まれた目的も不可解だったー。明治初期に地図から消えた村、隠蔽された惨殺事件、暗躍する怪人物。那智の推理が、村の来歴と「邪馬台国」の実像を射抜く時、古代から現代まで、歴史の闇を貫く「もう一つの日本史」が現前する。著者の絶筆が、その遺志を継いで遂に完成。
1984年、夏。別れた妻をいまだ忘れられぬゾイド・ホイーラーは、今年もヴァインランドの町で生活保護目当てに窓ガラスへと突撃する。金もなく、身動きもならず、たゆたうだけの日々。娘のプレーリーはすでに14歳、60年代のあの熱く激しい季節から、どれほど遠くまで来てしまったことかー。だが、日常は過去の亡霊の登場で一変する。昔なじみの麻薬捜査官が示唆したあの闇の男、異様なまでの権能を誇り、かつて妻を、母を、奪い去ったあの男の、再びの蠢動。失われた母を求める少女の、封印された“時”をめぐる旅が始まった。超ポップなのに、この破壊力。作品の真価を示す改訳決定版。
老女の部屋の壁に並ぶ、無数のカートリッジ。その一つ一つに彼女の大切な記憶が封じ込められていたー。記憶を自由に保存・再生できる装置を手に入れた認知症の老女を描いた表題作のほか、ダムに沈む中国の村の人々、赴任先の朝鮮半島で傷ついた鶴に出会う米兵、ナチス政権下の孤児院からアメリカに逃れた少女など、異なる場所や時代に生きる人々と、彼らを世界に繋ぎとめる「記憶」をめぐる6つの物語。英米で絶賛される若手作家による、静謐で雄大な最新短篇集。O・ヘンリー賞受賞作「一一三号村」およびプッシュカート賞受賞作「ネムナス川」を収録。
同情は美しい、それとも卑しい?美人の親友のこと、本当に好き?誰もが心に押しこめている本音がこぼれる瞬間をとらえた二篇を収録。デビューから10年、綿矢りさが繰り広げる愛しくて滑稽でブラックな“女子”の世界。
神々と人間がともに歴史を紡いでいた神話の時代。全知全能の父神ゼウスの計らいによって、10年にわたる「トロイア戦争」が勃発する。やがて戦は佳境を迎え、英雄アキレウスとヘクトルの決闘がはじまるー。古代ギリシア神話を題材とし、ギリシア叙事詩のなかでも最高と讃えられるホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』の2大作を漫画化。