2011年2月28日発売
深川にゃんにゃん横丁深川にゃんにゃん横丁
お江戸深川にゃんにゃん横丁。長屋が並ぶこの場所は、その名のとおり近所の猫の通り道。白に黒いの、よもぎにまだら。愛らしい猫たちがあくびをしているその横で、雇われ大家の徳兵衛は、今日もかわらず大忙し。悲しい別れや戸惑いの出会い。報われない想いや子を見守る親の眼差しー。どんなことが起ころうと、猫がニャンと鳴けば大丈夫。下町長屋の人情溢れる連作時代小説集。
ざらざらざらざら
風の吹くまま和史に連れられ、なぜか奈良で鹿にえさをやっているあたし(「ラジオの夏」)。こたつを囲みおだをあげ、お正月が終わってからお正月ごっこをしているヒマな秋菜と恒美とバンちゃん(「ざらざら」)。恋はそんな場所にもお構いなしに現れて、それぞれに軽く無茶をさせたりして、やがて消えていく。おかしくも愛おしい恋する時間の豊かさを、柔らかに綴る23の物語のきらめき。
あなたの呼吸が止まるまであなたの呼吸が止まるまで
舞踏家の父と暮らす朔は、物語を書くのが好きな十二歳。クラスの中で浮いた存在になることを恐れつつも、気の強い鹿山さんとの友情を深め、優しい田島君への憧れを抱きながら、少しずつ大人に近づいていた。だが、そんな朔の日常を突然切り裂くできごとが起こりー。私はきっと、なんらかの方法で戦わなくてはいけない。唐突に子供時代を終わらせられた少女が決意した復讐のかたちとは。
しずかの朝しずかの朝
しずかは25歳。家庭のある恋人と別れ、勤めていた会社は倒産。人生に迷う彼女は、不思議な縁に導かれ、亡命ロシア貴族の未亡人ターニャが住む横浜の洋館で暮らすことになる。一方、恵まれた結婚をしたはずのしずかの姉、恭子もまた、問題を抱えていた。心配したしずかは姉を洋館に呼び寄せるがー。優しい人々との出会いによって生きる道を見いだす女性を描く、前向きな再生の物語。
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