2012年10月24日発売
七王国の“鉄の玉座”を賭けた王都での決戦の夜、湾を埋めつくした大船団は、緑色の燐火に呑まれ巨大な鎖に捕らわれて次々に沈没し壊滅した。一夜明けて、民衆は都の無事を喜び、少年王ジョフリーに快哉を叫ぶ。南部総督タイレル家との婚姻による同盟も決まり、ラニスター家の勢力は隆盛を極めた。一方、敵対するスターク家には、かつてなく過酷な運命が舞いおりていた…ローカス賞3作連続受賞に輝く至高の異世界戦史。
“五王の戦い”が収束し、七王国の統治は事実上ラニスター家にゆだねられた。辣腕たる“王の手”タイウィン公の手により、民はひとときの平和を享受する。だが、様々な怪異が各地で目覚めつつあった!北の奥地では、“異形”とその配下の“亡者”の脅威におびえた野人たちが、マンモスや巨人を引き連れて、“壁”を破壊せんと押し寄せる。また王都決戦に敗れたスタニスのもとでは、“光の王”の女祭司が怖るべき呪術を…。
今年一月に芥川賞を受賞した『共喰い』がベストセラーとなり、今もっとも注目を浴びる作家・田中慎弥さんの受賞第一作です。日中戦争で傷を負い不名誉な形で戦線を離脱、複雑な胸中を隠したまま戦後を過ごしてきた「父」が、昭和天皇の死を受けてとった行動とはーー。 田中氏自身を彷彿とさせる作家が受け取った読者からの手紙、という「枠物語」の手法をとりながら展開される数奇な物語。「父と息子」「戦争の記憶」「介護」といった骨太のテーマが、不気味な蜘蛛のイメージと共に描かれます。 「戦争体験」「父と子」「介護」といった重いテーマに正面から挑んだ意欲作。また、一種のミステリーとしても読める構造をもっており、文学の醍醐味をとことん味あわさせてくれる珠玉の一作です。なお、カバー装画は線香の炎で紙を焼き、繊細なイメージを描き出す異色のアーティスト・市川孝典さんの作品です。こちらも合わせてお楽しみください。
中東を革命の炎に包む「アラブの春」の発端となった一青年の焼身自殺。その瞬間を、文学は、思想は、いかに表現し、それに応答できるか。生きるなかで打ちのめされ、辱められ、否定され、ついに火花となって世界を燃え上がらせた人間の物語。