2012年12月4日発売
二十代も終盤にさしかかりつつある会社員ウミノの一日は、通勤途中にある昔ながらのタバコ屋で幕を開ける。ハイライトを一箱買い、店の前で一服。その窓口にあらわれる店番の少女、如月さなえとのやりとりをささやかな楽しみにしていた。ある日、ウミノはタバコ屋の矍鑠たる老店主、如月志乃が亡くなったことを知る。しばらくの間休業していた店が再開すると、そこには他界した祖母がのりうつったかのような威勢のいい口調と仕草で話す、見慣れた少女がいた。ウミノが“シノちゃん”と名付けたその少女は、彼にある頼み事を持ちかけてくる。
小学生の頃の燐は、獅郎から重大な『にんむ』を託された…!!風邪で倒れた雪男や教会のみんなを、たった一人で看病しなくてはならないのだ!!燐の奮闘がはじまる…!!その他、幼い頃の勝呂たちがクリスマスをめぐって起こす騒動、正十字学園の学生だった頃の柔造と蝮が、藤堂の課題に挑むエピソードなどを収録した、小説第2弾。
壬申の乱を経て、藤原京、平城京へと目まぐるしく都が遷る激動の時代。その裏では、皇位をめぐり歴史の節目となる大変革が進行していた。繰り返される裏切り、陰湿なる策略…その矢面に立たされた氷高皇女=元正女帝が自身のすべてを政治に捧げ、守り抜こうとしたものとは。悲劇の女帝を描く長編歴史小説。
ラブホテルで盗聴したテープを心ときめかせて聞いた雑誌編集者の宮脇平助は、それが死の演奏への序曲だと知った。そして映画監督久間隆一郎とともに、事件を追及しはじめる。柏崎、甲府、東海道、尾鷲、九州…次第に、選挙違反の黒いネットワークと殺人事件との結びつきが浮かび上がってくる推理長篇。
七日後の立春に結婚をする決意をした花世は、花嫁修業に目もくれなかったつけが回り、てんてこ舞いに。るいや麻生宗太郎ら周囲の温かな支援で源太郎との祝言を無事あげる表題作ほか、老舗の糸屋で起きた連続殺人事件「糸屋の女たち」、築地居留地の清国人の不審死にはじまる人情譚「抱卵の子」など、六篇からなる珠玉の短篇集。
名代の茶道具屋の愛娘だったゆずは店の奉公人だった真之介と出奔、幕末の京都で道具屋「とびきり屋」を営んでいる。二人にわかるのは道具のことだけ。でもその「見立て」力で、龍馬や桂小五郎らと渡り合い、動乱の京を生き抜いていく。若い夫婦の成長を軸に、京商人の心意気を描いた大人気シリーズ第2弾。
遠藤慶太は30歳。大航ツーリスト成田空港所に赴任して二年目を迎えた。今や空港勤務のプロ「あぽやん」として大活躍ーのはずが、能天気な新人の教育、テロリストの出没騒動に今日も悪戦苦闘。さらに空港所閉鎖の話が浮上する中、恋のライバル登場で、まさに大ピンチ!?遠藤の活躍を描く、大人気シリーズ第二弾。
江戸の町で付け火が続いた。捕縛された盗賊・東雲の鉄五郎の一味の者が、鉄五郎を放免しなければ火を放つと脅してきた挙げ句のことだった。南町奉行の荒尾但馬守は、大火を恐れるあまり脅しに屈しかけ、吟味方与力・秋山久蔵に対し探索の日切りを申し渡した。久蔵は、期限までに一味を捕らえられるのか。人気シリーズ16弾。
殺人を犯して服役、八年の刑期を終え出所した笙子。静かに暮らすつもりが、かつての恋人が起こした十億円強奪事件に巻き込まれて複数の組織に狙われるはめに。かかる火の粉を笙子は振り払えるのか?ハードボイルドの新しいヒロイン像が絶賛された第16回松本清張賞受賞作。
昭和初期、女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。だが平穏な日々にやがて密かに“恋愛事件”の気配が漂いだす一方、戦争の影もまた刻々と迫りきてー。晩年のタキが記憶を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれてゆく最終章が深い余韻を残す傑作。著者と船曳由美の対談を巻末収録。