小説むすび | 2012年8月17日発売

芥川の死、そして昭和文学の幕開けー「死があたかも一つの季節を開いたかのようだった」（堀辰雄）。そこに溢れだした言葉、書かずにおれなかった物語。昭和二年から一七年に発表された、横光利一・太宰治らの一六篇を収録。

まことを受けるに足りぬ者 大あたり あぶく いまどきの子ら ホドル ハヴァ テヴィエ、パレスチナへ向かう 行きなさい ヴァフラクラケス 解説（西 成彦） 注

劇団員の夏帆は、アルバイトをしながら日々の生計を立てている。一人暮らしの３２歳。２０代のころのように素直に夢を追うこともできず、かといって郷里には戻りたくない。アルバイトの住宅地図の調査に訪れた埼玉県のベッドタウンは、小学校の頃に一時期住んでいた街だった。夏帆は小学校の同級生と再会し、その夜、彼女の家に向かう途中で運悪く通り魔に遭遇してしまう…。「日常の些細な悪意」の連鎖が引き起こす長編サスペンス。