2012年9月27日発売
『北京の春の白い服』-1999年、中国初のファッション誌創刊に向けて派遣され北京で奔走する夏美。『時間の向こうの一週間』-2012年の上海、赴任したばかりで多忙な夫の代わりに家探しを引き受けた亜矢子。『天燈幸福』-「台湾に三人おじさんがいるのよ」という亡き母の言葉を手がかりに旅に出た美雨。時間も、距離も越えて、新しい扉をひらく彼女たちの物語。
岩倉具視暗殺未遂事件の処理に暗躍した警察官、会津の民のために奔走した元京都見廻組の男、国会開設を檄文で訴える岡山の隠れた俊才ー日本近代の産声にかき消された叫びと祈り。中央政府の大義に屈せず、彼らはそのときたしかに生きた。
五番街にある“フレンチズ・デパート”のウィンドウに展示された寝台から、女性の死体が転がり出た。被害者はデパートの取締役会長の後妻。遺体のくちびるには口紅が塗りかけで、所持していた別の口紅からは謎の白い粉が発見される…。この怪事件から唯一無二の犯人を導き出す、エラリーの名推理。巨匠クイーンの地位を不動のものとした“国名シリーズ”第二作。
“見えないはずのものが見える”能力を持つビデオ製作者のエリックは、93歳の大富豪、キャンベル・ブラッドフォードの生涯を探るビデオ製作を依頼される。手がかりはキャンベルが唯一手放さなかったプルート水という水と、「あの川は本当に冷たかった」というひと言だけ。彼の故郷に到着したエリックは、蒸気機関車に乗った山高帽の男を幻視し…。早熟の天才が放つ傑作ミステリ。
エリックは好奇心から口にしたプルート水の壜が、なぜかどんどん冷えていくことに気づく。さらに水は、ヴァイオリンを弾く少年の幻覚を見せる。様々な幻覚に襲われ始めたエリックは、キャンベルが生きていれば116歳になるはずで、殺しも辞さない悪党だったことを知る。では93歳のキャンベルは何者なのか。ここでいったい何があったのか。期待の新鋭が放つ、鮮やかな一大巨編。
出色の脚本を得て名プロデューサー復活の狼煙を上げるはずが、誤算続きのピーター・ダルース。忌まわしい噂のある劇場をあてがわれ、難点だらけの俳優陣を鼓舞してリハーサルを始めたが、無類漢の乱入に振り回されたあげく死者まで出る仕儀と相成った。真相究明か興行中止の憂き目に遭うか、初日は目前に迫っている!謎解きとサスペンスの興趣に満ちた、パズルシリーズ第二作。
アスラウグは母とふたりで暮らしていた。野草を食べ、薬草を煎じる毎日。母が今日欲しがっているのは、毒のあるマッドアップル…。2007年、アスラウグにかけられているのは殺人未遂と第一級謀殺の容疑。ほんとうに彼女は母親とおばといとこを殺したのか?証言のたびに、浮かび上がる万華鏡のような事件の様相。真実は?全米図書館協会ベストブックに選ばれた、気鋭の処女作。