2013年11月8日発売
家康を父に持つ於義丸は双子で生まれたため、忌避される。兄信康のとりなしで家康に息子として数年後に認知させた。しかし、秀吉の養子として徳川家を出され、豊臣秀康と名乗らされた。それも束の間関東の結城家に養子にだされ、父・家康の監視役とされる。家康が恐れた息子の短くも波乱の生涯を描く歴史巨編。
平家滅亡の直前、女院らとともに西海に逃げた松虫と鈴虫の姉妹。松虫が屋島の戦いで、源氏方の那須与一に扇を射抜かれたことから姉妹は疎まれ、浜で暮らすようになるが、さらに公吏としてやってきた那須兄弟の宴席に侍ることになる(「平家蟹異聞」)。落日の平家をめぐる女人たちを華麗な文体で描いた短編集。
貧しい親に捨てられたり放置されたりしている子供たちをさらうことで自らの「家族」を築き、威厳ある父親となったビグア大佐。だが、とある少女を新たに迎えて以来、彼の「親心」は、それとは別の感情とせめぎ合うようになり…。心優しい誘拐犯の悲哀がにじむ物語。待望の新訳!
小伝馬町の牢から火が出て、罪人たちが切放になった。その後、戻ってこなかった囚人に勘定所道中方の役人がいた。勘定奉行の父の命を受けた夏目影二郎は、行方を断った役人の所在をつき止め、始末する旅に出るが、行く先に巨悪の影が…。鏡新明智流の豪剣で悪に立ち向かう。佐伯泰英の原点ともいえるシリーズ決定版の第三弾!巻末に佐伯泰英外伝を特別収録。
幕末に徳川方の中心となって戦い、やがて「賊徒首魁」として鶴ヶ城篭城戦に至る会津藩。だが、その精神的・財政的基盤の背景には、江戸中期の不世出の名家老・田中三郎兵衛玄宰がいた。借金が膨らみ、人心の乱れた会津藩を、五代藩主・松平容頌の厚い信頼と藩祖・保科正之への原点回帰を礎に、殖産興業、藩風刷新の妙手を次々に断行し、立て直していく。知恵と果断と忍耐の改革者を、渾身の筆で描く歴史長編。