2013年12月発売
作家兼編集者の三津田信三が紹介された男、龍巳美乃歩が語ったのは、旧家、百巳家での迫真の実話怪談だった。数日後、送られてきた原稿を読んだ三津田と周囲の人々を、怪現象が襲い始める。もうひとつの怪異長編『蛇棺葬』から繋がる謎と怪異が小説の内と外で膨れあがるホラー&ミステリ長編。全面改稿版。
大伯父が遺した博物館は、時間旅行の秘密の実験場だった。天涯孤独になった勇介は、過去を彷徨う大切な人の魂を救うため、危険な旅路に出る。パートナーは青い瞳の不思議な学芸員枇杷。「命綱」は固くつないだ手。この手が離れれば二度と現代には戻れない。過酷な旅が今、始まる。新感覚ミステリー長編!
18年前の嵐の日、美しくて奔放な姉が下着を剥ぎ取られ惨殺された。事件は、当時12歳の妹ベラミーの心に深い疵を残した。大人になったベラミーは過去を清算するつもりで事件を小説に綴ったが、それが予想外のベストセラーになると、彼女の身辺で次々と不気味な出来事が起きる。真相を探るため当時の姉の恋人で第一容疑者だったデントに急接近するのだが…。ラブ・サスペンスの女王、サンドラの傑作!
街の弁護士・衣田征夫は、不慣れな殺人事件を担当することになった。容疑者は知人の峰岸諒一。彼は妻の父で、養父でもある巌雄宅に放火、殺害した疑いで逮捕された。現場には諒一のライターが落ちていて、巌雄を罵倒する声を聞いたという証言もある。さらに彼の顔と手には火傷の跡が…。だが、諒一は否認を続け、弁護人の衣田にも詳細を話さない。そんなさなか、諒一の妻が別荘の地下で水死した。すると諒一は言った。「妻が死んだ以上、もはや秘密を守る必要はなくなりました。すべてをお話しします」-。とある冤罪事件に端を発する連続不審死。複雑に絡み合う家族関係、見えない利害対立、狡猾な犯行計画ー。
派遣スタッフのルーシー。やりがいも男性との縁もない単調な日々が一転、会社のエレベーターでセクシーな男性に誘惑され、その日のうちに関係を持ってしまう。彼の正体は派遣先のCEO、ジェレマイアだった!彼の個人秘書として訪れたパリで、経営者一族の秘密と確執が明らかになるにつれ、親密さを増す二人に魔の手が忍び寄る。ついには殺人事件も起こり…。USAトゥデイとNYタイムズでベストセラー入りした、手に汗握るエロティカ・サスペンス!
塾の帰り道、古びた洋館の窓に現れる謎の美少女に気づいた内人。幽霊が出る噂もある“斑屋敷”と呼ばれる怪しい館を創也と内人はテレビクルーとともに探索する。“妖精”と名づけた美少女に内人は出会えるのか?館にまつわる数々の謎の実体は?竜王創也と内藤内人、二人の中学生の冒険ミステリー第四弾!
自堕落にして借金魔。しかし、その一方で、寝食を忘れるほど研究に没頭し、貧農の倅という出自の壁、幼少期の火傷によって負った左手のハンディ、日本人に対する西洋人の蔑視を撥ね除けた。偉人伝の陰で長く封印されていた野口英世の生身の姿を、見事に蘇らせた傑作伝記長編。第十四回吉川英治文学賞受賞作品。
日本では将来が望めない。無鉄砲に、単身渡米した野口英世。そんな彼に実力重視の米国は肌に合い、やがて新進気鋭の学者として世界中の注目を浴びる。日本への凱旋、老母との涙の再会。まさに立志伝中の人となるも、提唱した理論が揺らぎ、黄熱病の研究で再証明を試みるがー。野口の栄光と最期を描いた傑作伝記。
その夜も啓太は街を徘徊していた。死体が入った冷凍庫のあるアパートに戻り悪夢を見たくないのだ。ゲイバーで出会った男、充は部屋を拝借するにはちょうどいい相手だった。愚鈍だが心優しい充に啓太は徐々に惹かれていく。そして啓太は過去を断ち切るため、充を伴い死体を隠した冷凍庫を海に捨てに行くが…。『箱の中』『美しいこと』を超える衝撃で迫る、恋愛小説の極北。
資本という魔物に食い尽くされつつある世界を救うには。呪われた遺産『M資金』の継承者たる自分がなすべきことは。求道者のごとく問い続けながら世界を彷徨していた笹倉暢人は、流れ着いたアジア辺境の小国でついにその答えと出会った。自分がしたことの真の意味を知った真舟の前に立ちはだかるものは?映画では語られなかった真実の幕が開く。文庫書下ろし映画原作小説。
尾張藩の江戸下屋敷内に実在した「御町屋」と呼ばれる宿場町。この町では、赤の他人が見せかけの夫婦として割り振られた家に住まわされ、仮の商いを営み、藩主が遊覧する時だけ立ち退かねばならなかった。御町屋で連続殺人が発生し偽の住人たちは疑心暗鬼に陥る。人心の謎と闇を射貫く時代小説の決定版。
金子弥一郎は慶応3年に異例の若さで定町回り同心となったものの、幕府は瓦解して町奉行も消滅。新政府に仕官した同僚の誘いにも気が進まず、元岡っ引の始めた料理茶屋に居候を決め込んだが、ひょんな縁で佐幕派の「中外新聞」で種取り記者として探索にあたることに。元「八丁堀」同心の矜持を描く傑作長編。
「竹本綾之介は天からの授かりもんだ」大阪で生まれた美少女は、竹本綾之助を名乗り、浄瑠璃で明治の日本中を魅了した。錦絵は即日完売、ファンの書生は人力車を“追っかけ”回し、芸能記者はスキャンダルを書きたてる。孤独と引き換えの栄華を手にした綾之助の傍には、いつも母お勝がいた。そんなある日訪れた突然の初恋。彼女の下した衝撃的な決断とは? 直木賞作家が実話をもとに描く、可憐な元祖アイドル半生記! 「竹本綾之介は天からの授かりもんだ」 大阪で生まれた美少女は、類稀なる浄瑠璃の才能を持っていた。彼女は、竹本綾之助を名乗り、男装の女義太夫として高座に上がる。可憐な少女は、たちまち新都東京、そして日本中の心をつかんだ。馬車鉄道には綾之介の錦絵が飾られ、ファンの書生は人力車を“追っかけ”る。 過密化するスケジュール、寄席と芸人の闘争、スキャンダルを煽る芸能新聞。栄華を極め、孤独に悩む綾之助の傍らにはいつも母お勝がいてくれた。 そんなある日、綾之助に初めての恋が訪れる。人目を忍んで育まれた愛は、芸能記者の格好の標的になってしまい……。 アイドル評論家、中森明夫氏も絶賛! 明治を駆け抜けた日本初のアイドル、竹本綾之助の半生を、直木賞作家・松井今朝子が描いた傑作小説。 姿と心 草木もなびく東京へ 初めてのご贔屓 一度きりのはずが 素人の力 八丁あらし ドウスル連を、どうするねん 五厘騒動 綾之助の恋 男たちの世界 別れは会うの始まり 星と輝き花と咲き
徳川に藩主を渡せるかといきり立つ御為派。藩主綱紀は国元で孤立する前田直作を江戸に呼んだ。数馬がその護衛役に選ばれた。「堂々たる隠密」と加賀であだ名される五万石の筆頭家老本多政長は、出戻りの娘・琴を数馬と娶せる。その琴を金沢に残し中山道を急ぐ数馬。無事、峠越えを果たせるか!?文庫書下ろし。
ぼくはタマオ。真っ白な猫だ。生まれたばかりのぼくの命を救ってくれた理々子に恋をしている。ある日あやしい車に追いかけられた彼女を助けようとしたぼくは青年の姿になっていた。夜限定の変身、寿命も縮む。でも愛しい理々子のために……。大人気「猫弁」シリーズの著者による、せつなすぎる涙の恋物語。 自分にこの美しい世界を与えてくれた少女に恋をした猫、タマオ。 小さな命で守り抜いた、小さな小さな恋物語。 ぼくはタマオ。真っ白な猫だ。生まれたばかりのぼくの命を救ってくれた理々子(りりこ)に恋をしている。ある日あやしい車に追いかけられた彼女を助けようとしたぼくは青年の姿になっていた。夜限定の変身、寿命も縮む。でも愛しい理々子のために……。 大人気「猫弁」シリーズの著者による、せつなすぎる涙の恋物語。 第一章 世界をもらう 第二章 飛ぶ猫 第三章 京都へ行く 第四章 ひきこもり屋 第五章 イヴのすべて 第六章 雪のなか
本業は医師(見習い)副業はおまけ絵描き そんな男がお家騒動を解決ーーだいじょうぶか。 薬売りに託した絵が藩の命運をにぎる! このままでは、お国が乗っ取られる! 見習い医師・孝之助は、趣味で版画絵を描いている。「富山の薬売り」が売る薬に付けるおまけ絵だ。絵で小遣いを稼ぐ、宙ぶらりんのおまけ者のつもりが、偶然、富山藩の存亡に関わるお家騒動に巻き込まれる。江戸家老の大陰謀を国許に知らせねば。そこで孝之助が思いついたのが版画絵を2枚使った巧妙な細工だったーー。
口承によってうたい継がれてきた中央アジア・キルギスの英雄マナスは、永遠に年をとらない、とても元気な男の子。その「夢の歌」を聞きたいと旅をする「あなた」。氷河によって削られたジャイロの美しい牧地に心奪われ、その地を駆けめぐった多くの騎馬、狩猟民族の興亡に思いを馳せる。(講談社文庫) トット、トット、タン、ト 「夢の歌」の旋律は、オオカミのようにステップ地帯を走りまわる 毎日芸術賞受賞作 口承によってうたい継がれてきた中央アジア・キルギスの英雄マナスは、永遠に年をとらない、とても元気な男の子。その「夢の歌」を聞きたいと旅をする「あなた」。氷河によって削られたジャイロの美しい牧地に心奪われ、その地を駆けめぐった多くの騎馬、狩猟民族の興亡に思いを馳せる。
父の転勤で北九州の社宅へ引っ越して来た高見森。同じ社宅に住む子どもたちと仲良くなるにつれ、彼らがある秘密を共有していることに気づく。そして「パック」と呼ばれる謎の少年には、ある役割があったー。理不尽な想いを抱える仲間を守り、仲間に守られながら生きる少年少女たちの、清々しく明るい物語。
岩田広一が通う中学に山沢典夫という転校生が入ってきた。典夫はギリシャ彫刻を思わせる美男子であるのに加え、成績優秀でスポーツも万能だったが、なぞめいた雰囲気を持っていた。ある日とんでもない事件を起こした典夫の秘密とは? 1970年代のNHK少年ドラマシリーズシリーズとして映像化され人気を博した眉村卓がおくるSFジュブナイルの傑作。 岩田広一が通う中学に山沢典夫という転校生が入ってきた。典夫はギリシャ彫刻を思わせる美男子なのに加え、成績優秀でスポーツも万能だが、なぞめいた雰囲気を持っていた。ある日とんでもない事件を起こした典夫の秘密とは? 1970年代にドラマ化され人気を博したSFジュブナイルの傑作。 解説・岩井俊二 異様な少年 転校生 みどり完敗 もうじき雨になる 軽蔑の視線 六四〇号室の客 典夫のデザイン 妙な仲間たち 乱闘! ここだけではない にくしみに燃える目 ぼく行ってくる 不適応者かね たいへんなの だから撃ったんだ この世界には住めない 全員が消えた からっぽの室内 もうお別れだ さようなら みどりの悲しみ なんということだ 帰ってきたのね どうして典夫を守るか 屋上から降りてくる 帰ってきた人々 あしたを創る 最後の授業時間 講談社文庫版あとがき