2013年6月15日発売
北町奉行所に新任の奉行と共に大坂から赴任した内与力、淀川新十郎。もっさりした風貌と陽気な語り口だが、捕物は型破りだった。早速、最初の町廻りで強引に賭場へ踏み込み騒ぎを起こす。贋金の探索を続けるうち、たどりついた相手は大坂以来の因縁の両替商と大名だった。書下ろし時代小説、新シリーズ第一弾。
Gカップ「おっぱい」をアイデンティティとする23歳フリーター・巡谷。アパートの同居人は、「自分は臭い」と信じる23歳処女・日田。日田は外見に一切気を遣わぬ変人だが、巡谷は彼女だけが自分の理解者だとも感じている。情けなくどうしようもなく孤独な毎日も、二人が一緒ならなんとかやっていけるかもしれない。大江健三郎賞受賞作家(『嵐のピクニック』)による、情けなくて可愛い青春エンターテインメント!
菖蒲家ー甘い香りと美しい歌声に満ちた夢の花園。だがその実態は、人心を自在に操る一子相伝の秘術を用いる魔術師一家が一二〇〇年前から住まうディストピアだった。自分の代で忌まわしい伝承を断つつもりだった父は、一族の遠大な呪縛に絡め取られていく。谷崎潤一郎賞受賞の「神町トリロジー」第二部。
北町奉行所内で同心が若い同僚に刺される刃傷事件が。そして告発の捨訴が投げ入れられた。鳥居耀蔵らの介入を警戒する遠山奉行は、隠密廻りの十兵衛に内偵を命じる。奉行所内部の事件に、十兵衛得意の独断専行は通じるのか?そして、想いをかよわすお仙との仲も、新たな展開に…!?
黒革の長手袋をはめ、威風堂々としているぼくの祖母「おおばあ」。父さんのいないぼくは、おおばあと母さんに育てられてきた。ある日おおばあから「呼吸合わせ」の話を聞く。そして、眠り続ける少女との出会いにより、“呼吸を合わせる”ことの真の意味を知る。瑞々しく色鮮やかな「ぼく」の成長物語。文庫オリジナル。
かつて捕鯨で栄えた、入り江の奥の小さな港町。僕は母さんの実家のミカン山で暮らすことになり、生まれ育ったこの町を離れた。一年後の夏、僕は父さんとジイチャン、後ろ足を失くした犬のコロが暮らす故郷の町を目指し、ひとり相棒のマウンテンバイクUMIのペダルを漕ぎ出す。小学館児童出版文化賞受賞作。
悪妻として知られる夏目漱石の妻・鏡子。潔癖症の漱石と、おおらかで大雑把な鏡子の夫婦生活は、船出から食い違い、英国留学を経て重度の神経症を患った漱石との暮らしは大波に揺れる。鏡子はなぜ悪妻と呼ばれたのか?二人はどうして別れなかったのか?余人には窺い知れない夫婦の絆を妻の視点で描く。
同日同時刻、五百km離れた東京と奈良で起きた二つの「殺人」。容疑者として浮上したのは同一人物だった。謎を追う刑事たちの前に、今度は閉鎖病棟での密室殺人が発生。三つの事件がつながり、驚愕の真実が明らかになる!江戸川乱歩賞受賞作『プリズン・トリック』を超えた、著者渾身の長篇ミステリー第2作。
江戸は根津権現近くでよろづ屋を営む清四郎。かつて南町奉行の内与力だった彼の許には、失せ物探しから殺しの謎解きまで、様々な頼み事が持ち込まれる。故あって刀を捨て町人となった清四郎の過去と苦悩は、慎ましくも懸命に生きる市井の人々の心と響き合う。江戸の人情と艶を丹念に掬い上げた傑作時代連作集。
石田三成の正体は、朝鮮の古代国家・百済の流れを汲む、近江百済党の首領であった。百済再興を謀り、魔人と化した三成。これを阻まんと、剣客・柳生石舟斎ら大和柳生一族が立ち上がる。唐王朝、古代朝鮮、大和朝廷の動乱から関ヶ原の戦いまで、千年の死闘を大胆な歴史解釈と奇抜な着想で描いた伝奇大作!
霊廟を開封し、超能力を得た石田三成は、主君・豊臣秀吉の一族を次々と殺害。天下獲り、そして百済再興へ、着々と謀をめぐらす。その魔力を封じるべく、百済殲滅を使命とする新羅非時一族の末裔・大和柳生は、壬申の乱で用いられた百済伝来の神器を手に入れんとするー。大胆にして壮大な、荒山ワールド全開!
ニューヨーク近郊に暮らす上流階級13人の複雑な関係が、時代を往来しながら明かされる。絵画、詐欺、変死をめぐる謎…その背後でいったい何が起きていたのか?実験的文学者集団「ウリポ」の鬼才による、精緻なパズルのごとき構成と仕掛け!