2013年9月10日発売
江戸城の台所人、鮎川惣介は天性の鋭い嗅覚でこれまで数々の難事件を解決してきた。その協力者である幼馴染の親友、御広敷添番の片桐隼人が念願かなって授かったのは、なんと双子の男女であった。が、隼人の母親の心ないひと言から大騒動に。一方、惣介は家斉から西の丸への異動を命じられ、複雑な心境に。西の丸の御膳所では想像を絶する「いじめ」が展開されていた。惣介は、いじめ解消に知恵を絞るが…。
船宿「川澄」の船頭である霧太郎は、南町同心の浦部から手札を受けて、小網町界隈を縄張りとする岡っ引きでもあった。その浦部から今年の二月に米屋の主を殺害し、四百七十両を奪った盗賊の探索を命じられる。犯行後、その町内から姿を消した綱七の行方を捜し、男と繋がる棒手振をつきとめた霧太郎。その倉吉が住んでいた長屋のなかを調べてみると、柱に見覚えのある「御札」が貼ってあることに気づくが…。
謎の暗号文を苦心のすえ解読したリーデンブロック教授と甥の助手アクセル。二人は寡黙なガイド、ハンスとともに地球の中心へと旅に出た。そしてそこで三人が目にしたのは…。前人未到の地底世界を驚異的な想像力で自在に活写したヴェルヌの最高傑作を、圧倒的な臨場感あふれる新訳で。
どん底の境遇のなかで謹厳実直に物を書き続けて三十余年。不意に多少の財産を手にしたライクロフトは、都会を離れて閑居する。四季折々の自然の美しさに息を呑み、好きな古典文学を読み耽りながら、自らの来し方を振り返る日々-味わい深い随想の世界を心に染みる新訳で。
パーキング・エリアで、人の指先が発見された。事故?それとも…。自動車警邏隊の女性警官クロハは、ネット上に手がかりを残して消えた一人の男の存在に気づく(表題作)。夜の幹線道路で起きた凄惨な衝突事故。運転手はともに死亡していた。現場の痕跡からクロハが見抜く衝撃的な真実とは?(『雨が降る頃』)。『プラ・バロック』以前のクロハの活躍を描くシリーズの原点。
一人の自殺志願者が、多量の血痕を残し姿を消した。男は毎日一人ずつ旧友に電話をかけ、相手が出なければ首を吊る「死のゲーム」をしていたらしいのだが…。やがて、彼の幼馴染が次々と謎の死を遂げ始める!仲間の一人だった作家は、事件を追ううち、心の奥に封印された少年時代の忌まわしい記憶へと辿り着く。錯綜する推理の先に立ち現れる驚愕の真相とは?三転四転する推理!炸裂する三津田マジック!!
中学の新米教師・片野厚介は、クラスの少年たちからとある写真を見せられる。立入禁止の神社の森に、金色に輝く豪華絢爛なお宮と、狛犬に似た狼像があるというのだ。森の探索を始めた厚介たちに、謎に男、怪しい白装束の集団、そしてとびきりの美少女が近づく。彼らの目的はいったい何なのか?謎に迫る厚介たちは、やがて森の奥に哀しい物語を見つけ出す…。
小石川養生所で旅の浪人が息を引き取った。その浪人が残した狛犬の「阿」の絵が刻まれた銅板。南町奉行所隠密廻り同心の乾蔵人は、その謎に挑むことに(「仕置屋の女」)。悪名高い歴史上の人物、河内山宗春の騒動を史実を交えて描いた「河内山異聞」ほか、冷静でいて人への優しさが溢れる熱血漢・乾蔵人の活躍を描いた大人気シリーズ第四弾。無外流の剣が煌めく!
盗人と武士。身分は違うものの、竜吉と及川左京は、酒を酌み交わし意気投合した。二人は再会を約束したが果たされなかった。左京が突然病死したのだ。その後、左京の朋輩二人が深編笠の侍に立て続けに斬られた。左京は病死ではなく、朋輩四人が殺めたのだと竜吉は確信する。竜吉と同心・尾上源蔵は、それぞれの思いを胸に、深編笠の侍の正体を追い、真相を暴く!文庫書下ろし、長編時代小説。
祝言を目前に控えた植木屋の風介。しかし幸福は俄に奪われる。町で起きた辻斬りの下手人として捕らわれたのだ。無実であるにもかかわらず、牢で苛烈な仕打ちを受ける日々。絶望の最中、同心の三峰勝正は彼の濡れ衣を晴らすと言い、牢名主の男も諦めるなと言うが…。誰が風介を嵌めたのか!?何故彼なのか!?異色時代小説で好評を博す著者の書下ろし長編登場!
寂れていた青柳山大恩寺を内証の豊かで名のある寺にした旗本の次男坊・棚橋市之丞。しかし、寺の運営を巡り檀家衆と意見が対立、結果、市之丞は御役御免に。大恩寺を出た市之丞が訪れたのは、麻布の鄙びた行慶寺。この寺の復興のために市之丞は「剣術試合」を画策する。はたしてその成否やいかに。江戸の経済もわかる異色の時代小説シリーズ、迫力剣戟満載の第五弾。
天正十年、織田信長軍に攻められた武田家は、天目山の地で滅亡した。死の間際、武田勝頼は配下の忍び・諏訪次郎らに、小山田信茂、穴山梅雪斎、木曾義昌など武田家を裏切った武将に恨みを果たすよう言い遺す。闇殺、忍び同士の死闘、裏切り…。諏訪忍び「車衆」の仲間とともに困難な遺命を成し遂げようとする次郎の凄絶な“生”を描く戦国忍者エンターテインメント!
疎遠だった父の死に際して故郷に帰った「私」に手渡されたのは、父が遺した原稿用紙の束。気が乗らぬまま読み進めるうちに、過去にまつわるいくつかの謎が浮かび上がる。果たしてこれは、父の人生に本当にあったことなのだろうか?次第に引き込まれるうち、父と子の距離は、少しずつ埋まっていくー。父親の死を通して名手が鋭く描き出す、生きる意味と、親子の絆。
飲んだくれの農場主を追い出して理想の共和国を築いた動物たちだが、豚の独裁者に篭絡され、やがては恐怖政治に取り込まれていく。自らもスペイン内戦に参加し、ファシズムと共産主義にヨーロッパが席巻されるさまを身近に見聞した経験をもとに、全体主義を生み出す人間の病理を鋭く描き出した寓話小説の傑作。巻末に開高健の論考「談話・一九八四年・オーウェル」「オセアニア周遊紀行」「権力と作家」を併録する。
王朝物語、説話文学、謡曲から近現代小説まで、日本幻想文学の豊饒な系譜を3巻本構成で総覧する画期的アンソロジー。開幕篇となる本巻には『源氏物語』『今昔物語』『雨月物語』などの大古典に始まり、明治の『遠野物語』、大正の『一千一秒物語』、昭和の『唐草物語』等々、幻想文学史を彩る妖しき物語群の中から、オールタイム・ベストとして定評ある窮極の名品21篇を収録した。
19世紀イングランド。博物学者である公爵クリスチャンから公の場で侮辱された、美しき未亡人ヴェネチア。心を傷つけられたヴェネチアは仕返しを企み、公爵を追って豪華客船に乗り込む。数週間の船旅のあいだ、ヴェールで顔を覆い素性を隠したまま彼を誘惑し、夢中にさせたあとで姿を消すつもりだった。ところが計画とはうらはらに、ヴェネチアは彼との距離が縮まるにつれ、洗練された知性とその奥にひそむ情熱的な男らしさに惹かれていく。クリスチャンもまた、ヴェールに覆われた彼女の神秘的な魅力に心を奪われていた。船上で激しい恋に落ちる二人。ヴェネチアは素顔を明かせないまま甘く親密なときは過ぎ、船旅も終わりに近づいたころ、クリスチャンからある秘密を打ち明けられて…。2年連続RITA賞受賞の人気作家が綾なす、優雅なヒストリカル・ロマンス!
年に一度の“ハーモニー・フェスティバル”で町が賑わういっぽう、ストーリーはツイてないことばかり。「はちみつ女王」の座を逃したうえに、犬の散歩中に死体につまずくなんて!しかも、警察が到着したときに死体は忽然と消えていて、「ホラ吹き」呼ばわりされる始末。唯一、話を信じてくれた、事件記者パティを相棒に危なっかしい捜査をはじめると、空き家で消えた死体を発見。ところが、状況からすると犯人は…母の新恋人トム?真相を突き止めるべきか、生真面目な母がようやく手に入れた幸せを守るべきか。悩めるストーリーをあざ笑うかのように、犯人からの警告と思しきヒッコリーの実が、自宅前に置かれるようになり…!?美味しいはちみつレシピ付き!