2013年9月20日発売
定年後のバラ色の人生を信じていた威一郎を待っていたのは、家族との深い溝だった。娘は独立、妻は家を出てしまい、残ったものは犬のコウタロウだけだった。現代の夫婦像を見つめた異色の長篇。 (解説/藤田宜永)
葬儀店のひとり娘に産まれた森野、そして文房具店の息子である神田。同じ商店街で幼馴染みとしてふたりは育った。中学三年のとき、森野が教師に怪我を負わせて学校に来なくなった。事件の真相はどうだったのか。ふたりと関わった人たちの眼差しを通じて、次第に明らかになる。ふたりの間に流れた時間、共有した想い出、すれ違った思い…。大切な記憶と素敵な未来を優しく包みこんだ珠玉の連作集。
十九世紀半ば、ゴールド・ラッシュに沸くアメリカに、周囲の男たちから浮いた優雅な身なりの青年が。金鉱を見物に来たフランス人のシオンは、帰国する船賃稼ぎ中のジョン万次郎と出会い、日本への興味を深める。数年後、シオンはオランダ人と偽って開国目前の長崎へ。美しい顔立ちと行動力を武器に、幕府の大物たちに接近し、ついにはー。歴史の隙間に“もしも”を巧みにちりばめた傑作長編。
薬草栽培や生薬の精製につとめる、御薬園同心の水上草介。のんびりやな性格で“水草"と綽名されながらも、御薬園界隈で起きる事件や揉め事を穏やかに収め、成長していく。連作時代小説。(解説/東えりか)
かつての恋人ロージーはなぜ失踪したのか?その真相に気づいていたらしい家族も死に、同僚刑事の忠告も無視して調べを進めるフランク・マッキー。次々と浮かぶのは、彼が育った16軒の貧しい家々が軒を連ねるフェイスフル通りでの苦々しい思い出や、ねじれた人間関係、歪んだ家族愛。やがて事態は、フランクの愛娘をも巻き込んでいき…。切ないほどの顛末が胸に迫る、アイルランド発、珠玉のミステリー。
あなたはこれから報いを受けるのよー妻の予言通り、首都テレビのエース記者の岡村俊平は、名声も家族も失った。20年に亘る負の連鎖を断ち切るため、最後の大勝負に挑む岡村。因縁の相手の名は、時の総理大臣藤堂一郎。魑魅魍魎が跋扈する報道現場の内幕をあぶり出す、渾身の長編小説。
ようこそ。ここは地球の歴史がいちど終わったあとの新しい世界ー弱肉強食の大西部。人を食糧とする者。それを許さない者。暴れる牛。蟲の蔓延。アウトローと保安官。人と牛の子。異形の王。虐殺。征伐。慈悲。突き抜けた絶望の先に咲く、希望の花ー「世界」で闘える愛と暴力の暗黒大活劇。
捜査一課のエースが、取調室で出会った男は、かつて自分がいじめた同級生だった…同僚との確執、世間の嘲笑。そして家族からの軽蔑。連鎖する猟奇事件。解決の糸口は、現場に残された「聖書」の言葉。事件を追えば追うほどに、刑事自身も追い詰められていくー冒頭からエンジン全開。圧倒的なリーダビリティ。ノンストップ・サイコミステリー!
「それは、乳房であった」男の独白は、その一文から始まったーミロのヴィーナスと衝撃的な出会いをはたした幼少期、背徳的な愉しみに翻弄され、取り返しようのない過ちを犯した少年期、サイエンスにのめりこみ、運命の友に導かれた青年期。性状に従った末に人と離別までした男を、それでもある婦人は懐かしんで語るのだ。「この人は、女性がそんなに好きではなかったんです」と。アニメ『ファンタジスタドール』前日譚。
白竜、緑竜、黒竜の三頭の竜を従え、デナーリスはミーリーンで女王として君臨していた。だが、その前途には暗雲がたちこめる。都の中では内乱をもくろむやからが殺戮を繰り返し、外では敵対勢力が都を包囲せんと軍を進めていた。さらに、竜たちはどんどん巨大化し、残虐さを増して、デナーリスでさえ抑えきれなくなったのだ。そのころ、父タイウィン公を殺害したティリオンは、密告者の長ヴァリスの手によってキングズ・ランディングを脱出、“狭い海”を渡りペントスのマジスター・イリリオのもとに身を寄せていた。イリリオから、女王デナーリスが軍を率いて七王国へ帰還するときの軍師になるよう求められたティリオンは、勇躍ミーリーンへと旅立った。だが、ドーンのプリンス、クェンティンもまた、父である大公の密命を受け、三頭の竜とデナーリスを七王国に帰還させるべく、女王の都に向かっていた…。四度めのローカス賞に輝く現代最高の異世界戦史。
コンチータ領主に女の赤子が生まれる。暗い過去から“食”へ強い探究心を示す彼女だが、自身の夢を叶えるため、ついに悪魔と契約を交わす。それが“悪食娘”の始まりになるとも知らずにー。『悪ノ娘』ノベルシリーズの悪ノP(mothy)が描くファン待望の“悪ノ大罪シリーズ”第2弾!!