2013年9月3日発売
妻と娘と三人で暮らすマイホーム。幸せを手にしたかに思えた俊男だが、いつしか希望は失われ…。そんな時、妻の静佳の顔が変わっていることに気づく。整形を繰り返す静佳は、若い頃に捨てた女・あゆみとそっくりに!?表題作など、天狗小僧の千里眼が抉り出す人間たちの深き業。時空を超えた異色のホラー短篇集。
「飲むほどに酔うほどに、かつて奪った命の記憶が甦る」-最強と謳われ怖れられた、新選組三番隊長斎藤一。明治を隔て大正の世まで生き延びた“一刀斎”が近衛師団の若き中尉に夜ごと語る、過ぎにし幕末の動乱、新選組の辿った運命、そして剣の奥義。慟哭の結末に向け香りたつ生死の哲学が深い感動を呼ぶ、新選組三部作完結篇。
沖田、土方、近藤ら仲間たちとの永訣。土方の遺影を託された少年・市村鉄之助はどこに消えたのかー維新後、警視庁に奉職した斎藤一は抜刀隊として西南戦争に赴く。運命の地・竹田で彼を待っていた驚愕の光景とは。百の命を奪った男の迫真の語りで紡ぐ鮮烈な人間ドラマ・浅田版新選組三部作、ここに完結。
娘の祝言が決まった日から急に態度が冷たくなった父親の心情が胸に迫る表題作ほか、他人の物を盗った息子に右往左往する両親を描く「泣き笑い」、晩年の清水の次郎長が小気味よい「言えねえずら」、土佐の長宗我部家に伝わる文書に秘められた一族の尊い使命「銀子三枚」など、とびっきりの人情話8編。
雨の港で海中へ転落した車。妻は助かり、夫は死んだー。妻の名は鬼塚球磨子。彼女の生い立ち、前科、夫にかかっていた高額な生命保険についてセンセーショナルに書き立てる記者と、孤軍奮闘する国選弁護人の闘い。球磨子は殺人犯なのか?その結末は?明治の藤田組贋札事件を描く「不運な名前」併録。
春になり、裕一は進級のため、レポート三昧の日々。香里の手術はひとまず成功したものの、余命の長さはおぼつかない。やがて二人は『チボー家の人々』に各々の想いを託し、物語はクライマックスを迎える。病院という閉鎖された空間で見えない明日を信じて生きる少年少女たちを活写し、巡礼地をも生んだ現代の名作、遂に完結!
大学の食堂で働く雪子は、毎日わかめうどんばかり頼む女学生を自分の娘のように眺めていた。だが彼女が付き合っているらしい男が気に入らず、ある日思わずある行動に出てしまう…(『うちの娘』)。日常の中ですれ違っていく、忘れられない人たち。そのすれ違いの中で、かすかに揺らぐ感情を掬いあげる佳品6篇。
スコット・ケアリーは、放射能汚染と殺虫剤の相互作用で、一日に7分の1インチずつ身長が縮んでゆく奇病に冒されてしまう。世間からの好奇の目、家庭の不和。昆虫なみの大きさになってなお、孤独と絶望のなか苦難に立ち向かう男に訪れる運命とは?2013年6月に逝去した巨匠マシスンの代表作を、完全新訳で25年ぶりに復刊。巻末には『ランボー』の原作者デイヴィッド・マレルによる詳細なあとがきも収録。
小島楓が救命救急センターの医局長に着任して1カ月がたったが、医局員たちとの関係はいまだぎこちない。そんな中、臓器移植法改正後、1例の臓器提供例も出ていない救命センターに業を煮やした病院幹部らは、トップクラスの救命率と脳死臓器提供数を両立させてきた異色の救命医・夏目衛を迎えることを決定する。夏目の初赴任日を前に、東京で史上最悪の大事件が勃発し…。脚本家が書き下ろす、それぞれの視点から綴った、それぞれの物語。