2014年8月13日発売
虚無僧・胡空は、元越後村石藩藩士で剣の達人。廻船問屋・葭屋徳兵衛らの誘いで、お上が手を出せない悪を始末する『仕置き業』の世界に足を踏み入れた。徳兵衛や小三治らが追う抜荷問題の背後に、仇敵・村石藩の国家老玉井主税の影をとらえた胡空は…。ベテラン作家、岳真也の好評シリーズ。尺八奏でて仇を討つ!
平凡な毎日を憂う逸夫は文化祭をきっかけに同級生の敦子と言葉を交わすようになる。タイムカプセルの手紙を取り替えたいという彼女の頼みには秘めた真意があった。同じ頃、逸夫は祖母が五十年前にダムの底に沈めた「罪」の真実を知ってしまう。それぞれの「嘘」が、祖母と敦子の過去と未来を繋いでいく。
平穏な団地で会社員失踪事件が発生。その男の妻には、悪意に満ちた“不貞の噂”が囁かれていた。疑惑の目に耐えかねた妻は飛び降り自殺を図るが、警視庁きっての“怪物”大貫警部は説得するどころか、まさかの第一声を放った!表題作の「百鬼夜行殺人事件」をはじめとする、抱腹絶倒ものの傑作5篇を収録。
ロシア帝国を震撼させた『カラマーゾフ家の父殺し事件』から十三年、内務省の特別捜査官となった次男イワン・カラマーゾフはある確信を抱いて故郷に舞い戻った。真犯人は異母弟スメルジャコフの他に必ずいる、と。再捜査が開始されるや否や、第二の殺人が起こる。世界文学の金字塔に挑む江戸川乱歩賞受賞作。
外国人憎しの異人斬りが横行する幕末、世界を相手にしたロシアの革命家、バクーニンが横浜に現れた。小栗忠順、高杉晋作ら幕末の志士と対峙し革命の本分を説くバクーニン。同時に勃発するイギリス公使館襲撃事件。彼は真の革命家か、ロシアが放った謀略の仕掛人か。革命と維新に揺れる時代の隠された真相が暴かれる。
放火殺人が疑われるアパート全焼事件で、異様な事実が判明する。炭化した焼死体の腹腔に、大量の蝿の幼虫が蠢いていたのだ。混乱に陥った警視庁は、日本で初めて「法医昆虫学」の導入を決断する。捜査に起用されたのは、赤堀涼子という女性学者である。「虫の声」を聴く彼女は、いったい何を見抜くのか!?
料理の腕は最高、おまけに淫靡な奉仕を覚えていく輝美が愛しい。だが「理想の結婚生活を見せてやる」と後輩を招いた夜から、二人のベッドに亀裂が走る(表題作)。暗闇に浮かぶ真っ白い太腿を捉えるカメラ。誰がこんな映像を女子高教師に送ってきたのか(「少女動画」)。とびきりの美女たちが仕掛ける謎の饗宴!
超高齢化社会の日本で、老人介護のために開発された「パワードスーツ」。手足に装着するだけで途轍もない力を発揮する新型機器だが、その陰で次々と老人が失踪。さらに殺人事件も発生し、現場にはなぜかパワードスーツの付属品が残されていた!超絶の発想と展開で読み手を見事に騙す、乱歩賞作家の快作!
明治5年に焼失した日本初の西洋式ホテル「築地ホテル」。その焼け跡から宿泊客の刺殺体が発見された。謎を追うのは、クリミア戦争、アロー号戦争など、歴史的報道写真を多数残した英国人写真家、フェリックス・ベアト。日本人助手とともに捜査を始めた彼は、二重三重に張られた罠の先に、驚愕の真相を見た!
弱いものいじめに苦しむ中小企業にとって新銀行は救世主になるはずだった。“必殺仕掛人”の金融コンサルティング会社社長の野心を警戒しながら、設立に身を捧げる男たち。だが金融庁対策、資本金調達で困難に見舞われ、当初の理念は地に堕ちる。経営陣の逮捕まで招いた「許されざる者」どもの罪業を描き切る傑作!
私は今、刑事ではない。被害者の心に寄り添い、傷が癒えるのを助ける。正解も終わりもない仕事。だが、私だからこそしなければならない仕事ー。月曜日の朝、通学児童の列に暴走車が突っこんだ。死傷者多数、残された家族たち。犯人確保もつかのま、事件は思いもかけない様相を見せ始める。
正岡子規の妹・律は、幼いころ「私は兄さまのお嫁さんになるんよ」が口癖だった。実際、二度結婚し、二度とも離婚して実家に戻る律。やがて、脊椎カリエスを病み、激痛にのたうちまわりながら仕事を続ける子規の闘病生活を、彼女は命を燃やすかのような献身的な看病で支える。壮絶な兄妹愛を描く傑作長編!
数年前に失踪した母親の行方がつかめぬまま、17歳の空閑純は大阪で独り暮らしを始める。探偵行為の科で逮捕された父親との面会が許されない状況下、思いがけない人物に声を掛けられたことをきっかけに、純は探偵への道を歩きだす。木箱に入った元探偵の溺死体が発見され、純は「水の棺」の謎に挑戦する。
春爛漫の大江戸で、雀はちょっとした人助けをした。花見の最中、泥酔者から女の子を守ったのだ。後日、少女と同郷だという男が現れ、礼をしたいので村に来てほしいという。その村とはー空に浮かぶ竜宮城だった。案内人「天空人魚」に導かれ、空を舞って辿り着いた先で、雀は想像だにしない不思議な体験をする。