2015年1月8日発売
春秋後期の衛国。小柄な十五歳の少年・小旋風は、盗掘を生業とする養父に育てられた。彼は盗掘の最中、生きているようにしか見えない、数百年前の少女の亡骸を発見する。彼女は伝説の楽器と思われる、華麗な琴とともにあった。その直後、落盤事故がー。小旋風は自分の唯一の武器である言葉を使って琴を売り、大金を手に入れようと決意する。第9回小説現代長編新人賞受賞作。
大学生の詠彦は、天才数理論理学者の叔母、硯さんを訪ねる。アラサー独身美女の彼女に、名探偵が解決したはずの、殺人事件の真相を証明してもらうために。詠彦が次々と持ち込む事件ー「手料理は殺意か祝福か?」「『幽霊の証明』で絞殺犯を特定できるか?」「双子の『どちらが』殺したのか?」-と、個性豊かすぎる名探偵たち。すべての人間の思索活動の頂点に立つ、という数理論理学で、硯さんはすべての謎を、証明できるのか!?第51回メフィスト賞受賞作!!
「SD」特殊部門として組織された即応班は、公安部局の中では「体制の犬たち」と揶揄されていたー。捜査一課特殊部隊を辞職し、SDに加わった木谷赫音は、名うての狙撃手の娘だった。フィリピンの天然ガスの洋上プラントがテロリストに襲撃され、日本の経産大臣が人質として囚われた。赫音は仲間とともに決死の戦いに挑む。著者渾身の「狙撃手シリーズ」新展開!
株のインサイダー取引事件を捜査していたベテラン刑事・戸田が、突然の解任辞令を受け退職に追い込まれた。疑惑をかけられたまま病に倒れた戸田。彼を慕う元部下の沢井は、事件の背後に暗躍する警察上層部の黒い人脈に気づく。「警察の中の警察」監察チームの三人は、孤立無援の沢井を助け、私腹を肥やし続ける巨悪へと斬り込んでゆく。大ヒットシリーズ第三弾!
十年前に解散した女性三人組アイドル・トライスター。彼女たちが所属していた事務所の元社長が他殺死体で見つかった。犯人は元ファンクラブ会長。彼は、自身のブログで元社長殺害をほのめかした直後、服毒自殺していたのだ。だが、トライスターのメンバー内に共犯者がいたことがわかり…(表題作)。名探偵・法月綸太郎が六つの難事件に挑む“星座シリーズ”後編。
劇団員の夏帆は、住宅地図調査のアルバイトで小学生時代に住んでいた街を訪れた。同級生の家に招かれた彼女は、途中の夜道で通り魔に襲われてしまう。怪我は軽かったが、同じ頃、近くで女性が殺されていた!被害者は、ある過激な新興宗教の信者だったらしいのだが…。ありふれた住宅街に渦巻く疑惑、恐怖、殺意。日常に潜む悪意をえぐり出す傑作ミステリー。
いつも行く食堂で出会った女の名は、広美といった。気づけば死んだ妻に代わり、子供たちの面倒を見てくれるようになっていた広美。しかしまたある日突然、彼女は家族の前から消えてしまう。身体一つで、別の町へと去って行ったのだー。家族から次の家族へ、全国をさすらう女。彼女は一体誰で、何が目的なのか?痛快で爽快な、誰も読んだことのない女一代記。
突然町に現れたキャンピングカー。その中で夜毎音楽を奏でるのは、アッティルカイラーと名乗る不思議な放浪集団だった!いぶかしみながらも彼らに近付く界隈の住人は、途端にそのにぎやかな調べに魅了される。音楽がもたらす幸福の輪は少しずつ広がっていき…(「アッティラ!」)。第四回小説宝石新人賞を受賞した表題作の他二編を収録。やさしさあふれる作品集。
デビュー以来、特異な舞台設定と徹底したロジックの追求という独特の作風で、数々の傑作を生み続けている著者。今回、その石持ミステリーのエッセンスが凝縮した連作短編シリーズの、「第一話」だけが一堂に会した!パラレルワールド、社会派モチーフ、安楽椅子探偵など、多種多様な趣向の魅力が横溢する短編集にして、「石持浅海・入門の書」ともなる待望の一冊!
南町奉行所定町廻り同心をやめ、いまでは船頭として生計を立てる沢村伝次郎。世話になった先輩同心・酒井彦九郎が殺害され、真相を突き止めるべく下手人捜しに奔走するが、彦九郎の周りにいた小者たちが次々に殺害される。いったい下手人の思惑とは何かー。そしてついに、真相が浮かび上がってきたとき、伝次郎に凶刃が襲い掛かる。爽快感満載のシリーズ第十一弾。
時は室町。足利幕府の体制は、大名家の権力争いで大きく揺らいでいた。八代将軍義政は、弟の義尋を次期将軍に指名するが、義政の妻・富子に長男が誕生し、後継者問題が勃発。有力大名を巻き込み、武力抗争へと発展する。敵と味方が相乱れ、京の町を焼き尽くした「応仁の乱」。十一年続いた乱の真相を、義政、富子など、当時の重要人物の視点でスリリングに描く。
御広敷用人として将軍吉宗の寵姫・竹姫を担当する水城聡四郎は、竹姫を襲い怪我を負い養生していた女忍の袖に突然、襲われる。一方、これまで大奥の主となってきた天英院の企てた茶会の罠を将軍吉宗の助けで乗り切った竹姫に、新たな罠が仕掛けられた。それに対して、竹姫を護るために聡四郎が打った「秘策」とはー。ますます好調のシリーズ、手に汗握る第七弾。
雷鳴轟く激しい夕立が過ぎ去った四谷石切横町の一角、天をつく大銀杏の袂で雷に撃たれた若い美女の死体が!すぐそばには青い大蛇の骸が転がり、その奇怪な構図が見物人の背筋を凍らせた。女は芸妓あがりのあばずれで、蜘蛛の賭博に絡みがあるらしいが…。(『蜘蛛の夢』)。根強い人気を誇る「半七捕物帳」シリーズ同様怪奇趣味に溢れた探偵譚、全十二編を収録!
人生は笑って、楽しんだ者の勝ち!-東京の下町・葛飾区新小岩。分譲マンションの管理組合理事長・高倉と、管理会社の癒着が発覚!?住人の麻丘と南は、漫画原作を生業とするパパ友・葉山を参謀役に迎え、謎の風俗嬢をも巻き込んで、高慢で小悪党の理事長を懲らしめるべく「大人のいたずら」を仕掛ける!笑芸作家が人生の妙味を笑いでつつみ込んで描いたノンストップ・エンターテインメント。
天下を揺るがす書として封印されてきた、聖徳太子の予言の書『未来記』。その書が納められている大坂・四天王寺には“番人”がいた。僧・天海から、幻の書を奪取せよとの密命を帯びた異能の忍び・千里丸は、不思議な能力を持つ少女と出逢い、自分の生き方に疑問を持ち始める。秘宝をめぐる、異能者たちに公儀隠密、南蛮絞りの秘術を操る豪商も絡んだ壮絶な闘いを描く、痛快時代エンタテイメント!文庫書き下ろし。
ラジオ局の新米アナウンサー・鴨川優に笑顔で手を振ってくれた夏服の女子高生が、二度目に会った時に「人殺し」と睨みつけてきた理由とは?局の建物に西洋人の少女の幽霊が出るという噂に秘められた切ない真相とは?午前0時に始まるラジオ番組のスタッフとリスナーたちが織りなす、ちょっと不思議で心温まる物語を、現役アナウンサーが生き生きと描く人気シリーズ第二弾。文庫書き下ろし。
三十歳を前に、このままでいいのだろうかー。仕事に不満があるわけではないが、漫然と毎日を過ごす真帆。職場を見渡せば、“いい大人”なのに、自称・できる美人や勘違いモテ男、BL好きの人妻といった、言動が伴わない子どもな人ばかり。そんな彼らをやり玉に挙げて楽しむ同僚に、抵抗を感じながらも同調してしまう自分。真帆の胸の奥に生まれた小さな疑問はやがて…。
「赤壁の戦い」-曹操率いる八十万もの大軍を、“奇門遁甲”によって潰走させた軍師・諸葛孔明。そのおそるべき力に対し、曹操がとった奇策こそが、倭国の女王・卑弥呼の召喚だった!邪馬台国女王の正体とは?卑弥呼が操る“鬼道”とは?三国志の英雄と、日本史最大の謎ともいうべき卑弥呼との直接対決の行方はいかに。同時代に生きた二人の異才が壮大なスケールで繰り広げる、奇想天外な長編歴史小説。