2015年10月発売
庶民の「申楽」を、「能」という幽玄の域にまで高めた世阿弥。金春禅竹はその娘婿となり、義父とは別の座を率いながらも、指導を受けて深く結びついていった。そして義父の最期のとき、奥義が記された伝書が遺される。世阿弥が禅竹に伝えようとした秘法とは…表題作『花鏡』のほか、能楽を大成した世阿弥を描く『風花』/闇に生きた禅師、一休宗純を描く『闇鴉』/侘茶の祖、村田珠光を描いた『詫茶』。求道にかけた互いの宿命が交錯する連作歴史小説。
青の王・宗像礼司のもと、“セプター4”の特務隊隊員たちは、訓練や違法をなすストレインの取り締まりに忙しい日々を送っていた。だが、そこに大望を抱く小太りの中年男・河野村善一が立ちふさがる。彼は自らが“セプター4”の業務を代行し、宗像に成り代わって青の王になると宣言したのだ!次々に河野村の毒牙にかかっていく隊員たち。だが、こんな時に頼りになる伏見猿比古は、アメリカに出張中だったー。
人間の坩堝・新宿を通過はできても根は下ろせないー松本の骨董商と歌舞伎町スナックのママが同時に消えた。失職と空ろな家庭を補う唯一のオアシスとしてスナックに通う蒔田は、骨董商の娘と牛尾刑事と合流して二人の失踪を追求する。二つの事件は交わり、やがて驚くべき真相が明らかになる。一度限りの人生を殺した邪悪に立ち向かう運命のミステリー。
自社の合併に関わる派閥抗争に巻き込まれた常務。賛否うずまく取締役会で、彼はある決断を…(「耳したがう」)。銀行広報部部長が、裏金疑惑が発覚した頭取と記者会見に臨んだ。威圧的な頭取に、広報部長は突然…(「おうちに帰ろう」)。五十代後半、企業人生をまっとうする者、再スタートを考える者。男たちを取り巻く組織、家族とは。文庫オリジナル全八編。
警視庁=通称・桜田門に勤める久米川さくらは、ドジでちょっぴり腹黒な事務職員。毎日のんびり雑用をこなしていたが、エリート刑事・元加治が持ち込んだ密室殺人の謎を鮮烈なひらめきと推理で解決して以来、事件解明に協力することに。無差別殺人、窃盗、爆破予告…数々の怪事件にさくらちゃんが挑む!ユーモアたっぷり新感覚警察ミステリー。
あどけない顔でメイクも薄く、背も小さい。垢抜けない紺のスーツに白いブラウスという恰好。そんなおとなしい24歳の派遣社員・佐代子は、夜になると「セックスは最高だが、性格は最低な女」に豹変し、炎のように燃えあがる。3人の男と付き合っていた女は、やがて不穏な影に怯え、トラブルに巻き込まれる…。究極の愛、完璧なセックスとは!?
エリート銀行員の仁藤俊実が、「本が増えて家が手狭になった」という理由で妻子を殺害。小説家の「私」は事件をノンフィクションにまとめるべく取材を始めた。「いい人」と評される仁藤だが、過去に遡るとその周辺で、不審死を遂げた人物が他にもいることが判明し…。戦慄のラストに驚愕必至!ミステリーの常識を超えた衝撃作、待望の文庫化。
声楽を志して音大に進学した御木元玲は、自分の歌に価値を見いだせず、もがいている。ミュージカル女優をめざす原千夏は、なかなかオーディションに受からない。惑い悩む二十歳のふたりは、突然訪れた「若手公演」の舞台でどんな歌声を響かせるのか。名作『よろこびの歌』の三年後を描き、宮下ワールド屈指の熱量を放つ青春群像劇、待望の文庫化!
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。第5回配本、第8巻『歪んだ時間』は、タイムスリップを中心に、時間の歪みをテーマにしたSFとファンタジーを14編収録! ●編集委員 逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 SF、そしてファンタジーの巻である。 タイムマシン、タイムスリップ、コールドスリープ。 これが「時間」を歪める三種の神器であろうが、タイムスリップのみが現在の読者にも受け入れられているようだ。 掌短編の中には「なぜこの作品が時間テーマなのであろうか?」と思われるであろう作品も含まれている。 我慢して読んでいただきたい。 最後まで読めばわかります。 【長編】 浅田次郎「地下鉄に乗って」 山田正紀「竜の眠る浜辺」 【短編】 芥川龍之介「魔術」 北杜夫「買物」 安部公房「鉛の卵」 式貴士「カンタン刑」 小松左京「哲学者の小径」 筒井康隆「万延元年のラグビー」 清水義範「また逢う日まで」 半村良「およね平吉時穴道行」 【掌編】 吉行淳之介「扉のむこう」 原田宗典「時間が逆行する砂時計」 矢野徹「ぼくの名は・・・・・・」 星新一「夢の未来へ」
中学生がビルから飛び降りた自殺未遂事件。現場に居合わせた二十五歳の青年・隠館厄介は、生来の冤罪体質が災いし、容疑者とされてしまう。現場には少女が書いたとされる遺書が残されていてー。今日子さんは厄介の疑いを晴らし、事件を解決できるのか?眠るたびに記憶を失う忘却探偵の、タイムリミットミステリー!
阿良々木暦を監視する式神童女・斧乃木余接。死体の付喪神である彼女が挑む、命がけの死闘とは!? -物語ーは育ち、走りつづけて燃え盛る! これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異! 青春は、いたみと平和のくりかえし。 第一話 そだちフィアスコ 第二話 するがボーンヘッド 第三話 つきひアンドゥ
東国へ善鸞を名代として下向させる親鸞 弾圧、非難と闘いながら、浄土真宗を創始し、あくまでも人間として生き抜いた親鸞の苦難の生涯を描く大作。 第6巻「善鸞の巻」(上)では、東国の浄土真宗に対する鎌倉幕府の弾圧から、信者を守ろうと自ら京に戻った親鸞だったが、時の移ろいの中、越後生まれの娘、そして仏門に入った息子たち、妻の筑前までが、親鸞を残し、越後へ帰っていく。 一方、長男・善鸞は父の元で学び続けてきたが、その教えをとまどい、受け入れかねてもいた。八十歳を超え東国の様子が心配になった親鸞は、自分の名代として、善鸞を東国に下向させるのだが……。
善鸞と絶縁した親鸞に、静かな終焉が訪れる 弾圧、非難と闘いながら、浄土真宗を創始し、あくまでも人間として生き抜いた親鸞の、苦難の生涯を描く大作。 第7巻「善鸞の巻」(下)では、親鸞の名代として東国へ下向した長子・善鸞であったが、高弟たちの冷たい仕打ちにより孤立していく。そして、父の教えを否定し、東国の念仏者たちを鎌倉幕府に告訴することとなる。これを知った親鸞は激怒し、善鸞を絶縁する。 父を尊敬しながらも、また父の境地に辿りつけない善鸞の葛藤と、告訴に至る過程、そして、息子の裏切りに苦しむ親鸞の姿など、当作品最大の見せ場。 やがて、親鸞に奇蹟も起きない静かな終焉が訪れる……。民衆と共に生き抜いた九十年の生涯を描いた長編の最終章。