2015年12月4日発売
ミカエラの名に隠された秘密。人間だったころのクローリーの死闘と、フェリドとの出会いー暴き出される「彼ら」の遍歴。吸血鬼の真実と起源に迫る衝撃の新シリーズ、解禁!!
社長、僕は一体いつまであの会社に縛られ続けるのですか?建材会社の社長・高梨修一郎は、取引先の紛飾決算による経営危機に翻弄され、事態の収拾を図ると共に引退を考えはじめる。彼の脳裏に浮かぶのは、怒涛のように過ぎ去った日々の記憶。先代の女社長と彼の間には、誰にも言えない愛憎関係があったー。個人と社会の狭間にある「孤独」を緻密に描き出す、傑作長編。
声の小さな皆川七海は、派遣教員の仕事を早々にクビになり、SNSで手に入れた結婚も、浮気の濡れ衣を着せられた。行き場をなくした七海は、月に100万円稼げるというメイドのバイトを引き受ける。あるじのいない大きな屋敷で待っていたのは、破天荒で自由なもうひとりのメイド、里中真白。ある日、真白はウェディングドレスを買いたいと言い出すが…。岩井俊二が描く現代の嘘と希望と愛の物語。
多崎つくるは鉄道の駅をつくっている。名古屋での高校時代、四人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、四人から絶縁を申し渡された。理由も告げられずに。死の淵を一時さ迷い、漂うように生きてきたつくるは、新しい年上の恋人・沙羅に促され、あの時何が起きたのか探り始めるのだった。
17年前に代官山で起きた暴行殺人。容疑者の死で事件は解決したはずだった。だが今、川崎で起きた同様の殺人現場から同じDNAが見つかった。真犯人は別にいたのだ。特命捜査対策室の水戸部に密命が下るー警視庁の威信をかけ、神奈川県警より先に犯人を逮捕せよ。警察小説の巨匠による渾身の大作、シリーズ第2弾。
交通事故で妻を亡くし、自身も大けがを負った結果、音を聴くと香りを感じるという共感覚「嗅聴」を得た鳴瀬玲司は、ピアノの調律師を生業としている。さまざまな問題を抱えたピアノ、あるいはその持ち主と日々接しつつ、いまだに妻を忘れられずにいた鳴瀬だったが、ある日、仕事で仙台に向かうことにー。
真鍋順平、28歳、独身、情報サービス企業勤務。突然の“追い出し部屋”への配置転換にうろたえる順平は、ある日、ランチワゴンで実に旨い昼飯に出会う。店主は、頬に傷を持つ、どう見てもカタギではない男、柳刃ー。任侠×グルメという新ジャンルを切り拓き、大好評を博したシリーズ第2弾、登場!文庫書き下ろし作品。
茶店の主人が首を吊った。南町奉行・根岸肥前守は事件のカギは目黒にありと察知、家臣である宮尾玄四郎を派遣する。不動尊の参詣客でにぎわう町で遭遇する怪事件。優れた耳を持つ岡っ引き・音無の六蔵と、松平定信が建てる屋敷の謎。そして大悪党・暁星右衛門の正体とはー。名推理と恋模様が絡み合う人気シリーズ第19弾!
居酒屋で時給900円のバイトをしながら法律の勉強に励む中国人女子留学生・林杏は、ある日通訳を頼まれ、1万5千円もの報酬を手にする。「おせん」と名づけられた5千円札の女性は、財布から財布へあてのない旅へ出て、金銭欲まみれの世界の裏側を覗き見るが…。ユニークな構成でお金の魔性を描いた傑作長篇!
秀吉への貢ぎ物としてポルトガルから渡来したぎやまんの手鏡。於祢、淀君、お江、さらには尾形光琳や赤穂義士らの手を経めぐり、豊臣政権末期から江戸時代に生きた人々の心模様を写し出していくー。著者の遺作となった華麗な歴史絵巻を、文庫化にあたり単行本未収録作品も加えて二分冊でお届けする。
戦国時代終盤、対馬。海と船へのあこがれを抱いて育った少年・笛太郎は航海中に村上水軍の海賊衆に捕えられ、以後は水軍と行動をともにするようになる。そしていつしか笛太郎は比類なき「海の狼」へ成長していったー。海に生きる男たちの夢とロマンを描いた海洋冒険時代小説の最高傑作。第97回直木賞受賞作。
妻の病名は、致死性脳劣化症候群。複雑な思考をすればするほど脳が劣化し、やがて死に至る不治の病。生きたければ、作家という仕事を辞めるしかない。医師に宣告された夫は妻に言った。「どんなひどいことになっても俺がいる。だから家に帰ろう」。妻は小説を書かない人生を選べるのか。極限に追い詰められた夫婦を描く、心震えるストーリー。
ライターの銀次郎が昏睡状態から目覚めると、謎の男が現れた。男は「この病院で目覚めた人は自殺する」と告げる。過去に四人の患者が自殺したことを知り、調査を始めた銀次郎は、関係者の証言を辿る中で、彼らの企みに飲み込まれて行く。オカルトか、医療ミスか、それとも。次々と明らかになる衝撃の事実に目が離せないノンストップミステリー。
トランポリン競技でオリンピック出場を目指す五人がいた。少年の頃から勝利と敗北を繰り返してきた彼らに安直な仲間意識はない。夢舞台に立てるのは二人だけ。その現実が彼らの青春を息苦しいものに変えていく。自分との戦い、ライバルへの嫉妬、周囲の期待…選ばれるのは一体誰だ!懸命に生きる者だけが味わう歓喜と孤独を描いた傑作長編。
旅とは、愛と絆を試すもの。兄姉と許嫁を人間に戻すため仲間と共に試練の旅に出たニィマールは、その名を捨てリョシャと名乗った。行く手を阻むのは、死が蔓延する冬山、見た事もない民族、そして強大すぎる敵。一歩踏み出すごとに故郷の安寧は遠ざかる。苦難の旅路の果てに彼らを待つのは歓喜か、絶望か。興奮と感動のエンタメ叙事詩、完結!
好景気に背を向けて、会社を辞めた梨田雅之。金も、女も、ヒリつくような充足感も手に入れるー滾る思いを抱える梨田は、ある男に導かれるようにして魑魅魍魎が蠢く株の世界に飛び込んでいく。動かす金は億単位。負ければ地獄の修羅街道の果てに病葉はどこに辿り着くのか?著者急逝のため惜しまれつつも最終巻となった自伝的賭博小説の傑作!
昭和三十三年滋賀県に生まれた柏木イク。気難しい父親と、娘が犬に咬まれたのを笑う母親と暮らしたのは、水道も便所もない家。理不尽な毎日だったけど、傍らには時に猫が、いつも犬が、いてくれた。平凡なイクの歳月を通し見える、高度経済成長期の日本。その翳り。犬を撫でるように、猫の足音のように、濃やかで尊い日々の幸せを描く、直木賞受賞作。